映画『藁にもすがる獣たち』(2020)を紹介&解説。
映画『藁にもすがる獣たち』概要
映画『藁にもすがる獣たち』は、日本の作家・曽根圭介による同名犯罪小説を韓国で映画化し、多額の現金が入ったバッグをめぐって人生に追い詰められた男女の欲望が交錯していくクライムサスペンス。
長編映画初監督となるキム・ヨンフンが脚本も担当し、物語の舞台を日本から韓国へ移して再構築。
主演級のキャストとしてチョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウが集結し、チョン・マンシク、チン・ギョン、シン・ヒョンビン、チョン・ガラム、ユン・ヨジョンらが共演する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『藁にもすがる獣たち』 |
|---|---|
| 原題 | 지푸라기라도 잡고 싶은 짐승들 |
| 英題 | Beasts Clawing at Straws |
| 製作年 | 2020年 |
| 本国公開日 | 2020年2月19日 |
| 日本公開日 | 2021年2月19日 |
| ジャンル | サスペンス/クライム |
| 製作国 | 韓国 |
| 原作 | 曽根圭介『藁にもすがる獣たち』(小説) |
| 上映時間 | 109分 |
| 監督・脚本 | キム・ヨンフン |
|---|---|
| 製作 | チャン・ウォンソク |
| 撮影 | キム・テソン |
| 編集 | ハン・ミヨン |
| 作曲 | カン・ネネ |
| 出演 | チョン・ドヨン/チョン・ウソン/ペ・ソンウ/チョン・マンシク/ユン・ヨジョン/ユン・ジェムン/チン・ギョン/シン・ヒョンビン/パク・ジファン/チョン・ガラム ほか |
| 製作 | B.A. Entertainment |
| 配給 | Megabox Plus M(韓国)/クロックワークス(日本) |
あらすじ
事業に失敗し、サウナでアルバイトをしながら家族を支えているジュンマン。ある日、彼は勤務先のロッカーに置き忘れられたバッグを発見。中に入っていたのは、人生を一変させるほどの大量の現金だった。
一方、テヨンは突然姿を消した恋人が残した多額の借金を背負い、金融業者から激しい取り立てを受けている。ミランは借金によって家庭が崩壊し、暴力的な夫との生活から逃げ出す方法を探していた。
そして過去を清算し、新たな人生を手に入れようとするヨンヒ。それぞれ異なる事情で人生の崖っぷちに立たされた人間たちは、やがて一つの大金をめぐってつながっていく。
「これさえ手に入れば人生をやり直せる」。そう考えた人々は、金を奪うため次第に一線を越え始める。
主な登場人物(キャスト)
ヨンヒ(チョン・ドヨン):暗い過去を清算し、新しい人生を始めようとしている女性。大金をめぐる物語の中心へ現れ、人々の思惑を大きく動かしていく。
テヨン(チョン・ウソン):恋人が残した多額の借金を背負わされた男。金融業者から追い詰められ、大金による人生逆転を狙う。
ジュンマン(ペ・ソンウ):事業に失敗し、サウナでアルバイトをしている男性。勤務先のロッカーで現金の入ったバッグを偶然発見する。
ミラン(シン・ヒョンビン):借金と夫からの暴力によって追い詰められている女性。現在の生活から抜け出すため、危険な選択へ足を踏み入れる。
スンジャ(ユン・ヨジョン):ジュンマンの母。認知症を抱え、家族と生活している。
ドゥマン(チョン・マンシク):テヨンに借金の返済を迫る人物。大金をめぐる争いをさらに危険なものにする。
作品の魅力解説
「金があれば人生をやり直せる」人間だけを集めた群像劇
登場人物たちは、最初から犯罪を楽しむ悪人ばかりではない。
借金、失業、家庭内暴力、介護など、それぞれ異なる理由で生活の限界まで追い詰められている。
だからこそ、大金の入ったバッグは単なる欲望の象徴ではなく、「これさえあれば全部解決する」という救命具のように見える。
タイトル通り、藁にもすがりたい人間たちが金という一本の藁へ殺到し、結果として「獣」へ変わっていく過程が本作の面白さとなる。
時系列をずらして人物たちをつなぐ構成
物語は最初から全員を同じ場所へ集めるのではなく、複数の人物のエピソードを別々に見せながら進んでいく。
最初は無関係に見えた出来事が少しずつつながり、「あの場面の裏ではこれが起きていたのか」と関係性が見えてくる構成。
大金が誰から誰へ渡っていくのかというサスペンスと、時間軸を組み立て直す楽しさが同時に味わえる。
チョン・ドヨンら韓国映画界の実力派を集めたアンサンブル
中心となるチョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウに加え、ユン・ヨジョン、チョン・マンシク、チン・ギョン、シン・ヒョンビンらが参加。
一人だけを明確な主人公にするのではなく、それぞれの人物に欲望と事情を与えたことで、「誰が最後に金を手にするのか」というゲーム性が強くなっている。
善悪よりも生存本能で動く人間たちを、実力派俳優たちの演技で見せる韓国ノワールらしい群像劇となっている。
