『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が世界興行収入1億4090万ドルで今年最大のオープニングを記録した。
ライアン・ゴズリング主演のSFアドベンチャー映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、全世界興行収入1億4090万ドル(約223億円)を記録し、2026年最大のオープニング成績を樹立した。人類を絶滅の危機から救う使命を課された理科教師を主人公に据えた本作は、オリジナル作品(シリーズやユニバースものでない作品)としても異例の好スタートとなり、映画市場における存在感を強く示している。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』興行収入で今年最大のオープニング-異例の記録
本作は、これまで今年最大の興行収入を記録していた『スクリーム7』を上回り、オープニング成績で首位に立った。また、Amazon MGMスタジオ作品としても、『クリード 炎の宿敵』を超える最速スタートとなるなど、同スタジオにとっても重要なマイルストーンとなっている。
さらに、コロナ禍以降に公開された続編や既存シリーズに依存しない作品の中で、初週の海外興行収入が5000万ドル(約79億円)を超えた作品としては、『オッペンハイマー』『F1/エフワン』に次ぐ第3位にランクイン。オリジナル作品のヒットが難しいとされる現在の市場環境において、その成功は特筆すべき動きである。
原作の強度と制作陣の手腕-ヒットを支える背景
本作のメガフォンを取るのは、『21ジャンプストリート』や『レゴ®ムービー』で知られるフィル・ロードとクリストファー・ミラー。物語は、かつて分子生物学者だった主人公が、気づかぬうちに重大な銀河間ミッションに巻き込まれていく姿を描く。
原作は、作家アンディ・ウィアーによる同名ベストセラー小説であり、同氏はマット・デイモン主演、リドリー・スコット監督によって映画化された『オデッセイ』の原作者としても知られる。『オデッセイ』はアカデミー賞7部門にノミネートされており、今回の映像化に対する期待の高さを裏付けていた。
『Variety』誌が報じた声明の中で、Amazon MGMの配給責任者ケヴィン・ウィルソンは、原作が「強力な土台」を与えたとしたうえで、監督陣が「視覚的に圧倒的で、心を鷲掴みにする映画を作り上げた」と評価。また、主演のライアン・ゴズリングについても、「圧倒的なグローバルな魅力とカリスマ性を持つ唯一無二のスター」と位置づけている。
ユーモアと評価の分かれる批評-作品性と現在の市場の中での位置づけ
制作費2億ドル(約317億円)を投じた本作について、主演を務めると同時にプロデューサーも兼ねるライアン・ゴズリングは、BBCニュースのインタビューの中で、SF作品におけるユーモアの重要性に言及。「プロデュースをやりたかった理由のひとつがそれだよ。そういう要素が共存できる環境を自分で作る必要があると感じたんだ」と語り、壮大な物語の中に軽やかさを取り入れる意図を明かしている。
批評面では評価が分かれている。BBCカルチャーの映画評論家ニコラス・バーバーは本作を「知的刺激に富んだSF」とし、「テンポよくエンタメとして成立している」と評したほか、『Empire』誌も「機知に富み、賢く、信じられないほど楽しい」と評価した。一方で『Variety』誌は「あまりにも没個性的で『インターステラー』などの過去作の焼き直しだ」と指摘。『Guardian』誌も「退屈な瞬間や子犬のようにはしゃいだシーンも散見される」としつつ、「ゴズリングは力みのない天性のスクリーン・プレイヤーであり、映画を見ごたえのあるものにし続けている」としている。
こうした賛否を含みながらも、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は非フランチャイズ作品としては異例の興行収入を記録し、AmazonによるMGM買収から5年を経て初の大型商業的ヒットとなる可能性を示している。ストリーミング企業間の競争が激化する中で、本作の成功は同社の映画戦略においても重要な転換点となりそうだ。
