タイカ・ワイティティが『ジャッジ・ドレッド』新作映画の監督に就任したことが明らかになった。
新作はタイカ・ワイティティ監督がメガホン-脚本はドリュー・ピアース
ハリウッドで新たに動き出した映画『ジャッジ・ドレッド』の企画が、業界関係者の間で話題を呼んでいる。監督に決まったのは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』『ジョジョ・ラビット』などで知られるタイカ・ワイティティ。脚本は『フォール・ガイ』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のドリュー・ピアースが担当する。
ピアースとワイティティは、かねてより同じコミックを読んで育った友人同士であり、長年にわたって一緒に取り組めるプロジェクトを模索してきたという。今回の企画では、これまでの映画版とは異なり、原作コミックの世界観やダークユーモアに重きを置いた構成が予定されている。単独作品として完結するだけでなく、ユニバース展開も視野に入れており、今後の展開に期待が高まっている。
『ジャッジ・ドレッド』の原点-1977年創刊『2000 AD』での登場
『ジャッジ・ドレッド』は、1977年に創刊された英国の週刊SFアンソロジー誌『2000 AD』の第2号で初登場したキャラクターである。原作を手がけたのは脚本家のジョン・ワグナーとアーティストのカルロス・エスケーラ。舞台は荒廃した未来都市メガシティ・ワン。ドレッドはそこで、警察・裁判官・陪審員・処刑人のすべての権限を一手に担う「ジャッジ」として法の番人を務める。
この作品は、権威主義や司法制度の過剰な力を風刺的に描いたことで話題を呼び、イギリスにおけるサブカルチャーの象徴ともなった。『2000 AD』はその後も英国SFの最前線を支える雑誌として評価され、ドレッドも同誌を代表する看板キャラクターとして連載を継続。関連コミックやグラフィックノベルは1億部以上の売上を記録し、ビデオゲームやボードゲーム、さらには切手にまで展開されるなど、その影響力は幅広い。
強烈なビジュアルと世界観、そして社会風刺を内包するストーリーは、後年の多くの作家や映画にも影響を与えており、今なお根強い人気を誇っている。
映像化の歴史-1995年と2012年の映画版
『ジャッジ・ドレッド』はこれまでに2度、長編映画として映像化されてきた。最初の映画化は1995年。主演を務めたのは当時のアクションスター、シルヴェスター・スタローンで、監督はダニー・キャノン。大規模なセットとVFX、豪華なキャストが話題を呼んだ一方で、原作への理解が不十分だったとの指摘も多く、批評・興行ともに芳しい評価は得られなかった。原作者であるジョン・ワグナーものちに「失望した」とコメントしている。
それから17年後の2012年、新たに制作されたのが『Dredd』(日本では同じ『ジャッジ・ドレッド』というタイトル)である。脚本はアレックス・ガーランドが手がけ、主演はカール・アーバン。メガシティ・ワンの一日を描く“デイ・イン・ザ・ライフ”形式を採用し、リアルかつ暴力的な描写と原作への忠実な世界観が高く評価された。劇場収入こそ伸び悩んだものの、Blu-ray/DVD市場では大ヒットを記録。原作ファンをはじめ多くの観客から支持を得て、カルト的人気を獲得するに至った。
原作者のワグナーも2012年版については「これは本当のJudge Dreddだ」と賛辞を送り、前作との差異を明確にしている。
今後の展望-ユニバース構想も視野に
今回の新作は、過去の映画化と一線を画し、より原作コミックにインスパイアされた世界観を構築することが目指されている。特に注目されているのは、原作が持つブラックユーモアや風刺性を反映しつつ、現代の観客にも届く“楽しいSFブロックバスター”としての方向性だ。
物語のログライン(概要)はまだ明かされていないが、今後の展開を見据えた“ジャッジ・ドレッド・ユニバース”の起点となることへの期待も英語圏では報道されている。
映画のみならず、ドラマシリーズやスピンオフ企画など、複数のメディア展開を視野に入れた本プロジェクト。ワイティティとピアースというユニークな感性を持つクリエイターの手によって、過去のイメージを更新する新たな“ジャッジ・ドレッド像”が描かれることになりそうだ。
