『テリファー』犠牲者役キャサリン・コーコランが監督らを提訴-利益分配に関する裏切りと過酷な撮影状況を訴える

デヴィッド・ハワード・ソーントン演じるアート・ザ・クラウン、『テリファー』より © Dark Age Cinema,LLC NEWS
デヴィッド・ハワード・ソーントン演じるアート・ザ・クラウン、『テリファー』より © Dark Age Cinema,LLC

『テリファー』で被害者を演じた俳優キャサリン・コーコランが、契約違反などを理由に制作側を提訴した。


ホラー映画『テリファー』で、最も衝撃的な殺害シーンの犠牲者を演じた俳優キャサリン・コーコランが、出演契約に基づく報酬が支払われていないとして制作側を提訴した。作品の成功の裏で、低予算映画における俳優の労働環境と契約の不透明さが問われている。

『テリファー』犠牲者役の俳優が契約違反を主張-「若い女優を食い物に」と訴状で指摘

2016年に米公開された『テリファー』は、アート・ザ・クラウンと呼ばれる殺人ピエロが残酷な手口で人々を襲うスラッシャー映画だ。その中でも特に記憶に残るのが、逆さ吊りにされた女性をのこぎりで切断する「ノコギリ殺人」の場面である。このシーンで犠牲者ドーンを演じたキャサリン・コーコランは、カリフォルニア州連邦裁判所に訴訟を起こし、映画の制作陣が「約束された利益分配を行わなかった」と主張している。

訴状では、「この訴訟は、低予算映画のプロデューサーたちが詐欺、セクシャルハラスメント、そして最終的には裏切りを通じて若い女優を食い物にするという、あまりにもありふれた物語を提示するものである」と述べられている。作品が低予算ながらも興行的に大成功を収めた一方で、現場での待遇や契約の履行をめぐる問題が浮き彫りになっている。

低予算から1億ドルヒットへ-成功の陰で取り分を得られなかったと主張する俳優

『テリファー』シリーズは、近年のホラー界で最も劇的な成功を収めた作品のひとつだ。3作の制作費は総額で250万ドル(約3億8,100万円)未満ながら、世界興行収入は約1億ドル(約152億4,800万円)に達した。血みどろの残虐描写と狂気的な笑みを浮かべる殺人鬼アート・ザ・クラウンは、ホラーのアンダーグラウンドから這い上がり、やがてメインストリームへと食い込んだ。テレビ番組『ザ・トーク』では、上映中に観客が嘔吐したという逸話まで紹介されたほどだ。

しかし、そんなシリーズの象徴的シーンに出演したキャサリン・コーコランは、成功の恩恵をほとんど受けていないと主張する。彼女は当時、全米映画俳優組合(SAG)の最低日給である100ドル(約1万5,248円)での出演を了承する一方、「映画の利益の1%」を支払う契約を交わしたという。訴状によれば、対象には興行収入、ストリーミング、グッズ、ライブイベントなどすべての関連収益が含まれていた。

キャサリン・コーコラン演じるドーン、『テリファー』より © Dark Age Cinema,LLC

キャサリン・コーコラン演じるドーン、『テリファー』より © Dark Age Cinema,LLC

続編の公開後、断続的にロイヤリティの支払いを受けたものの、これまでの支給額は約8,300ドル(約126万5,600円)にとどまる。コーコランが監督のダミアン・レオーネやプロデューサーのフィル・ファルコーネに説明を求めた際、「軽くあしらわれた」「記録を残していないと言われた」と訴状は記している。

これに対し、レオーネ側の弁護士は「ダミアンとフィルは訴状の主張を否定し、この訴訟に対して徹底的に争うつもりです」と声明を発表している。

知らされぬ全裸シーンと過酷な撮影-SAG規則違反も訴えの対象に

訴状によると、キャサリン・コーコランは撮影前、殺害シーンで完全に裸になることを知らされていなかったという。これは全米映画俳優組合(SAG)の規則に反しており、同規則では性的に露骨なシーンを撮影する場合、出演者の書面による同意が義務付けられている。彼女は、制作側がこの合意を怠ったと主張している。

また、訴訟では撮影現場での過酷な状況についても詳述されている。逆さ吊りの状態で10時間にわたり撮影が続き、血液が頭部に溜まらないよう40秒ごとに体勢を調整したとされる。頭部の下にはプラットフォームが設置され、時折水平姿勢に戻されるものの、過酷な負担が続いたという。コーコランは後に医師から「頭蓋骨の腫れと鼓膜の損傷がある」と診断されたと述べている。

訴状では、制作側の低予算体制のもと、俳優が大きなリスクを負って作品を成立させたにもかかわらず、報酬や安全対策が軽視された構図が強く主張されている。コーコランの弁護士デヴィン・マクレーは「コーコランがこの制作にリスクを冒し、バックエンドで報酬を受け取ることに同意していなければ、このシリーズは存在しなかったでしょう」と述べ、「支払うべき時が来たとき、プロデューサーたちは彼女を騙すことを選んだのです」と訴えている。

訴訟の行方に注目だ。

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