映画『マンハッタンの哀愁』(1965)を紹介&解説。
映画『マンハッタンの哀愁』概要
映画『マンハッタンの哀愁』は、『天井桟敷の人々』『霧の波止場』などで知られるマルセル・カルネ監督が、ジョルジュ・シムノンの同名小説を映画化したフランス製の恋愛ドラマ。妻に裏切られてパリを離れた俳優フランソワと、夫と別れて孤独を抱える女性ケイが、夜のマンハッタンで出会い、傷ついた者同士として惹かれ合っていく。
主演はアニー・ジラルドとモーリス・ロネ。共演にガブリエレ・フェルゼッティ、ジュヌヴィエーヴ・パージュ、ローラン・ルザッフルら。若き日のロバート・デ・ニーロもクレジットなしの小さな役で出演している。
作品情報
| 日本版タイトル | 『マンハッタンの哀愁』 |
|---|---|
| 原題 | Trois chambres à Manhattan |
| 製作年 | 1965年 |
| 本国公開日 | 1965年11月10日 |
| 日本公開日 | 1966年3月5日 |
| ジャンル | ドラマ/恋愛 |
| 製作国 | フランス |
| 原作 | ジョルジュ・シムノン『Trois chambres à Manhattan』(小説) |
| 上映時間 | 111分 |
| 監督 | マルセル・カルネ |
|---|---|
| 脚本 | マルセル・カルネ/ジャック・シギュール |
| 製作 | シャルル・リュンブローゾ |
| 撮影 | オイゲン・シュフタン |
| 編集 | アンリ・ルスト |
| 作曲 | マル・ウォルドロン/マルシャル・ソラル |
| 出演 | アニー・ジラルド/モーリス・ロネ/O・E・ハッセ/ローラン・ルザッフル/ガブリエレ・フェルゼッティ/ジュヌヴィエーヴ・パージュ/マーガレット・ノーラン/ロバート・デ・ニーロほか |
| 製作 | レ・プロデュクシオン・モンテーニュ |
| 配給 | コシノール(フランス)/松竹映配(日本) |
あらすじ
パリで俳優として成功していたフランソワは、自分を支えてきた妻ヨランドが若い俳優と恋に落ちたことで結婚生活を失う。傷心のままニューヨークへ移った彼は、以前の華やかな生活から遠く離れた孤独な日々を送っていた。
ある夜、マンハッタンの酒場でフランソワはケイという女性と出会う。ケイもまた外交官の夫と別れ、心に深い孤独を抱えていた。互いの過去もよく知らないまま惹かれ合ったふたりは、一緒に暮らし始める。しかし、ケイの娘の病気をきっかけに彼女が元夫のいるメキシコへ向かったことで、ようやく築き始めたふたりの関係に不安と嫉妬が入り込んでいく。
主な登場人物(キャスト)
ケイ・ラルジ(アニー・ジラルド):外交官の夫と別れ、ニューヨークで暮らしている女性。孤独を抱えていたところでフランソワと出会い、互いに傷を癒やすように関係を深めていく。
フランソワ(モーリス・ロネ):かつてパリで成功していた俳優。妻ヨランドとの結婚生活が破綻したことをきっかけにニューヨークへ移り、新しい人生を始めようとしている。
ラルジ伯爵(ガブリエレ・フェルゼッティ):ケイの別れた夫で外交官。ふたりの間には娘がおり、その存在がケイとフランソワの関係にも影響を与える。
ピエール(ローラン・ルザッフル):ニューヨークでケイと関わりを持つパイロット。
ヨランド(ジュヌヴィエーヴ・パージュ):フランソワの妻。若い俳優との恋によってフランソワとの結婚生活を終わらせ、彼がパリを離れるきっかけを作る。
作品の魅力解説
夜のマンハッタンに重ねられる、大人の孤独と恋愛
『マンハッタンの哀愁』が描くのは、若々しく華やかな恋というよりも、それぞれに失敗や喪失を経験した男女が孤独から逃れるように寄り添う関係だ。フランソワもケイも、自分ひとりでは埋められない空白を抱えている。そのため、ふたりの恋愛には幸福だけでなく依存や嫉妬、不安も絶えず付きまとう。
モノクロで捉えられたニューヨークの夜景や室内空間、ジャズを基調とした音楽も、都会の中で孤立するふたりの心理と結びついている。タイトルにある「三つの部屋」も、ふたりの関係が変化していく過程を象徴する重要なモチーフとなっている。
アニー・ジラルドがヴェネツィア国際映画祭で最優秀女優賞
ケイを演じたアニー・ジラルドは、本作で1965年の第26回ヴェネツィア国際映画祭ボルピ杯・最優秀女優賞を受賞。愛情を求めながらも完全には相手を信じきれない複雑な女性を演じ、本作の心理ドラマを支えている。
マルセル・カルネが『天井桟敷の人々』などで築いた古典的なフランス映画の美学を、1960年代のニューヨークという異質な舞台へ持ち込んだ作品としても興味深い。
ロバート・デ・ニーロ最初期の映画出演作
映画史的には、後に『タクシードライバー』『レイジング・ブル』などで世界的スターとなるロバート・デ・ニーロが、クレジットなしの非常に小さな役で出演していることでも知られる。
当然ながらデ・ニーロを目的に観る作品と呼べるほどの出番ではないが、本格的に名前が知られる以前のキャリアをたどるうえでは貴重な一本。その後『Greetings』『御婚礼/ザ・ウェディング・パーティー』など初期作品を経て頭角を現していく彼の、最初期のスクリーン出演を確認できる。
【投稿時間】
2024/10/20/05:52
