映画『リヴァー・トレイン』(2026)を紹介&解説。
映画『リヴァー・トレイン』概要
映画『リヴァー・トレイン』は、『永遠に僕のもの』(2018)で知られる俳優ロレンソ・フェロと、映像作家ルーカス・A・ビニャーレが共同監督を務めたアルゼンチンのドラマ。伝統舞踊マランボの才能を持つ9歳の少年ミロが、家族からの期待に息苦しさを感じ、憧れの大都市ブエノスアイレスへとひとり旅立つ姿を描く。現実的な田舎の暮らしと、幻想的な出来事が入り混じる都会での冒険を通して、少年が自分自身の人生を切り拓こうとする物語が展開する。主演はミロ・バリア、共演にルクレシア・パソス、マイレン・バリア、マリアノ・バリア、リタ・パウルスら。2026年の第76回ベルリン国際映画祭「Perspectives」部門で世界初上映され、第39回東京国際映画祭では「ユース」部門で上映される。
作品情報
| 日本版タイトル | 『リヴァー・トレイン』 |
|---|---|
| 原題 | El tren fluvial |
| 英題 | The River Train |
| 製作年 | 2026年 |
| 本国公開日 | 2026年10月8日 |
| 日本公開日 | 一般劇場公開未定(2026年10月26日、第39回東京国際映画祭で日本初上映) |
| ジャンル | ドラマ/ファンタジー/アドベンチャー |
| 製作国 | アルゼンチン |
| 上映時間 | 76分(東京国際映画祭上映版) |
| 監督・脚本 | ロレンソ・フェロ/ルーカス・A・ビニャーレ |
|---|---|
| 製作 | トマス・グランディオ/バレンティン・トレ/カシアナ・ベラ |
| 製作総指揮 | ニコラス・ペレス・ベイガ/ZZ/ダニエル・ノファル/エウヘニオ・フェルナンデス・アブリル |
| 撮影 | トマス・グリンベルグ |
| 編集 | アンドレス・メディナ/ルーカス・A・ビニャーレ |
| 作曲 | オニリア |
| 出演 | ミロ・バリア/ルクレシア・パソス/マイレン・バリア/マリアノ・バリア/リタ・パウルス/ファビアン・カサス/ペウェン・ペドレ/ディエゴ・プエンテ |
| 製作会社 | シンコ・ラヨス(Cinco Rayos)/プリモ(Primo) |
| 配給 | Lat-e(アルゼンチン)/日本配給未定(26年10月) |
あらすじ
アルゼンチンの片田舎で暮らす9歳の少年ミロ。彼は、ガウチョの伝統舞踊であるマランボに優れた才能を持ち、厳格な父親の指導のもと、日々練習を重ねている。
しかし、家族が期待する理想的な息子としての生活は、ミロにとって次第に息苦しいものになっていた。家事やダンスの練習に追われる日常のなかで、彼が憧れていたのは、映画のなかで見た大都市ブエノスアイレスだった。
ある日、ミロは家族に告げず、ひとりで列車に乗り込んで故郷を離れる。初めて訪れる都会では、田舎では出会うことのなかった人々や、予想もしなかった出来事が彼を待ち受けていた。
現実と幻想が交錯する不思議な旅を通して、ミロは家族の期待から自由になり、自分自身の望む人生を見つけようとする。
主な登場人物(キャスト)
ミロ(ミロ・バリア):アルゼンチンの地方に暮らす9歳の少年。伝統舞踊マランボの優れた才能を持ち、父親の厳しい指導を受けている。しかし、家族が求める理想の息子としての生活に息苦しさを感じ、ブエノスアイレスへとひとりで旅立つ。
マリアノ(マリアノ・バリア)
ルクレシア(ルクレシア・パソス)
教師(リタ・パウルス)
クリスタル(ペウェン・ペドレ)
ブエノスアイレスの駅の男(ディエゴ・プエンテ)
作品の魅力解説
家族の期待から抜け出そうとする9歳の少年
『リヴァー・トレイン』の中心にあるのは、自分の人生を自分で選びたいと願う9歳の少年の物語だ。
主人公ミロは、伝統舞踊マランボの才能を持ち、父親からも大きな期待を寄せられている。しかし、それは必ずしも本人が望む人生とは一致していない。
大人たちが期待する理想的な息子であることと、自分自身が本当にやりたいこと。そのふたつの間で揺れる少年は、家族のもとを離れ、未知の都会へと旅立つ。
家族からの自立や自由への憧れという普遍的なテーマを、9歳の子どもの視点から描いている点が、本作の大きな特徴だ。
アルゼンチンの伝統舞踊とマジックリアリズム
主人公が習っているマランボは、ガウチョと呼ばれるアルゼンチンの伝統的な牧畜民の文化に根ざした民俗舞踊だ。
力強い足踏みや複雑なステップを特徴とするダンスが、少年の才能を象徴すると同時に、彼に向けられる期待とも結びついている。
一方、ミロが旅立った先のブエノスアイレスでは、現実的な出来事と幻想的な光景が自然に入り混じっていく。
田舎の閉じた共同体と、自由に見えて孤独も存在する大都市。ふたつの世界を対比させながら、少年が目にする不思議な光景を通して、現実と夢の境界が曖昧になっていく。
アルゼンチンの地域文化と、どこか童話のような映像表現が結びついた作品となっている。
俳優ロレンソ・フェロの長編監督デビュー作
共同監督のひとりであるロレンソ・フェロは、犯罪映画『永遠に僕のもの』(2018)で主演を務め、国際的に注目されたアルゼンチンの俳優だ。
本作ではルーカス・A・ビニャーレとともに監督・脚本を担当。俳優としての活動から、長編映画を自ら作り出す立場へと挑戦している。
また、主演のミロ・バリアは、本作が映画出演デビューとなる少年だ。彼が暮らす地域でも実際に撮影が行われ、地元の鉄道駅や田園風景などが映画の舞台となっている。
共同監督のビニャーレは2026年6月に亡くなっており、本作が最後の長編監督作品となった。
若い映画作家ふたりによる長編デビュー作であり、国際映画祭を通じて紹介された作品としても注目される。
