前頭側頭型認知症を認識していないというブルース・ウィリスの現在を、妻エマ・ヘミング・ウィリスの言葉から伝える。
俳優のブルース・ウィリスが、自身が前頭側頭型認知症と診断されていることを「認識していない」状態にあることを、妻のエマ・ヘミング・ウィリスが明かした。
ポッドキャスト番組「The Unexpected Journey」に出演した彼女は、病気への理解や向き合い方について率直に語っている。
【動画】エマ・ヘミング・ウィリスが語るブルース・ウィリスの現在
病気を「認識していない」理由-失語症候群による脳の作用
エマ・ヘミング・ウィリスは、ブルースが自身の病状を理解していない理由について、神経学的な症状が関係していると説明する。前頭側頭型認知症や他の認知症に伴う失語症候群によって、「自分の脳に何が起きているのかを脳自体が認識できない」のだという。
この状態は、一般的に「否認」と受け取られることもあるが、彼女はそれを否定する。「『自分は大丈夫』だから医者に行きたくない、というふうに。でも実際には……この失語症候群が働いているのです」と語り、ブルースは「決して答えに到達しませんでした」と続けた。
さらに彼女は、「彼はこの病気を持っているという点と点を結びつけることがなかった」と述べ、「そのことが私は本当に嬉しい。彼がそれを知らないことが本当に嬉しいんです」と、自身の率直な思いを明かしている。
家族のことは分かっている-変わらない「つながり」のかたち
病気を認識していない一方で、ブルースは今も家族とのつながりを保っていると、エマ・ヘミング・ウィリスは語る。「彼は今でも自分の体の中にしっかりと存在しています」と述べ、周囲から投げかけられる問いにもはっきりと答えている。
「誰かが私に『ブルースはまだあなたが誰だか分かってる?』って聞いてくるとき、答えはYESです」。彼がアルツハイマー病ではなく前頭側頭型認知症であることにも触れ、「彼には私や子どもたちと繋がる方法があって」と説明した。
その関係性は、一般的にイメージされる「家族とのつながり」とは異なるかもしれない。それでも彼女は、「それでもとても美しくて意味のあるものです」と強調する。「ただ違うだけ。適応する方法を学んでいくのです」と語り、現在のブルースとの関係を受け止めている。
最初の変化に気づいた瞬間-「少し静かになった」
エマ・ヘミング・ウィリスは、ブルースに変化が現れた最初のきっかけについて、ある場面を振り返って語っている。昨年8月、ABCニュースのダイアン・ソーヤーとのインタビューで、彼女は次のように話した。
「ブルースはまだとてもアクティブです。ブルースは全体的に本当に健康状態が良いんです」。だがその一方で、言語機能の低下を感じていることも隠さなかった。「ただ、彼の脳が彼を裏切っているっていう感じ……言語が失われつつあって、私たちは適応することを学びました。私たちには彼とコミュニケーションを取る方法があって、それはただ……違う方法なのです」と述べ、変わりゆくコミュニケーションのかたちについて説明した。
最初に気づいた違和感は、社交の場でのブルースの様子だったという。普段は「とてもおしゃべりでとても関わってくる」タイプでありながら、家族や友人が集まると、彼は「少し静かになった」。その変化について彼女は、「家族が集まると、彼は少し溶けてしまうような感じになったんです」と説明し、「とても温かくて愛情深いブルースらしくなかった。それとは完全に正反対になったことは、警告的で怖かったです」と率直に振り返っている。
失語症から前頭側頭型認知症へ-家族が公表した診断の経緯
ウィリス一家は2022年、ブルースが失語症と診断されたことを公表した。失語症は、脳損傷によって引き起こされる言語障害で、会話や理解といったコミュニケーション能力に影響を及ぼす症状である。
その翌年となる2023年2月、家族は診断が前頭側頭型認知症へと進展したことを明らかにした。公表に際して、ソーシャルメディアには「これは辛いことではあるが、ついに明確な診断がついたことは安堵でもある」との言葉が記されている。
前頭側頭型認知症は、人格や行動、言語機能などに影響を及ぼす疾患であり、アルツハイマー病とは異なる特徴を持つ。エマ・ヘミング・ウィリスが語ってきたブルースの現在の姿も、そうした特性と重なり合うものだと言える。
