映画『バスケットケース3』(1991)を紹介&解説。
映画『バスケットケース3』概要
映画『バスケットケース3』は、フランク・ヘネンロッター監督が手がけた『バスケットケース』シリーズ第3作にして完結編となるホラーコメディ。前作『バスケットケース2』の直後から物語が続き、精神的に不安定になったドウェインとベリアル、そしてグラニー・ルースのもとで暮らすフリークスたちに新たな騒動が巻き起こる。
主演はケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック、共演にアニー・ロス、ギル・ローパー、ダン・ビガーズら。オリジナル配給はShapiro-Glickenhaus Entertainmentで、後年にはトロマ・エンターテインメントの配信サービスTroma Now!でも展開された。
作品情報
| 日本版タイトル | 『バスケットケース3』 |
|---|---|
| 原題 | Basket Case 3: The Progeny |
| 製作年 | 1991年 |
| 本国公開日 | 1992年2月21日 |
| 日本公開日 | 2016年(「第3回 夏のホラー秘宝まつり2016」で日本初劇場上映) |
| ジャンル | ホラー/コメディ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 90分 |
| 前作 | 『バスケットケース2』(1990) |
| 監督 | フランク・ヘネンロッター |
|---|---|
| 脚本 | フランク・ヘネンロッター/ロバート・マーティン |
| 製作 | エドガー・イエヴィンズ |
| 製作総指揮 | ジェームズ・グリッケンハウス |
| 撮影 | ロバート・パオーネ |
| 編集 | グレッグ・シェルドン |
| 作曲 | ジョー・レンゼッティ |
| 出演 | ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック/アニー・ロス/ギル・ローパー/ダン・ビガーズ/ティナ・ルイーズ・ヒルバート/ジェームズ・オドハーティ |
| 製作 | Shapiro-Glickenhaus Entertainment |
| 配給 | Shapiro-Glickenhaus Entertainment(米国)/トロマ・エンターテインメント(後年・Troma Now!配信) |
あらすじ
前作で精神的に不安定となったドウェインは、グラニー・ルースのもとでフリークスたちと暮らしていた。一方、弟ベリアルの恋人イヴが妊娠し、一行は出産のため南部に住む医師ハルのもとへ向かう。しかしドウェインの行動をきっかけに地元警察が彼らの存在を知り、ベリアルの子どもたちをめぐる騒動へ発展していく。
主な登場人物(キャスト)
ドウェイン・ブラッドリー(ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック):ベリアルの双子の兄弟。前作の出来事によって精神的に不安定な状態となり、グラニー・ルースの家で拘束されながら暮らしている。ベリアルとの関係にも亀裂が入り、逃げ出そうとする行動が新たな騒動を招く。
ベリアル:ドウェインの元結合双生児である異形の兄弟。恋人イヴとの間に子どもが誕生し、父親となる。生まれたばかりの子どもたちが危険にさらされたことで、再び凄まじい戦闘能力を発揮する。
グラニー・ルース(アニー・ロス):社会から疎外されたフリークスたちを自宅で保護している女性。ドウェインやベリアルたちを率い、妊娠したイヴを助けるため一行を南部へ連れていく。
ハル(ダン・ビガーズ):グラニー・ルースと旧知の人物で、イヴの出産を手助けするため一行を迎える。さまざまな機械を作る発明家でもある。
リトル・ハル(ジェームズ・オドハーティ):複数の腕を持つ巨大なフリークス。イヴの出産を手助けするほか、後にベリアルの戦いを支える特殊な機械を作り上げる。
保安官グリフィン(ギル・ローパー):一行が訪れた町を管轄する保安官。ドウェインやベリアル、フリークスたちと接触したことから対立を深めていく。
オパール(ティナ・ルイーズ・ヒルバート):グリフィン保安官の娘。町を訪れたドウェインと出会い、彼の置かれた状況に関わっていく。
作品の魅力解説・レビュー
フリークスが“主役の一味”になったポップな完結編
シリーズ第1作ではベリアルの異形と残虐性そのものが強烈な恐怖として機能していたが、第3作ともなると作品の空気は大きく変化している。グラニー・ルースのもとに集まったフリークスたちは、もはや暗闇から現れる怪物というより、ひとつの奇妙なコミュニティだ。
次々と登場する個性的なフリークスの造形も含め、「愉快で奇妙な仲間たちに危機が迫る」という趣が強く、ホラーというより『アダムス・ファミリー』などを思わせるポップなダークファンタジーに接近している。さらにベリアルとイヴの間には大量の子どもたちまで誕生し、その強烈なデザインがシリーズの異形世界をさらに拡張する。
人間とフリークス、どちらが“怪物”なのか
前作のラストから地続きとなる本作で印象的なのは、異形のベリアル以上に“普通の人間”たちの狂気が前面へ出てくることだ。
見た目だけならベリアルや仲間たちは明らかに怪物。しかし彼らは家族を作り、仲間を守り、互いに助け合いながら暮らしている。一方、その存在を金や偏見の対象として扱う人間たちは、平然と彼らの生活を壊していく。
シリーズを通して描かれてきた「外見が異形なら怪物なのか」というテーマが、本作ではフリークス側を完全にひとつの共同体として描くことでより明快になる。ベリアルたちを恐れる側の人間こそ、時として最も醜悪な存在に見えてくる構図が出来上がっている。
ついに“メカ”まで操るベリアル
復讐に乗り出したベリアルの戦いも、シリーズ3作目らしくスケールアップ。今回は仲間の技術力まで借り、機械を操って暴れ回るという意外に文明的な進化を遂げる。
小さな身体で物陰から襲いかかっていた第1作から考えると、もはや別ジャンルと思えるほどダイナミック。ホラーとしての怖さよりも、ベリアルと仲間たちが反撃に転じる痛快さを楽しむ映画になっている。
ドウェイン自身の精神状態も含め、人間と怪物の境界をひっくり返しながら、異形の者たちの反乱へとシリーズを着地させる。『バスケットケース』の世界が最終的にここまで賑やかで奇妙な方向へ進化したこと自体が、本作最大の面白さといえる。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
