最新映画『シェルビー・オークス』を紹介&レビュー。
12月12日(金)公開の『シェルビー・オークス』は、YouTuber出身のクリス・スタックマン監督による初長編ホラーで、廃墟と化した町を舞台に超自然的な恐怖を描くミステリーだ。妹が謎の失踪を遂げた事件から十二年——姉ミアが一本の古い映像テープを手がかりに真相へと迫る。主演はカミーユ・サリヴァン、共演にサラ・ダーンら。
『シェルビー・オークス』あらすじ
物語は2000年代後半、心霊調査チーム「パラノーマル・パラノイド」が廃墟の町シェルビー・オークスで調査中に失踪した事件から始まる。12年後、妹の失踪を追う姉ミアは当時の映像テープを受け取り、町の過去と妹の行方を追い始める。そして映像が示す手がかりをもとに、彼女は恐るべき真実へと近づいていく——。
モキュメンタリーからパニックへ、二段構えの恐怖演出
いわゆるモキュメンタリーらしさを感じさせる冒頭にはじまり、記録映像をもとに謎を紐解いていくタイプのホラーとして幕を開ける本作だが、後半は主人公による現地調査が始まり、パニックシーンも織り交ぜたアクティブな展開へと移行していく。
冒頭から怪しげな男が自ら命を絶つという衝撃的な幕開けで一気に観客を引き込み、記録映像に関しては、ビデオテープのざらついた質感が映像の不明瞭さを際立たせ、何が起きているのか、ミアと共に画面を凝視せずにはいられない。ビデオには何やらバイオレンスな出来事が記録されているものの、その詳細は判然としない。「もっとはっきり見たい」という欲求に駆られながらも、この不明確さこそがパニック状態に陥った撮影者の手持ちカメラの映像として妙にリアルで、かえって観る者の不安な想像力を掻き立てる。
ミアが自身の経験や仮説を訴えても夫がなかなか信じてくれず、一人不安を募らせていくといったホラー映画でお馴染みの展開も挟みつつ、過去に刑務所で起きた暴動、冒頭の男性の不穏な挙動など、謎めいて不気味な事実が徐々に真相へと繋がっていくミステリータッチな作風も、観客を物語へと引き込む要素となっている。

『シェルビー・オークス』より © 2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved
架空の街に宿るリアリティと、終盤の王道さ
舞台となるシェルビー・オークスは架空の街だというが、ドキュメンタリー的な作風によってこの世のどこかに実在したかのような錯覚をもたらす。刑務所や観覧車の廃れた佇まいもリアルな美術で再現されており、その没入感は相当なものだ。
ただし、序盤の引き込む力に比べると、中盤以降の実地調査からミアのパニックに至るパートはやや衝撃に欠ける。派手にやるなら徹底的にやってほしいと思わせる中途半端な派手さで、終盤は若干尻すぼみになってしまっている感は否めない。とはいえ、廃れた街に隠されていた闇に親族が巻き込まれている事実へと直面していく過程に感情移入できれば、十分に不気味な体験として成立する内容ではあった。

『シェルビー・オークス』より © 2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved
YouTuber出身監督が生み出す、記録映像へのこだわり
監督がYouTuber出身ということもあり、記録映像のリアルさには相当なこだわりが感じられる作りになっている。近年、こうした動画配信者の活動から生まれるホラー作品は増えており、本作もその中で飛び抜けて際立った作品とまではいえないかもしれない。しかし、特に前述したシェルビー・オークスの世界観構築によるリアリティの演出は、本作における大きな魅力といえるだろう。
