『カルト』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

映画『カルト』(2012)を紹介&解説。


映画『カルト』概要

映画『カルト』は、白石晃士監督(『ノロイ』『オカルト』)が、心霊番組の取材映像という形式で恐怖を描くモキュメンタリー・ホラー。あびる優、岩佐真悠子、入来茉里が本人役で出演し、怪奇現象に悩まされる母娘の除霊取材に参加する。

実在の芸能人と架空の霊能力者を同じ世界に存在させ、現実と虚構の境界を揺さぶる構成が特徴。前半ではドキュメンタリー風の心霊ホラーが展開する一方、最強の霊能力者NEOの登場後は、霊能者同士の対決を描くバトルホラーへと大きく姿を変えていく。

作品情報

日本版タイトル 『カルト』
英題 Cult
製作年 2012年
日本公開日 2013年7月20日
ジャンル ホラー/モキュメンタリー
製作国 日本
原作 無
上映時間 84分
監督・脚本 白石晃士
製作総指揮 ジミー・ライ/平田樹彦/丸田順悟
プロデューサー 一瀬隆重
撮影 平尾 徹
編集 深沢佳文
作曲 蓜島邦明
出演 あびる優/岩佐真悠子/入来茉里/岡本夏美/林田麻里/井上 肇/山口森広/小山田サユリ/三浦涼介
製作 NEXT MEDIA ANIMATION/ダブル・フィールド
配給 トラヴィス

あらすじ

人気タレントのあびる優、岩佐真悠子、入来茉里は、怪奇現象に悩まされている金田朋絵と娘・美保を取材する心霊番組にレポーターとして参加する。

霊能力者の雲水を伴って金田家を訪れた一行だったが、家の周囲には不穏な気配が漂い、撮影中にも説明のつかない現象が相次いで発生。美保に取り憑いた存在の力は想像以上に強く、除霊に挑んだ霊能力者たちも次々と追い詰められていく。

事態を収束させるため、ついに最強を自称する謎の霊能力者NEOが現場に現れる。彼は金田家を襲う怪異の背後に、単なる怨霊では片づけられない巨大な存在が潜んでいることを見抜く。

主な登場人物(キャスト)

あびる優(あびる優):本人役で登場する女性タレント。岩佐真悠子、入来茉里とともに心霊番組のレポーターを務め、金田家で起こる除霊を取材する。

岩佐真悠子(岩佐真悠子):本人役として取材に参加するタレント。金田家に足を踏み入れてから怪異の影響を敏感に受け始め、次第に危険な状況へ巻き込まれていく。

入来茉里(入来茉里):あびる優、岩佐真悠子とともにレポーターを務めるタレント。カメラの前で取材を進めながら、予測不能な怪奇現象を目撃する。

金田朋絵(小山田サユリ):怪奇現象が続く一軒家で暮らしている母親。娘の美保とともに異変に悩まされ、テレビ番組による除霊取材を受け入れる。

金田美保(岡本夏美):朋絵の娘。金田家に巣食う邪悪な存在から特に強い影響を受け、霊能力者たちによる除霊の対象となる。

雲水(山口森広):番組の取材班とともに金田家を訪れる霊能力者。家を包む不浄な気配を察知し、除霊を開始する。

龍玄(井上 肇):強い霊能力を持つ人物。金田家の怪異に立ち向かうが、そこに潜む存在の力は龍玄の想定をも上回っていた。

NEO(三浦涼介):常識外れの能力を持つ最強の霊能力者。派手な服装と尊大な態度が目を引くが、怪異の正体を瞬時に見抜き、圧倒的な力で対抗する。

作品の魅力解説

実在の芸能人を本人役で巻き込むモキュメンタリー

本作の大きな特徴は、あびる優、岩佐真悠子、入来茉里という実在の芸能人を本人として登場させ、テレビ番組の取材中に本物の怪異へ遭遇したかのように物語を進める構成にある。作り込まれた人物ではなく、“仕事で心霊ロケに参加した芸能人”として振る舞わせることで、現実と映画の境界を曖昧にする白石晃士監督らしい試みとなっている。

一方、「演技をしていないように演技する」ことはむしろ難しいようにも見え、会話や反応にわざとらしさを感じる場面もある。本人役という設定に求められる生々しさが、必ずしも全編で維持されているわけではない。

直接的な不快感を与える怪異の造形

黒く細長い謎の影や、人間へ寄生するように動く得体の知れない存在など、本作には正体を簡単に説明できない怪異が次々と登場する。

リアルな映像表現というより、低予算らしい粗さを残した視覚効果が用いられているが、その不自然さがかえって異物感につながっている。人間とも幽霊とも断定できない形状や動きには、生理的な気持ち悪さがある。

心霊ドキュメンタリーから霊能力バトルへの急転換

前半では、手持ちカメラや固定カメラを使った心霊番組風の映像によって、怪異が日常へ少しずつ侵入する恐怖が描かれる。しかしNEOが登場すると、作品は現実味を重視したモキュメンタリーから、特殊能力を持つ霊能者が邪悪な存在と戦う娯楽色の強いホラーへと変化する。

NEOの奇抜な服装、尊大な言動、漫画の主人公を思わせる能力は強烈であり、本作を記憶に残る異色作にしている。その一方で、ドキュメンタリーらしさを期待すると、あまりにキャラクター性が強く、それまでの作風と噛み合っていないようにも映る。前半の不気味さと後半の荒唐無稽さを同じ映画の個性として楽しめるかどうかが、評価を分けるポイントだろう。

完成度の高い純粋なモキュメンタリーというより、ドキュメンタリー風ホラー、悪趣味な怪異、霊能力バトルを強引に接続した作品である。整合性よりも白石晃士監督独自の発想と勢いを楽しむ異色作として受け止めるのが適した1本だろう。

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