ティモシー・シャラメがオペラやバレエを引き合いに出した発言が、芸術関係者の中で炎上状態に。
ティモシー・シャラメが映画のプロモーション中に語った発言が、オペラやバレエの関係者から反発を招いている。『Variety』誌が公開した俳優マシュー・マコノヒーとの対談映像の中で、シャラメがオペラやバレエを引き合いに出したコメントがSNSで拡散。英国のオペラハウスやオペラ歌手らが相次いで意見を表明し、議論が広がっている。
ティモシー・シャラメのオペラ・バレエ言及が炎上の火種に
アワードシーズンは俳優にとって多忙な時期である。レッドカーペットや授賞式への出席、数多くのインタビューや映画のプロモーションなどが重なり、発言の一つひとつが大きく注目を集める。
現在、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のプロモーションを行っているティモシー・シャラメも例外ではない。『Variety』誌が企画したマシュー・マコノヒーとのライブ対談では、現代の観客の集中力や、テンポの遅い映画への需要について議論が交わされた。
シャラメは、若い観客の間にもそうした作品を求める層は存在すると語り、「『これは真剣な映画だよ』って旗を振って示す必要はあると思うよ。娯楽を求めて、しかも手っ取り早く楽しみたいって人もいるからね。僕は中間くらいかな」と説明した。
一方で、映画文化を守ろうとする姿勢については理解を示しつつ、「トークショーに出て『映画館を守らなきゃ、このジャンルを守らなきゃ』って言える人たちは尊敬するし、自分でもやってきたよ。でも一方で、『バービー』や『オッペンハイマー』みたいに、観たい人は結局観に行って、堂々と好きだって言うものだとも思う」と語った。
その流れでシャラメは、「バレエやオペラみたいに、『ねえ!誰も興味ないけどこれを守れって言い続けるよ』というような立場にはなりたくないよね」と発言。さらに「バレエとオペラの関係者のみなさんには敬意を持ってるけど……今ので視聴率が14セント分くらい下がったかな。意味もない悪口を言っちゃったね」と続けた。
オペラハウスが反論「オペラとバレエは文化を形作ってきた」
この発言の一部がSNS上で拡散されると、オペラやバレエの関係者から反発の声が上がった。
英国のロイヤル・バレエ&オペラは米『ザ・ハリウッド・リポーター』誌に声明を寄せ、シャラメの発言に対する見解を示した。
同団体は声明の中で、「バレエとオペラは孤立して存在してきたわけではなく、絶えず他のアートフォームに影響を与え、インスピレーションを与え、高め続けてきました」と説明。さらに、その影響は演劇や映画、現代音楽、ファッションなど幅広い分野に及んでいると指摘した。
また、「何世紀にもわたり、これらの芸術は人々の創作と文化体験のあり方を形成してきており、今日も世界中の何百万もの人々がそれらを楽しみ、関わり続けています」と述べ、オペラやバレエの文化的意義を強調した。
オペラ歌手らも批判「これらのアートフォームを盛り上げるべきだ」
この発言に対しては、オペラ歌手など芸術関係者からも批判の声が上がっている。
アメリカ人オペラ歌手のイザベル・レナードは、シャラメの発言について「自分をアーティストだと自認しているだろうに、アートに対してこれほど言葉を選ばず偏狭な見方をできることにショックを受けた」とコメント。「仲間のアーティストに安っぽく悪口を言うって、このインタビューで他のどんな発言よりも人間性の多くを語ってると思う」「すべてのアートを好きである必要はないけど、じっくりと芸術を味わいたいと思っている人たちに、まさにそのきっかけを与えてくれる類のアートをわざわざ貶めるようなことをするのは、弱い人間・弱いアーティストだけだよ」と述べた。
また、カナダ人オペラ歌手のディーパ・ジョニーは、この発言を「がっかりする見解だ」と評した上で、「ライブシアター、バレエ、オペラの魔法ほど印象的なものはない」と指摘。「これらのアートフォームを、そのアーティストたちを盛り上げようと、分野を超えて一緒に活動していくべきだよ」と語った。
さらに、アイルランド人オペラ歌手のショーン・テスターもInstagramで見解を示し、「人気と文化的価値を混同したときに言われる、典型的な短絡的思考だ」と指摘。「これらは時代遅れのアートフォームじゃない。生きているアートフォームで、常に再解釈され、常に進化し続けてるんだ。オペラやバレエは戦争も生き延びてきた」と述べた。
シャラメの発言をきっかけに、映画と舞台芸術の関係や、オペラやバレエといったアートフォームの文化的価値について改めて議論が広がっている。
