映画『バスケットケース2』(1990)を紹介&解説。
映画『バスケットケース2』概要
映画『バスケットケース2』は、フランク・ヘネンロッター監督が手掛けた『バスケットケース』(1982)の続編となるホラーコメディ。病院へ運び込まれたドウェインと異形の兄弟ベリアルが、グラニー・ルースに救われ、さまざまな姿を持つ“仲間”たちが暮らす屋敷へ身を寄せる。
前作の陰鬱な雰囲気から一転、個性豊かなクリーチャーを多数登場させながら、兄弟それぞれの変化や“普通”と“異形”の境界を描く。主演はケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック、共演にアニー・ロス、キャスリン・メイスル、ヘザー・ラトレイら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『バスケットケース2』 |
|---|---|
| 原題 | Basket Case 2 |
| 製作年 | 1990年 |
| 本国公開日 | 1990年3月2日 |
| 日本公開日 | 1990年8月17日 |
| ジャンル | ホラー/コメディ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 90分 |
| 前作 | 『バスケットケース』(1982) |
| 次作 | 『バスケットケース3』(1991) |
| 監督・脚本 | フランク・ヘネンロッター |
|---|---|
| 製作 | エドガー・イーヴィンス |
| 製作総指揮 | ジェームズ・グリッケンハウス |
| 撮影 | ロバート・M・ボールドウィン |
| 編集 | ケヴィン・テント |
| 作曲 | ジョー・レンゼッティ |
| 出演 | ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック/アニー・ロス/キャスリン・メイスル/ヘザー・ラトレイ/ジェイソン・エヴァース/テッド・ソレル |
| 製作 | Full Moon Productions |
| 配給 | Shapiro Glickenhaus Entertainment(米国)/ギャガ・コミュニケーションズ(日本)/トロマ・エンターテインメント(後年) |
あらすじ
大ケガを負い病院へ運び込まれたドウェインとベリアル。世間の注目を浴びる兄弟を救い出したグラニー・ルースと孫のスーザンは、彼らを自宅へと匿う。そこには、人目を避けて暮らすさまざまな姿の“仲間”たちがいた。ベリアルは自分とよく似たイヴと出会う一方、ドウェインの心には変化が生まれていく。
主な登場人物(キャスト)
ドウェイン・ブラッドリー(ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック):ベリアルと元々結合双生児として生まれた青年。前作での事件を経て病院へ搬送され、グラニー・ルースの屋敷に身を寄せる。異形の仲間たちに囲まれる中、自分は彼らとは違うという意識を強めていく。
ベリアル:ドウェインの兄弟。幼少期にドゥエインの身体から切り離され、バスケットの中で生活している異形の存在。グラニー・ルースの屋敷で、自分によく似たイヴと出会う。
グラニー・ルース(アニー・ロス):ドウェインとベリアルを病院から救い出す女性。世間から隠れるように生きているさまざまな異形の人々を自宅に匿い、ひとつの大きな家族として守っている。
スーザン(ヘザー・ラトレイ):グラニー・ルースの孫。祖母とともに屋敷で暮らす人々を支え、ドウェインとも親しくなっていく。
イヴ:グラニー・ルースのもとで暮らしている女性。ベリアルによく似た身体を持ち、過去の経験から他者に心を閉ざしていたが、ベリアルと出会ったことで変化していく。
マーシー・エリオット(キャスリン・メイスル):ドウェインとベリアルの行方を追う記者。兄弟の所在を突き止め、グラニー・ルースの屋敷に暮らす人々の存在にも迫っていく。
作品の魅力解説・レビュー
不気味な前作から、奇怪でポップなフリークス映画へ
不気味さの強かった前作に比べ、本作はどこかポップでコミカル。グラニー・ルースの屋敷にはベリアルだけでなく、カエルのような頭部を持つ者やガーゴイルを思わせる者など、“異常を持って生まれた人間”という範囲すら飛び越えたような面々が次々に登場する。
特殊メイクを担当したゲイブ・バルタロスらによる造形は、それぞれのシルエットを一目見ただけで区別できるほど強烈。奇妙でグロテスクでありながら妙に愛嬌もあり、前作とは違った意味で忘れがたい世界を作り上げている。
「僕たちは彼らとは違う」――兄弟それぞれが選ぶ居場所
ただクリーチャーを増やしただけの続編ではなく、物語の中心にはドウェインとベリアルそれぞれの変化がある。
同じ境遇のイヴと出会い、“仲間”の中に自分の居場所を見つけていくベリアル。一方のドウェインは、自分まで周囲と同じ存在として扱われることに反発し、「僕たちは彼らとは違う」と考えるようになる。
しかし周囲から返ってくるのは、「私は同じ」「あなたもそう」「私たちは皆同類」という言葉。外見上は“普通”に見えるドウェインと、誰の目にも異形と映るベリアルを通して、“こちら側”と“あちら側”を隔てているものは何なのかが揺さぶられていく。
兄弟の物語として一貫した、毒々しい結末
奇抜なクリーチャーが大量に登場するため賑やかな作品に見えるが、その根底にあるのは前作から続くドウェインとベリアルの切り離せない関係だ。
片方は新たな仲間や愛情を手に入れ、片方はそこから抜け出そうとする。正反対の方向へ進み始めた兄弟を最後に待つ展開は、本シリーズらしく悪趣味で、皮肉で、かなり毒々しい。
前作とは作風を変えながらも、「この兄弟は本当に離れて生きられるのか」という核はむしろ鮮明になった続編。強烈な造形のフリークスたちと、意外なほど一貫した兄弟のテーマが同居した1作となっている。
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ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
