『君の名は。』解説|どんな映画?あらすじ・声優キャスト・魅力・レビューまとめ

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映画『君の名は。』(2016)を紹介&解説。


映画『君の名は。』概要

映画『君の名は。』は、新海 誠監督(『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』)が、身体の入れ替わりを経験する高校生たちの運命を描いた長編アニメーション映画。東京で暮らす男子高校生・立花 瀧と、飛騨の山深い田舎町に暮らす女子高校生・宮水三葉が、奇妙な夢を通して互いの身体と生活を行き来する。

青春ラブコメディーの親しみやすさに、日本の伝統、時間と記憶、災害、離れた誰かを求め続ける切実な思いを重ねた物語。声の出演は神木隆之介上白石萌音長澤まさみ市原悦子ら。音楽と劇中歌をRADWIMPSが担当し、国内興行収入250億円を超える歴史的ヒットを記録した。

作品情報

日本版タイトル 『君の名は。』
英題 your name.
製作年 2016年
日本公開日 2016年8月26日
ジャンル アニメーション青春恋愛ファンタジー
製作国 日本
上映時間 107分
監督・原作・脚本・編集 新海 誠
製作 市川 南/川口典孝/大田圭二
企画・プロデュース 川村元気
製作総指揮 古澤佳寛
プロデューサー 武井克弘/伊藤耕一郎
キャラクターデザイン 田中将賀
作画監督 安藤雅司
美術監督 丹治 匠/馬島亮子/渡邉 丞
音響監督 山田 陽
音楽 RADWIMPS
声の出演 神木隆之介/上白石萌音/長澤まさみ/市原悦子/成田 凌/悠木 碧/島﨑信長/石川界人/谷 花音
制作 コミックス・ウェーブ・フィルム
製作 「君の名は。」製作委員会
配給 東宝

あらすじ

1000年ぶりとなるティアマト彗星の接近を1カ月後に控えた日本。山深い田舎町・糸守町で暮らす女子高校生の宮水三葉は、町長である父親の選挙運動や、家系の神社に伝わる古い風習に窮屈さを感じ、東京での華やかな生活に憧れていた。

そんなある日、三葉は自分が東京の男子高校生になっている奇妙な夢を見る。一方、東京で暮らす立花 瀧も、見知らぬ田舎町で女子高校生として過ごす夢を見ていた。

何度も繰り返される夢と、抜け落ちている記憶。やがてふたりは、自分たちの身体が入れ替わっていることに気づく。互いのスマートフォンにメモを残し、それぞれの生活を守るためのルールを決める瀧と三葉。しかし、少しずつ心を通わせ始めた矢先、入れ替わりは突然途切れてしまう。三葉のことが忘れられない瀧は、記憶の中にある風景を頼りに、まだ直接会ったことのない彼女を捜し始める。

主な登場人物(キャスト)

立花 瀧(神木隆之介):東京の都心で暮らす男子高校生。友人たちと学校生活を送りながら、イタリアンレストランでアルバイトをしている。建築や美術に関心があり、アルバイト先の奥寺ミキにひそかな思いを寄せている。ある日から、見知らぬ田舎町の女子高校生になる夢を見るようになる。

宮水三葉(上白石萌音):山深い糸守町に暮らす女子高校生。宮水神社の巫女を務め、祖母の一葉、妹の四葉と3人で暮らしている。閉鎖的な町や神社の風習に息苦しさを感じ、東京での生活に強く憧れている。瀧との入れ替わりを通して、念願だった都会の日常を経験する。

奥寺ミキ(長澤まさみ):瀧が働くイタリアンレストランの先輩。美人で大人びた女子大学生であり、瀧を含む男性スタッフたちの憧れの存在。入れ替わった三葉の積極的な行動をきっかけに、瀧との距離を縮めていく。

宮水一葉(市原悦子):三葉と四葉の祖母で、宮水神社の神主。娘を亡くし、家を出た娘婿に代わって孫たちを育ててきた。神社に伝わる信仰や組紐、“結び”の意味を三葉たちに教える。

勅使河原克彦(成田 凌):三葉の同級生で、通称“テッシー”。オカルトや機械に詳しく、地元で建設会社を営む父親に複雑な感情を抱えている。三葉のことが気になっており、彼女の大胆な計画に協力する。

名取早耶香(悠木 碧):三葉の同級生で幼なじみ。通称“サヤちん”。穏やかで常識的な性格だが、大切な友人のためには危険を伴う行動にも踏み出す。勅使河原に思いを寄せている。

宮水四葉(谷 花音):三葉の妹で、小学4年生。年齢の割にしっかりした性格で、姉や祖母とともに宮水神社の家業を手伝っている。突然奇妙な振る舞いを見せるようになった三葉に戸惑う。

作品の魅力解説

入れ替わりコメディーから大きく姿を変える物語

本作の導入は、田舎の女子高校生と都会の男子高校生が「入れ替わってる!?」という、親しみやすい青春コメディーだ。異性の身体や生活に戸惑うふたりの姿をテンポよく描きながら、スマートフォンのメモや互いに決めたルールを通して、直接会ったことのないふたりの関係を育てていく。

しかし、物語は単純な男女入れ替わりものでは終わらない。入れ替わりが途絶えたことを境に、時間、記憶、土地に残された歴史、避けられない喪失をめぐる物語へと変化する。前半で何気なく示された会話や習慣が後半の展開と結びつき、ラブストーリーと災害をめぐるドラマがひとつに収束していく構成は、本作の大きな見どころだ。

新海作品の映像美が到達したひとつの頂点

新海作品が以前から得意としてきた空、雲、光、都市の建築物、電車といった背景表現に、田中将賀による華のあるキャラクターデザインと、安藤雅司による実感を伴った人物作画が加わった。東京の雑踏と糸守町の自然、夕暮れの空、水面に反射する光、夜空を横切る彗星まで、日常と幻想の双方が圧倒的な密度で描かれている。

『言の葉の庭』で大きく進化した人物の表情や水の表現を受け継ぎつつ、本作では背景、無機物、キャラクターのすべてが高い水準で統合された。人物だけが背景から浮くことなく、美しい世界の中で確かに生活しているように感じられるビジュアルは、新海アニメーションのひとつの到達点といえる。

RADWIMPSの音楽と一体化した映像演出

RADWIMPSは劇伴に加え、「夢灯籠」「前前前世(movie ver.)」「スパークル(movie ver.)」「なんでもないや(movie ver.)」という4曲のボーカル曲を提供。楽曲は単なる挿入歌ではなく、登場人物の感情や時間の流れを押し進める物語の一部として使われている。

特に「前前前世」に乗せた入れ替わり生活のモンタージュは、ふたりの日常、関係性の変化、青春の高揚感を短い時間に凝縮。映像と音楽が互いを加速させる、ミュージックビデオ的な躍動感を生み出した。一方、RADWIMPSのサウンドやテンポの速い演出が前面に出たことで、それまでの新海作品にあった静けさや余白、叙情的で詩的な空気が薄れたと感じる余地もある。

ポップな台詞、コミカルな人物表現、観客を迷わせない感情的な盛り上がりなど、本作は過去作より明確に大衆的でキャッチーな方向へ踏み出している。その変化には寂しさも伴うが、従来の新海作品の美意識を幅広い観客へ届け、歴史的ヒットへつなげた重要な転換点でもある。

入れ替わりを演じ分ける神木隆之介と上白石萌音

神木隆之介と上白石萌音は、それぞれ瀧と三葉を演じるだけでなく、相手が自分の身体に入っている状態まで声で表現する。言葉遣い、声の高さ、間の取り方、感情の出し方を細かく変えることで、画面上の姿とは異なる人物が中にいることを自然に伝えている。

前半のコメディーでは演じ分けが笑いを生み、後半では離れた相手の存在を感じさせる重要な手掛かりになる。長澤まさみ、市原悦子、成田 凌、悠木 碧らの声も、物語の舞台となる東京と糸守町の日常に温度と現実感を与えている。

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