映画『モネと時間旅行』(2025)を紹介&解説。
映画『モネと時間旅行』概要
映画『モネと時間旅行』は、セドリック・クラピッシュ監督(『スパニッシュ・アパートメント』『ダンサー イン Paris』)が、1895年のパリと現代を交差させながら、家族のルーツと人生を描くフランス・ベルギー合作のヒューマンドラマ。ノルマンディーに遺された古い屋敷を相続した遠い親戚同士の4人が、屋敷で発見した写真や手紙、謎の絵画を手がかりに、19世紀を生きた先祖アデルの人生をたどっていく。
スザンヌ・ランドン、アブラハム・ワプラー、ヴァンサン・マケーニュ、ジュリア・ピアトンらが出演。クロード・モネをはじめ、写真家ナダールやヴィクトル・ユゴーなど、19世紀の芸術・文化を象徴する実在人物も登場する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『モネと時間旅行』 |
|---|---|
| 原題 | La Venue de l’avenir |
| 英題 | Colours of Time |
| 製作年 | 2025年 |
| 本国公開日 | 2025年5月22日 |
| 日本公開日 | 2026年9月18日 |
| ジャンル | ドラマ/歴史 |
| 製作国 | フランス/ベルギー |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 126分 |
| 監督 | セドリック・クラピッシュ |
|---|---|
| 脚本 | セドリック・クラピッシュ/サンティアゴ・アミゴレナ |
| 製作 | セドリック・クラピッシュ/ブリュノ・レヴィ |
| 撮影 | アレクシ・カヴィルシーヌ |
| 編集 | アンヌ=ソフィー・ビオン |
| 作曲 | ロブ(ロバン・クーデール) |
| 出演 | スザンヌ・ランドン/アブラハム・ワプラー/ヴァンサン・マケーニュ/ジュリア・ピアトン/ジネディーヌ・スアレム/ポール・キルシェ/ヴァシリ・シュナイダー/サラ・ジロドー/セシル・ドゥ・フランス/オリヴィエ・グルメ ほか |
| 製作 | Ce qui me meut Motion Picture/France 2 Cinéma/La Compagnie Cinématographique/Panache Productions |
| 配給 | STUDIOCANAL(フランス)/セテラ・インターナショナル(日本) |
あらすじ
現代。ある一族の約30人に、長年放置されてきたノルマンディーの古い屋敷を相続する話が舞い込む。遠い親戚同士であるセブ、アブデル、セリーヌ、ギイの4人は、家の状態を確認するため屋敷へ向かう。そこで見つけたのは、長い年月を眠っていた写真や手紙、そして謎めいた絵画だった。
手がかりを追ううち、4人は1895年、20歳で故郷ノルマンディーを離れてパリへ向かった先祖アデルの存在へたどり着く。当時のパリでは写真という新しい技術が広がり、印象派の芸術家たちが新たな表現を生み出していた。
現代の4人がアデルの人生を調べていく一方、物語は19世紀の彼女の時間へ移り、100年以上離れた二つの時代が次第に結び付いていく。過去を知ることは、やがて現代を生きる彼ら自身の未来にも変化をもたらしていく。
主な登場人物(キャスト)
アデル(スザンヌ・ランドン):1895年、20歳で故郷ノルマンディーを離れ、パリへ向かう女性。現代の一族につながる先祖であり、彼女が残した痕跡が物語の中心となる。
セブ(アブラハム・ワプラー)、ギイ(ヴァンサン・マケーニュ)、セリーヌ(ジュリア・ピアトン):ノルマンディーの屋敷を相続した一族の一人。遠い親戚たちがともに家を調査し、アデルの過去を追う。
アブデル(ジネディーヌ・スアレム):セブ、ギイ、セリーヌとともに屋敷を訪れ、一族の歴史を調べる。
クロード・モネ(オリヴィエ・グルメ):印象派を代表する実在の画家。19世紀側の物語に登場する。
作品の魅力解説
現代と1895年を行き来する、家族史のミステリー
『モネと時間旅行』は、SF的なタイムマシンを使う作品ではない。
現代の子孫たちが屋敷に残された写真、手紙、絵画から先祖の人生を探る物語と、1895年を実際に生きるアデルの物語を交互に描くことで、100年以上離れた時間を映画そのものが往復する。
「自分たちはどこから来たのか」を知ることによって、「これからどこへ行くのか」を考える構造が、原題“La Venue de l’avenir=未来の到来”にもつながっている。
印象派が生まれた時代そのものへ入り込む
舞台となる1895年前後は、パリが都市として急速に変化し、写真が普及し、印象派によって絵画表現が大きく変わった時代。
劇中にはクロード・モネだけでなく、写真家フェリックス・ナダールやヴィクトル・ユゴーなど実在人物も登場する。さらにモネの家と庭があるジヴェルニーでも実際に撮影が行われた。
芸術作品を解説する映画ではなく、芸術が新しい価値観として生まれつつあった時代の空気へ人物を放り込むことで、美術史と家族ドラマをつなげている。
過去を知ることが、現代の人生を変える
現代の4人は、最初から強い絆で結ばれている家族ではない。相続をきっかけに集められた遠い親戚たちだ。
しかし、一人の女性が100年以上前にどのように生き、何を選び、その結果として現在の自分たちが存在するのかを知ることで、それぞれが自分の生活や価値観を見直していく。
時代劇と現代劇を並べながら「昔は昔、今は今」と切り離さず、人間が過去から何を受け取り、未来へ何を残すのかを描くことが、本作の大きな魅力となっている。
