『ヘキサゴン 恐怖の館』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『ヘキサゴン 恐怖の館』(1972)を紹介&解説。


映画『ヘキサゴン 恐怖の館』概要

映画『ヘキサゴン 恐怖の館』は、『激突!』を成功させたスティーヴン・スピルバーグ監督が、その直後に手がけた初期のテレビ映画。田舎の古い農家へ移り住んだ一家が、正体の見えない邪悪な存在に脅かされていくオカルトホラーだ。脚本は、のちに『燃えよドラゴン』を監督するロバート・クローズ。主演のサンディ・デニスとダーレン・マクギャヴィンに加え、ラルフ・ベラミー、ジェフ・コーリー、ジョニー・ウィテカーらが出演している。

作品情報

日本版タイトル 『ヘキサゴン 恐怖の館』
原題 Something Evil
製作年 1972年
本国公開日 1972年1月21日(CBS初回放送)
日本公開日 劇場未公開(ビデオ発売)
ジャンル ホラー/オカルト
製作国 アメリカ
原作 無
上映時間 73分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ロバート・クローズ
製作 アラン・ジェイ・ファクター
撮影 ビル・バトラー
編集 アラン・ジェイコブズ
作曲 ウラジミール・セリンスキー
出演 サンディ・デニス/ダーレン・マクギャヴィン/ラルフ・ベラミー/ジェフ・コーリー/ジョニー・ウィテカー/ジョン・ルービンスタイン
製作 CBSエンターテインメント・プロダクションズ/ベルフォード・プロダクションズ
配給 CBS(アメリカ/テレビ放送)/劇場未公開(日本)

あらすじ

広告業界で働くポール・ウォーデンは、妻マージョリー、息子スティーヴィー、幼い娘ローリーとともに、都会を離れてペンシルベニア州の古い農家へ移り住む。自然に囲まれた新生活は穏やかに始まるが、やがてマージョリーは、夜中に響く赤ん坊の泣き声や納屋で起こる不可解な現象に悩まされるようになる。周囲で不吉な出来事が相次ぎ、息子の様子にも変化が現れる中、マージョリーは家族を狙う邪悪な存在の正体を突き止めようとする。

主な登場人物(キャスト)

マージョリー・ウォーデン(サンディ・デニス):ポールの妻で、絵や造形作品を手がける芸術家。田舎での暮らしを望んで農家へ移住するが、次第に家の中に潜む邪悪な気配を感じ取り、家族を守ろうと奔走する。

ポール・ウォーデン(ダーレン・マクギャヴィン):マージョリーの夫。ニューヨークの広告業界で働いているため家を空けることが多く、妻が訴える超自然的な現象に対して当初は懐疑的な姿勢を取る。

スティーヴィー・ウォーデン(ジョニー・ウィテカー):ポールとマージョリーの息子。引っ越し後、悪夢にうなされるようになり、家に潜む存在の影響をうかがわせる不可解な行動を見せ始める。

ハリー・リンカーン(ラルフ・ベラミー):ウォーデン一家の近隣に暮らす老人。オカルトや土地にまつわる言い伝えに詳しく、怪異に悩むマージョリーへ助言を与える。

ゲールマン(ジェフ・コーリー):以前、この農場で働いていた男。迷信深く風変わりな人物だが、屋敷に描かれている図形や、土地に潜む邪悪な存在について重要な知識を持つ。

作品の魅力解説

正体を見せず、気配によって恐怖を作り出す演出。夜中に聞こえる赤ん坊の泣き声、閉ざされた納屋、ひとりでに動く扉や吹き荒れる風など、本作は邪悪な存在そのものを直接見せず、登場人物の反応と周囲の異変によって恐怖を表現している。敵の姿を最後まで明確に捉えさせない点は『激突!』とも共通しており、限られた予算と放送規制の中で不安を生み出す、若きスピルバーグの演出力を確認できる。

後年の作品へとつながる、家族と超常現象への関心。平穏な家庭へ説明のつかない悪意が侵入し、とりわけ子どもが脅威にさらされる構図は、スピルバーグが脚本と製作を務めた後年の『ポルターガイスト』を先取りするものでもある。母親の孤立と不安を中心に物語を進めるサンディ・デニスの神経質な演技も、怪異が現実なのか精神的な変調なのかという曖昧さを生んでいる。

一方で、一本の恐怖映画としては物足りなさも残る。『激突!』には追走劇という明快で強力な推進力があったのに対し、本作の怪異は断続的に発生し、悪魔憑きをめぐる物語にも定型的な部分が目立つ。敵を見せない不気味さはあるものの、それが本作ならではの鮮烈な恐怖や強い緊張感には十分結びついておらず、73分のテレビ映画でありながら集中を保ちにくい場面もある。スピルバーグ初期の作家性をたどる資料としては興味深いが、単体のホラー作品としては『激突!』ほどの衝撃や完成度を期待しにくい一作である。

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