『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ Database - Films
『ソウ5』より © 2008 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.

映画『ソウ5』(2008)を紹介&解説。


映画『ソウ5』概要

映画『ソウ5』は、ソリッド・シチュエーション・スリラー『ソウ』シリーズの第5弾。ジグソウことジョン・クレイマーの死後も続く“死のゲーム”と、その後継者をめぐる疑念を描くホラー/サスペンスである。前作『ソウ4』の出来事を受け、FBI捜査官ストラムがホフマン刑事への疑いを深める一方、5人の男女が新たな密室ゲームに巻き込まれていく。監督はシリーズで美術・プロダクションデザインを手がけてきたデヴィッド・ハックル。出演はトビン・ベル、コスタス・マンディロア、スコット・パターソン、ベッツィ・ラッセル、ジュリー・ベンツ、ミーガン・グッドら。

作品情報

日本版タイトル:『ソウ5』
原題:Saw V
製作年:2008年
本国公開日:2008年10月24日(米国)
日本公開日:2008年11月28日
ジャンル:ホラー/スリラー/サスペンス
製作国:アメリカ/カナダ
原作:無
上映時間:93分
前作:『ソウ4』(2007)
次作:『ソウ6』(2009)

監督:デヴィッド・ハックル
脚本:パトリック・メルトン/マーカス・ダンスタン
製作:マーク・バーグ/オーレン・クールズ/グレッグ・ホフマン
製作総指揮:ダニエル・ジェイソン・ヘフナー/ジェームズ・ワン/リー・ワネル/ステイシー・テストロ/ピーター・ブロック/ジェイソン・コンスタンティン
撮影:デヴィッド・A・アームストロング
編集:ケヴィン・グルタート
作曲:チャーリー・クロウザー
出演:トビン・ベル/コスタス・マンディロア/スコット・パターソン/ベッツィ・ラッセル/マーク・ロルストン/カルロ・ロータ/ジュリー・ベンツ/グレッグ・ブリック/ローラ・ゴードン/ミーガン・グッド
製作:ツイステッド・ピクチャーズ
配給:ライオンズゲート(米国)/アスミック・エース(日本)

あらすじ

ジグソウことジョン・クレイマーが死んだ後も、残虐なゲームは終わっていなかった。前作の事件から生還したホフマン刑事は英雄視されるが、FBI捜査官ピーター・ストラムは、彼こそがジグソウの後継者ではないかと疑い始める。一方、見知らぬ5人の男女がコンクリートの密室で目を覚まし、互いの過去と生存本能を試される新たなゲームに巻き込まれていく。

主な登場人物(キャスト)

ジグソウ/ジョン・クレイマー(トビン・ベル):命の価値を試すと称し、数々の残酷なゲームを仕掛けてきた人物。すでに死亡しているが、録音や遺された計画を通じて物語全体に強い影を落とす。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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マーク・ホフマン刑事(コスタス・マンディロア):前作の事件から生還し、ジグソウ事件の捜査に関わる刑事。表向きは事件解決に貢献した人物として扱われるが、ストラムは彼がジグソウの後継者ではないかと疑う。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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ピーター・ストラム捜査官(スコット・パターソン):ジグソウ事件を追うFBI捜査官。死のゲームから生き延びたことで事件の裏側に踏み込み、ホフマンの行動に不信感を抱いていく。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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ジル・タック(ベッツィ・ラッセル):ジョン・クレイマーの元妻。ジグソウの過去や遺品に関わる存在として登場。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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ダン・エリクソン捜査官(マーク・ロルストン):FBI捜査官。ジグソウ事件の捜査を続ける中で、ストラムの行動にも目を向けていく。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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ブリット(ジュリー・ベンツ)、チャールズ(カルロ・ロータ)、マリック(グレッグ・ブリック)、アシュリー(ローラ・ゴードン)、ルーバ(ミーガン・グッド):密室ゲームに参加させられる5人の人物。極限状況の中で他者への不信と生存本能を露わにしていくが、終盤に彼らにまつわる秘密が明らかになる。

『ソウ5』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

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作品の魅力解説

本作の魅力は、単なる“次のデスゲーム”ではなく、ジグソウの死後に残された思想と後継者問題を真正面から扱っている点にある。前作『ソウ4』の直後から物語が進むため、ホフマンとストラムの追う者・追われる者の構図が、シリーズ全体の謎解きとして機能している。

また、5人の男女が挑むゲームは、個人の痛みだけでなく「なぜ人は利益を独占し、協力しないのか」という心理的なテーマを強調している。互いを信じれば別の道があったかもしれない状況の中で、疑心暗鬼や利己心が恐怖を加速させていく構造が見どころである。

さらに、フラッシュバックを通じてジグソウとホフマンの関係が整理され、過去作で描かれてきた事件の見え方が変化していく点も重要だ。シリーズを追ってきた観客ほど、時系列のつながりや“ゲームの設計者”をめぐる視点の変化を楽しめる構成になっている。

ストーリー解説(ネタバレ)

冒頭、セス・バクスターが“振り子の罠”にかけられる

『ソウ5』は、過去作と同じく、いきなり強烈なゲームの場面から幕を開ける。最初に登場するのは、セス・バクスターという男。彼は殺人罪で有罪になった人物だが、刑務所から出所していた。セスは気がつくと、金属製の台に体を固定され、身動きが取れない状態に置かれている。頭上には巨大な振り子状の刃があり、時間が経つごとに刃は少しずつ彼の体へ近づいてくる。

再生される録音は、いつものジグソウのゲームのように、セスに“生き延びるための選択”を提示する。彼が助かるには、両手をそれぞれプレス機のような装置に差し込み、自ら手を潰さなければならない。極限の恐怖の中、セスは苦痛に耐えながら指示通りに手を潰す。しかし、本来ジグソウの罠であれば、犠牲者が条件を満たせば生き残る可能性が残されるはずだが、この罠ではそうならない。セスが条件を達成しても、振り子の刃は止まらず、そのまま彼の体を切り裂く。

この時点では、観客にはまだ“本当にジグソウの仕業なのか”は明かされない。

『ソウ4』直後、ストラム捜査官は密室から脱出しようとする

物語はその後、前作『ソウ4』のラスト直後へつながる。FBI捜査官ピーター・ストラムは、ジグソウことジョン・クレイマー、アマンダ・ヤング、リン・デンロン、そして前作で自身が射殺したジェフ・デンロンらの遺体がある部屋に閉じ込められている。ホフマン刑事によって密室に残されたストラムは、部屋の中を調べ、隠し扉とテープレコーダーを発見する。

テープの声はストラムに対し、その場に留まり、救助を待つよう警告する。しかし、ストラムはその言葉を信用せず、隠し通路へ進む。すると、豚のマスクを被った人物に襲撃され、意識を失う。ストラムはジグソウ事件を追ってきた捜査官であり、ここで“罠にかけられる側”へと立場が反転する。

ストラムは“ウォーター・キューブ”から生還する

ストラムが目を覚ますと、頭部全体が透明な箱のような装置に閉じ込められている。箱の中には水が流れ込み、彼は呼吸ができなくなっていく。酸素を奪われ、逃げ場もない中で、ストラムはペンを使い、自ら喉に穴を開けることで緊急の呼吸手段を確保し、なんとか窒息を免れる。

これまでジグソウらは“自らに痛みを課すことで死を免れる”罠を多数作ってきたが、指示されてもいないのに即席で自らそれにあたる行動をこなしたストラムの優秀さはシリーズの中でも際立っている。

一方、外ではホフマン刑事が、ジェフの娘コルベット・デンロンを抱えて警察の前に現れる。ホフマンは事件現場から少女を救出した“生存者”として振る舞い、自分とコルベットだけが助かったように見せる。しかしその直後、重傷を負いながらも生きているストラムが運び出される。ホフマンは、ストラムの生還という想定外の事態に顔を曇らせる。

ジル・タックに残された箱が、ジョンの死後の計画を示唆する

ジョン・クレイマーの死後、元妻であるジル・タックのもとには、ジョンの遺言執行人フェルドマンから連絡が入る。ジルはジョンが愛と謝罪の言葉を込めて遺したビデオメッセージを受け取り、さらに黒い箱を渡される。彼女は首から下げていた鍵で箱を開けるが、中身を見た瞬間に明らかに動揺し、中身については何も話さずに立ち去る。

この箱については本作では何も触れられないまま、謎は次作へと持ち越される。

ホフマンは英雄として扱われるが、不穏なメッセージを受け取る

警察組織の中で、ホフマンはジグソウ事件の解決に貢献した人物として称えられる。上層部はジグソウ事件が終わったかのように発表し、ホフマンは昇進する。前作で罠を仕掛けていた側であることが明らかなホフマンだが、表向きには、彼は少女を救い、事件を終わらせた英雄である。

しかし、ホフマンのもとには「お前の正体を知っている」という意味のメッセージが届く。これは彼にとって無視できない警告であり、過去にジョン・クレイマーから受け取った脅迫と重なるものでもある。さらにホフマンは、前作で重傷を負ったFBI捜査官リンジー・ペレーズが死亡したと知らされる。彼女の最後の言葉が「ホフマン刑事」だったとストラムに告げられたことで、ホフマンへの疑念はより濃くなる。

ストラムはホフマンを疑い、独自捜査に動き出す

病院で治療を受けていたストラムは、ホフマンと対面する。ホフマンはペレーズの死を伝え、表向きには同情するような態度を見せるが、ストラムはすでに彼を疑っている。ストラムは、ペレスが死の間際にホフマンの名を口にしたことを突きつけ、ホフマンがなぜ事件現場から生還できたのかを問いただす。

その後、ストラムは上司のダン・エリクソンによって捜査を外され、医療休暇を命じられる。しかし、ストラムは命令に従わず、ジグソウ事件の資料を持ち出して独自に調査を始める。ここから本作は、地下で進行する新たなゲームと、ストラムがホフマンの正体へ迫っていく捜査パートを並行して進めていく。

地下では5人の男女が首輪の罠にかけられる

ホフマンは地下のような場所に新たなゲームを用意している。そこで目を覚ますのは、アシュリー・ケイゾン、チャールズ・サロモン、ルーバ・ギブス、ブリット・スティーヴンソン、マリック・スコットの5人。彼らは互いに面識がないように見えるが、それぞれ首に革製の首輪を装着されている。

5人の首輪はワイヤーでつながれており、背後の壁には巨大な刃が設置されている。前方には鍵の入ったガラス箱があり、彼らは一定時間内に鍵を取り、首輪を外さなければならない。録画メッセージは、5人が“つながっている”こと、そして生き残るためには本能とは逆の行動を取る必要があることを伝える。

しかし、突然目覚めた5人は冷静に協力などできない。それぞれが自分の身を優先して前方の箱へ向かい、混乱の中で鍵を奪い合う。結果として、アシュリーだけが鍵を取り損ね、背後へ引き戻されて刃にかかり死亡する。この試練は、一見すると“誰かが死ぬこと”を想定されていたかように見えるが、実際には後に別の意味が明らかになる。

ストラムはセス・バクスターの事件からホフマンの過去へたどり着く

一方、ストラムは過去のジグソウ事件を洗い直す中で、冒頭で描かれたセス・バクスターの事件に注目する。セスは、ホフマンの妹アンジェリーナを殺した人物だった。ストラムは、セスの死が本当にジグソウによるものだったのかを調べていく。

ここで物語はフラッシュバックに入り、セスの罠の真相が明かされる。セスを殺したのはジョン・クレイマーではなく、ホフマンだった。ホフマンは妹を殺したセスへの復讐として、ジグソウの犯行に見せかけた罠を作り、セスを処刑したのである。しかもその罠は、セスが指示通りに行動しても助からないように作られていた。これはジョンの思想とは異なる、完全な私刑だった。

ホフマンはストラムを孤立させ、疑惑を逆に利用する

ホフマンは、自分にを疑うストラムに対し、先回りして動く。彼はFBIのダン・エリクソンに、ストラムがジグソウの新たな共犯者の存在を疑っていることを伝える。表向きには捜査協力のように見えるが、実際にはストラムに疑いを向けさせるための布石である。疑う者と疑われる者の関係が、ここで反転し始める。

さらにホフマンは、ストラムの携帯電話を証拠保管室から持ち出し、エリクソンがストラムを疑い追う材料として利用する。

第2の試練、爆弾の部屋でチャールズが犠牲になる

生き残った4人は、次の部屋へ進む。そこには爆弾と、壁に設けられた小さな避難スペースが用意されている。天井からは多数のガラス容器が吊るされ、その中に避難スペースを開けるための鍵が入っている。ただし、すべての鍵が使えるわけではなく、実際に使える鍵は限られている。

制限時間が始まると、チャールズは早々に他者を犠牲にする方向へ動く。彼はマリックを攻撃し、ひとりを排除すれば自分が助かると考えるが、チャールズはなんとか立ち上がり、代わりにルーバに殴られたチャールズが転倒。混乱の中で結果的にブリット、ルーバ、マリックがそれぞれ避難スペースへ入ることに成功し、最初に攻撃をしかけたチャールズは避難に失敗、爆死する。

この試練でも、参加者たちは“誰かが死ななければならない”と考えて行動している。しかし、冷静に見ている観客は徐々に、ゲームの本当のテーマが“競争”ではなく“協力”にあることに気づくだろう。

ジョン・クレイマーはホフマンの犯行を見抜き、彼を取り込む

本物のジグソウであるジョン・クレイマーは、ホフマンが自分の手口を模倣してセスを殺したことを見抜く。ジョンはホフマンに「お前の正体を知っている」と告げ、彼を拉致する。ジョンにとって、ホフマンの行為は“生きる意志を試すゲーム”ではなく、ただの復讐による殺人だ。ジョンは自身の理念を理解できない人間による、ハンパな真似を嫌った。

しかし、ジョンはホフマンを警察へ突き出すのではなく、その罪を利用して自分の計画に協力させる。ホフマンは脅迫され、ジグソウの共犯者として動くことになる。ここで本作は、ホフマンが単に後から現れた模倣犯ではなく、過去のジグソウ事件にも深く関わっていたことを示していく。

フラッシュバックでは、ホフマンが過去作の罠の準備に関与していたことも示唆される。これにより、『ソウ』シリーズの過去の事件は、ジョンひとりの計画ではなく、アマンダ、そしてホフマンという協力者の存在によって成立していたものとして再構成される。

残された3人は、互いの過去に共通点があることに気づき始める

生き残ったのは、ルーバ、ブリット、マリックの3人。次の部屋へ進む中で、彼らは自分たちがなぜ選ばれたのかを探り始める。マリックは、過去に8人の死につながる出来事に関与し、隠蔽していたことを認める。ただし、彼はそれが意図的な殺人ではなかったと主張する。

ルーバは都市計画関連の仕事に関わり、賄賂を受け取っていたことを示唆する。ブリットは不動産会社の副社長で、古い建物を取り壊し、新たな開発を進める立場にあった。3人の発言から、彼らが単なる無関係な被害者ではなく、ある建物火災や都市開発をめぐる出来事でつながっていることが見え始める。

このあたりから、地下ゲームは単なる身体的な痛みの連続ではなく、5人の社会的立場や過去の責任を暴いていく構造を持っていることが明確になる。

第3の試練、水の入った浴槽と電気回路

3人が進んだ部屋には、水の入った浴槽と複数のコードが用意されている。録音の指示によれば、次の扉を開けるには、5本のコードをつなぎ、電気回路を完成させる必要がある。しかし、コードは短く、そのままでは装置に届かない。3人は、誰かの体を導体として使うしかないと考え始める。

ルーバはマリックを犠牲にしようとし、彼を浴槽に入れて電流を通そうとする。だが、その直前にブリットがルーバを刺す。結果としてルーバが死亡し、ブリットとマリックは彼女の遺体を使って回路を完成させ、扉を開ける。

この第3の試練は、本作のテーマをさらに強く示している。参加者たちは、またしても“ひとりを殺して進む”という選択に流されるが、協力する道はなかったのだろうか、と思考の余地が残る。

ストラムは、ホフマンだけが生き残る筋書きだったと推理する

FBI捜査官ピーター・ストラムは、過去の事件資料を調べる中で、ジグソウ事件の裏にホフマンがいたと確信を深めていく。ギデオン食肉工場にいた関係者の多くは、もともと死ぬように仕組まれていた。ジョン・クレイマー、アマンダ・ヤング、ジェフ・デンロン、リン・デンロン、ダニエル・リッグ、アート・ブランクらが命を落とし、最後にジェフの娘コルベットとホフマンだけが生き残った。つまりホフマンは、ジグソウ事件の終結を装いながら、自分だけが“救出者”として現れる構図を作っていたのではないか、とストラムは見立てる。

ストラムはこの推理をもとに、ホフマンがジグソウの後継者、あるいは少なくとも共犯者であると考える。しかし、休暇を命じられ、正式な捜査権限からは外されているストラムの行動は、組織の目には“暴走”として映っている。

最終試練、ブリットとマリックは“5リットルの血”を要求される

第3の試練でルーバが死亡し、残されたのはブリットとマリックの2人だけとなる。血まみれになりながら最後の部屋にたどり着いたふたりは、そこで最終試練に直面する。部屋の中央には、5つの丸ノコが組み込まれた装置と、血液を受けるための容器が置かれている。録音メッセージは、扉を開くには5リットル(10パイント)の血を捧げなければならないと告げる。

5リットルとは、人間ひとり分に近い血液量である。つまり、もしひとりだけが血を差し出せば、その人物はほぼ確実に死ぬ。一方で、ふたりで分け合えば、生存の可能性はわずかに残る。

この試練の部屋で、ブリットとマリックは初めてこれまでのゲームの本当の意味に気づく。彼らは各部屋で、誰かを犠牲にしなければ進めないと思い込んできた。だが、最初の首輪の部屋で5人に配られた鍵はすべて同じであり、協力的な姿勢を見せれば全員が助かった。爆弾の部屋でも、避難スペースにひとりしか入れないということはなかっただろう。浴槽の部屋でも、全員で少しずつ電流を分け合えば、誰かひとりを殺す必要はなかった。

彼らはここに来て、自分たちが“生き残るために競うゲーム”をさせられていたのではなく、“協力できるかを試されるゲーム”をさせられていたのだと理解する。

5人の共通点は、8人が死亡した建物火災だった

最終試練の中で、ブリットとマリックは、自分たち5人がなぜ選ばれたのかを理解していく。彼らは全員、過去に起き、8人が死亡した建物火災に関わっていた。

マリックは、ドラッグ中毒の放火犯として火事に関与していた。アシュリーは、火災調査に関わりながら、事実を隠すような報告を行った人物だった。チャールズは、火災に関する取材や報道にかかわる人間として事件をもみ消していた。ルーバは都市計画や行政側の立場で、開発に関わる便宜を図った人物だった。そしてブリットは、不動産開発を進める側の人間として、8人の住人を知っていて火災を計画した、一番の黒幕といえる人物であった。

つまり5人は、互いに無関係な被害者ではなかった。彼らはそれぞれ違う立場から、同じ悲劇に関わっていたのである。ジグソウのゲームは、その責任を可視化するために設計されていた。5人が協力しなければならない構造は、彼らが過去に社会の中でそれぞれの責任を回避し、結果として多くの犠牲者を生んだことに対応していた。

ブリットとマリックは互いの腕を差し出し、血を分け合う

最終的に、ブリットとマリックは協力する道を選ぶ。ふたりはそれぞれ片腕を丸ノコの装置に差し入れ、血を容器に流し込む。これは本作の中でも特に痛みの強い場面であり、肉体的な損傷だけでなく、ここまで協力を拒み続けたふたりがようやく痛みを分け合うという意味を持っている。

ふたりは絶叫しながら血を捧げ、容器を満たしていく。扉を開くために必要な血液量はあまりにも多く、ふたりは意識を失いかける。それでも、彼らは互いを殺して進むのではなく、ふたりで生き残る可能性に賭ける。

結果として、ブリットとマリックは最終試練を突破する。だが、彼らがこの答えにたどり着いたときには、すでに3人が死亡している。ジグソウのゲームの残酷さは、装置の痛みだけではない。正解に気づくのが遅すぎたこと、その代償として仲間の命が失われたことが、この試練の後味をビターにしている。

エリクソンは地下施設にたどり着き、ストラムを犯人だと誤認する

ホフマンが仕込んだ携帯電話の追跡によって、FBIのエリクソンは地下施設にたどり着く。そこで彼が発見するのは、残虐な事件現場、最終試練を終えて意識を朦朧とさせるブリットたち、ストラムの携帯電話、そしてエリクソンの命を狙うかのように置かれた書類だった。これはホフマンが意図的に置いたものであり、ホフマンの狙い通り、エリクソンはストラムを危険人物として認識する。ストラムには指名手配がかけられ、彼はジグソウの後継者、あるいは新たな共犯者として追われる立場に転落していく。

ストラムはホフマンを追って、かつての神経ガスの家へ向かう

そのころストラムは、ホフマンの後を追って、ガラスの棺がある部屋にたどり着く。棺の中には割れたガラス片が敷き詰められており、見るからに危険な装置に見える。テープの声はホフマンで、ストラムに対し、箱の中に入れば生き残れると告げる。

しかし、ストラムはここでも指示を信じない。これまでジグソウの罠を経験し、ホフマンを追ってきた彼にとって、目の前の箱は明らかに罠に見えたのだろう。彼はテープを最後まで聞かず、部屋に入ってきたホフマンを待ち伏せする。

ストラムはホフマンをガラスの棺に閉じ込める

ホフマンが部屋に入ると、ストラムは彼に襲いかかる。ふたりは激しくもみ合い、ストラムはついにホフマンをガラスの棺の中へ押し込める。ストラムの視点では、これでホフマンを捕らえたような構図だ。彼はホフマンの正体を突き止め、罠にかける側だった男を逆に罠に閉じ込めたと考える。

だが、ここが『ソウ5』最大の反転である。ガラスの棺は、ホフマンを殺すための装置ではなかった。むしろ、棺の中こそが安全地帯だったのである。

ストラムがホフマンを閉じ込めた直後、部屋の扉が閉まり、壁がゆっくりと動き始める。左右の壁が中央に向かって迫ってくる一方、ホフマンが入ったガラスの棺は床下へ沈み、安全な位置へ移動していく。ストラムはようやく、自分が罠にかけられていたことに気づく。

ストラムは圧死し、ホフマンは生き残る

ストラムは途中で止めていたテープを再び再生する。そこには、ホフマンからの最終的なメッセージが録音されていた。内容は、“指示に従わなかったことでストラムが絶命する”ことを示唆するものだった。

ストラムは必死にガラスの棺を開けようとするが、すでにホフマンは床下へ下がっており、ストラムは壁に挟まれていく。ホフマンはガラスの棺の中から、ストラムが追い詰められていく様子を見つめている。ストラムは最後まで抵抗するが、壁の圧力に抗うことはできない。やがて彼が押し潰され、死亡するところで本作の幕は閉じる。

つまり、このゲームの本当の選択肢は「危険に見える箱に入って生き延びるか」「自分の疑念に従って外に残り、死ぬか」だった。ストラムはこれまで、真実を追う執念によってホフマンの正体に近づいてきた。しかし最後にも、その“疑う力”が逆に利用されてしまう。ホフマンは、ストラムが自分の言葉を信用せず、指示に従わない人間であることを見抜いていた。

このラストの罠は、ジグソウ的な意味での“試練”であると同時に、ホフマンによるストラムの完全な始末でもある。ストラムはホフマンの正体にたどり着いたが、それを公にする前に、物語から退場してしまう。

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