『恋人たちの予感』ロブ・ライナー監督が語る“フェイク・オーガズム”撮影の裏側-母親の前での恥ずかしい経験が生んだ名場面

『恋人たちの予感』より © 1989 Castle Rock Entertainment, All Rights Reserved. NEWS
『恋人たちの予感』より © 1989 Castle Rock Entertainment, All Rights Reserved.

ロブ・ライナー監督が、映画『恋人たちの予感』の有名なデリのシーンで母親の前での場面を回想した。


母親の前での“フェイク・オーガズム”演出を回想

1989年公開の名作『恋人たちの予感』の監督ロブ・ライナーが、今も映画史に残る“フェイク・オーガズム”の撮影裏を語った。母親エステル・ライナーが登場客として「私も彼女と同じものを」と口にする場面を演じたことは有名だが、当時のライナー監督は“あれほど気まずい状況になるとは思っていなかった”という。
監督は米CBSの番組『60ミニッツ』に出演し、主演ビリー・クリスタルメグ・ライアンがデリでランチをとるあのシーンを振り返った。ライアンが全力で演じきれなかった初期テイクの後、ライナー監督は自ら手本を見せることになったという。

最初の何回かは、彼女は全力でやらなかったんだ。それで最終的に僕がビリーの向かいに座ったんだ。そして彼女のために演技してみせた。…それで僕はテーブルを叩いて、『イエス!イエス!イエス!』ってやってさ。そしたら気づいたんだよ、僕は母親の前でオーガズムを演じてるってね。母さんがあそこにいるわけだよ

ハッピーエンドは“私生活の変化”が生んだものだった

『恋人たちの予感』は、長年の友人関係を経て結婚に至るハリーサリーの物語で締めくくられる。しかしこの温かな結末は、当初の構想には存在しなかったという。

ライナー監督は『60ミニッツ』の中で、物語のラストをハッピーエンドに変更した背景を語っている。彼は実生活で現在の妻ミシェルと出会ったことがきっかけで、「人生にも希望を見出せるようになった」と感じ、脚本の結末を変える決断をしたという。

ミシェルはその後、監督のプロデューサーとして活動を共にしており、最新作『Spinal Tap II: The End Continues(原題)』にも参加している。現実の愛が物語の結末を動かしたというこの逸話は、作品に込められた“希望の温度”を一層感じさせるものとなっている。

41年ぶりの続編制作に「僕らは狂ってるよね」と苦笑

ライナー監督は、『スパイナル・タップ』の続編『Spinal Tap II: The End Continues(原題)』についても番組内で言及した。カルト的な人気を誇るオリジナルから41年を経ての新作に、「もう1本作るなんて僕らは狂ってるのか? 狂ってるよね。ハードルが高すぎるんだ」と苦笑交じりに語っている。

オリジナルで“ロックバンドを追うドキュメンタリー監督”として自らも出演したライナーは、続編でも同じ役を再演。今回の企画が実現した背景には、ハリー・シアラー(デレク・スモール役)が権利をめぐる訴訟に勝訴したことがあるという。

「今や40年後で、僕らはこの権利を持ってる:それでどうする?そして僕らはアイデアを出し始めたんだ」

【動画】『Spinal Tap II: The End Continues(原題)』米予告編

監督は、オリジナルの“モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)”スタイルを受け継ぎながらも、新しい時代の笑いと音楽文化をどう描くかに挑戦している。再集結したキャストたちは、再び即興演技を武器に、伝説のロックバンドを蘇らせる。

現実のロック逸話が生んだ“スパイナル・タップ”の笑い

ライナー監督は、シリーズ両作の根幹にあるのはキャストによる即興演技だと語る。彼はそれを“シュナデリング”と呼び、脚本の枠を超えて俳優たちが自由にキャラクターを掘り下げるスタイルを重視しているという。また、有名人のカメオ出演や、実際のロック業界の逸話から生まれたエピソードも多い。

どうやらヴァン・ヘイレンは契約に条項を入れてたらしいんだ:『茶色のM&Mは禁止』ってね。だからローディーが座って茶色のM&Mを取り除かなきゃいけなかったんだ。クレイジーだよね。それで僕らはそれを見て、『これはシーンになる』って言ったんだ

この実話が、劇中でクリストファー・ゲスト演じるナイジェル・タフネルが「パンが小さすぎる」と不満を漏らす有名な場面の発想源になったという。現実の逸話を“笑いの観察眼”で切り取り、虚構に溶け込ませるライナーの手腕は、41年経った今も健在だ。

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