カナダの俳優グラハム・グリーンが死去。『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でのオスカー候補で知られる。
1990年の映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で「蹴る鳥」を演じ、アカデミー賞助演男優賞候補となったカナダの俳優グラハム・グリーンが、長い闘病の末にトロントで死去した。享年73。先住民俳優としてハリウッドで活躍し、多くの作品で存在感を示した人物だった。
訃報と代表作
グラハム・グリーンは1952年にカナダのシックス・ネーションズ居留地で生まれ、1970年代から舞台俳優として活動を開始した。1983年の映画『ロンリーウェイ』などに出演した後、ハリウッドでの大きな転機となったのが1990年の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』である。ネイティブ・アメリカンの「蹴る鳥(キッキング・バード)」を演じ、1991年にアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。同作はケヴィン・コスナーが監督・主演を務め、作品賞と監督賞を含む7部門を受賞した。
多彩なキャリアと印象的なエピソード
『ダンス・ウィズ・ウルブズ』以降、グラハム・グリーンはハリウッドで幅広い役柄を演じ続けた。『マーヴェリック』『ダイ・ハード3』『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2』『モリーズ・ゲーム』といった大作に出演し、フランク・ダラボント監督の『グリーンマイル』ではアーレン・ビターバック役で登場。共演したトム・ハンクスらと共に全米映画俳優組合賞の最優秀アンサンブル演技賞候補にもなった。
また、2002年の『スキンズ(原題)』では、ラコタ・スー族居留地を舞台にした物語で存在感を発揮し、インディペンデント・スピリット賞の候補に選ばれた。
キャリアの中で特に知られるエピソードが、トニー・スコット監督の『クリムゾン・タイド』のオーディションでのやり取りである。スコットが「ネイティブアメリカンが潜水艦で働いているなんて、あまり想像できないね」と語った際、グリーンは即座にこう返した。
「もしあなたにそれが想像できたなら、太平洋で潜水艦に乗って死んだ私の4人の叔父たちにそのことを話させてもらうよ。ニューヨークまで来させてくれてありがとう。これからサーディーズにランチを食べに行くからね」。
この率直でユーモラスな応答は、彼の俳優としての強さと人間味を象徴する逸話として語り継がれている。
テレビでの活躍と受賞歴
グラハム・グリーンは映画だけでなくテレビでも豊富なキャリアを築いた。出演作には『たどりつけばアラスカ』『ジェシカおばさんの事件簿』『DEFIANCE/ディファイアンス』『弁護士ビリー・マクブライド』のほか、『レザベーション・ドッグス』『エコー』『リバーデイル』『THE LAST OF US』『タルサ・キング』などがあり、幅広いジャンルで存在感を放った。
演技以外の分野でも評価を受けており、2000年には『Listen to the Storyteller』での朗読により、子ども向け最優秀朗読アルバムとしてグラミー賞を受賞。さらにジェミニ賞やカナダスクリーン賞にも輝き、インディペンデント・スピリット賞の候補にも選ばれた。2021年にはカナダの殿堂入りを果たし、その功績が改めて認められている。
1952年にカナダ・シックス・ネーションズ居留地オシュウェケンで生まれたグリーンは、演劇を出発点として1970年代にはプロ舞台に立っていた。最期は妻ヒラリー・ブラックモアと娘リリー・ラザール=グリーンに看取られ、73年の生涯を閉じた。
