映画『生きているんだ友達なんだ』(2026)を紹介&解説。
映画『生きているんだ友達なんだ』概要
短編映画『生きているんだ友達なんだ』は、ドラマ脚本家として活動してきた上野詩織が自身の実体験を基に手がけた、友人との別れと記憶を描くヒューマンドラマ。田舎町で単調な日々を送る主人公が、突然姿を消した友人の残した言葉をきっかけに環境を離れ、数年後に過去と向き合う姿を描く。主演は永瀬未留、共演にアサヌマ理紗、ジン・デヨン、笛木優子らが名を連ねる。
作品情報

『生きているんだ友達なんだ』©︎ 2025『生きているんだ友達なんだ』製作委員会
日本版タイトル:『生きているんだ友達なんだ』
英題:As Long As We’re Alive
製作年:2025年
日本公開日:2026年3月27日
ジャンル:ドラマ
製作国:日本
原作:無
上映時間:39分
監督:上野詩織
脚本:上野詩織
製作:山田咲季、宮沢一道
撮影:工藤雄太
編集:岩間徳裕
作曲:いいくぼさおり
出演:永瀬未留/アサヌマ理紗/ジン・デヨン/笛木優子/じゅんいちダビッドソン
製作:株式会社Lieetz.
配給:フリック
©︎ 2025『生きているんだ友達なんだ』製作委員会
あらすじ
現代の地方都市。パチンコ店で働きながら家計を支える優実は、奔放で年の離れた友人・石井と奇妙な関係を築いていた。ある日、石井は意味深なメモを残して突然姿を消す。残された言葉に導かれ、優実は日常を離れる決意をする。やがて数年後、都会で暮らす優実は過去の日々を思い返しながら、あの不在の意味と向き合っていく。

『生きているんだ友達なんだ』より ©︎ 2025『生きているんだ友達なんだ』製作委員会
主な登場人物(キャスト)
優実(永瀬未留):地方のパチンコ店で働きながら家計を支える女性。単調な日常を送る中、友人の存在によって日々に変化が生まれる。
石井(アサヌマ理紗):優実の年の離れた友人。無責任で奔放な性格だが、なぜか気の合う存在として優実のそばにいる。
清水(ジン・デヨン):優実が働くパチンコ店の同僚。
優実の母(笛木優子):働かず娘に依存して暮らす母親。
パチンコ店の常連客(じゅんいちダビッドソン):店に通う常連の客。
作品解説|魅力&テーマ
“どうしようもない関係”--停滞と安心は同義なのかもしれない
ドラマ脚本家として活動してきた上野詩織が自身の実体験を基に手がけた、友人との別れと記憶を描くヒューマンドラマ。田舎町で単調な日々を送る主人公が、突然姿を消した友人の残した言葉をきっかけに環境を離れ、数年後に過去と向き合う姿を描く。
側から本作の石井を見ていると、言うなれば「しょうもないやつ」でしかない。だが、自分が一緒にいて心地の良い友人が、果たして“人生の発展に良い影響を与える人物”かと問われると、そんなことはない気もする。いわゆる“いいやつ”であっても、“正しい善人”などではない人間は多いものだ。無責任で奔放な相手に呆れながらも受け入れ、自分のどうしようもない部分を受け入れてもらい、そんなところを笑い合える関係にこそ、安心と心地よさは宿るものだ。

『生きているんだ友達なんだ』より ©︎ 2025『生きているんだ友達なんだ』製作委員会
そういった、人生の前進には寄与しないどころかむしろ“停滞の象徴”かもしれない存在が、しかしそれゆえに心の拠り所であり、救いであることは少なくない。本作はそんな“離れ難いどうしようもない友人”というリアリティのある存在と、その存在に向けられる視線や感情、そしてその突然の不在を、確かな解像度で切り取っている。
時間と距離が教えてくれる、あの日々の価値
都会進出、キャリアアップ、就学——何でもいい。人生に前進をもたらすということは、多かれ少なかれそれまでの環境を手放し、距離を置くことを意味する。新たな場所に身を置き、時を経てふと過去を振り返ったとき、今のほうが前にいるはずなのに、あのくだらなかった日常が愛おしく、あの頃のほうがよほど幸せだったように思えてくることがある。

『生きているんだ友達なんだ』より ©︎ 2025『生きているんだ友達なんだ』製作委員会
離れて初めて見えてくる、あの救いと心地よさ。それが今はもうなく、簡単には戻れないという喪失感。それでもなお、思い出の中のあの存在はまだこの世界のどこかにいて、それぞれがその記憶を携えながら前へ進んでいるのだという、ささやかな安心感。そうした複雑な感情のすべてを、等身大のドラマとして描き出した本作は、深く共感できる一作だった。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
