ジム・キャリーがセザール賞名誉賞受賞-全編フランス語スピーチで祖先のルーツと家族への想い語る

ジム・キャリーがセザール賞名誉賞受賞-全編フランス語スピーチで祖先のルーツと家族への想い語る Awards & Festivals Coverage
ジム・キャリー

ジム・キャリーがセザール賞名誉賞を受賞。全編フランス語でスピーチを行った。


フランス映画界最高峰の祭典で、ひとりのハリウッドスターが異例の挑戦を見せた。ジム・キャリーが第51回フランス・セザール賞で名誉賞を受賞し、壇上では全編フランス語によるスピーチを披露。アメリカ訛りを残しながらも、真摯な言葉で観客に語りかけ、その姿は会場を感動に包んだという。

『マスク』『グリンチ』などコメディ作品で世界的な成功を収めてきたキャリーだが、この夜は笑いだけでなく、自身のルーツや家族への思いを静かに明かす場となった。

「粘土のように形作る」― 俳優という芸術への敬意

壇上でキャリーは、22年前に『エターナル・サンシャイン』で自身を起用したミシェル・ゴンドリー監督から紹介を受けた後、フランス語で語り始めた。

「俳優として、演じるキャラクターはそれぞれ、彫刻家の手の中の粘土のようなものだよ」と切り出し、「自分の心のままに形作ることができる」と続けた。そして、「本当に心を開いてくれたたくさんの人たちと、この芸術を分かち合えた僕はなんて幸運なんだろう」と語り、俳優という職業への感謝を示した。

ハリウッドのスターでありながら、キャリーは自身を“創作者のひとり”として位置づけ、映画という共同芸術への敬意を前面に出したのである。

「一周して元の場所に戻ってきた」― 300年前の祖先と結ばれた夜

スピーチの中盤、キャリーは自身の家系について語り始めた。

「約300年前、自分の六代前の先祖マルク=フランソワ・カレー、そう、カレー(Carré)がフランスのサン=マロで生まれ」と明かし、その後カナダへ移住したと説明。自身の姓がフランスに由来していることを観客に伝えた。

そして、この夜の受賞をこう表現した。「今夜このすばらしい栄誉によって、この“カレー“(キャリー)がついに一周して元の場所に戻ってきたんだよ」。

フランスで生まれた一族の名が、世代を越え、海を渡り、そして再びフランスの映画界最高峰の舞台へと戻る――その物語性は、単なる受賞スピーチを超えた象徴的な瞬間となった。

名誉賞という栄誉は、ひとりの俳優の功績を称えるものであると同時に、遠い祖先との見えない線を結び直す時間でもあったのである。

家族への感謝、そして最後はキャリーらしいユーモアで

スピーチの終盤、キャリーは壇上から客席に目を向け、同席していた家族への感謝を述べた。

「すばらしい家族に感謝したい」と語り、「娘のジェーン、孫のジャクソン、今も、そしてこれからもずっと愛してるよ」と続ける。そして交際相手についても「最高のパートナー、ミナにも感謝。愛してるよ、ミナ」と言葉を送った。

さらに彼は、「僕がこれまで出会った中で一番おかしな男――僕の父、パーシー・ジョセフ・キャリーに感謝したいよ」と紹介し、「愛すること、寛大であること、笑うことの大切さを教えてくれたんだ」と述べた。コメディアンとしての原点が、家族、とりわけ父親の存在にあったことをにじませる場面であった。

そして最後、会場に向けて問いかける。「それで、僕のフランス語はどうだったかな」。間を置いたあと、「まあまあひどかったよね。まだ学び始めたばかりだから許してほしい」と自虐気味に笑い、「舌が疲れちゃったよ」と締めくくった。

真摯な芸術論と家族への愛を語った後も、最後に残したのは軽やかなユーモア。その姿勢こそが、長年世界を笑わせ続けてきた俳優の本質を物語っていた。

【動画】ジム・キャリー、セザール賞でのスピーチ

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