ありがとうアリス——『バイオハザード:ザ・ファイナル』解説|どんな映画?あらすじ・キャスト・魅力・レビューまとめ

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『バイオハザード:ザ・ファイナル』より © 2016 Constantin Film Produktion GmbH. All Rights Reserved.

映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』(2016)を紹介&解説。


映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』概要

映画『バイオハザード:ザ・ファイナル』は、カプコンの人気サバイバルホラーゲームを原作とする実写映画シリーズ第6作にして、アリスを主人公とした物語の完結編。ポール・W・S・アンダーソン監督(『バイオハザード』『デス・レース』)が脚本・製作も務めたSFホラーアクション。人類滅亡まで48時間という状況で、アリスがすべての始まりとなったラクーンシティの地下施設「ハイブ」に戻り、巨大企業アンブレラ社との最終決戦に挑む。シリーズを通じて謎だったアリスの出生やT-ウイルス開発の真相にも迫る。主演はミラ・ジョヴォヴィッチ、共演にアリ・ラーター、イアン・グレン、ショーン・ロバーツ、ルビー・ローズ、オーエン・マッケン、ローラら。

作品情報

日本版タイトル 『バイオハザード:ザ・ファイナル』
原題 Resident Evil: The Final Chapter
製作年 2016年
本国公開日 2017年1月27日(米国)
日本公開日 2016年12月23日(世界最速公開)
ジャンル アクション/ホラー/SF
製作国 アメリカ/ドイツ/フランス/イギリス
原作 カプコン『バイオハザード』(ゲームシリーズ)
上映時間 107分
監督・脚本 ポール・W・S・アンダーソン
製作 ジェレミー・ボルト/ポール・W・S・アンダーソン/ロバート・クルツァー/サミュエル・ハディダ
製作総指揮 マーティン・モスコウィック/ヴィクター・ハディダ
撮影 グレン・マクファーソン
編集 ドゥービー・ホワイト
作曲 ポール・ハスリンジャー
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ/アリ・ラーター/イアン・グレン/ショーン・ロバーツ/オーエン・マッケン/ルビー・ローズ/ウィリアム・レヴィ/フレイザー・ジェームズ/ローラ/エヴァー・アンダーソン/マーク・シンプソン/イ・ジュンギ
製作 スクリーン・ジェムズ/コンスタンティン・フィルム/デイヴィス・フィルムズ/インパクト・ピクチャーズ
配給 ソニー・ピクチャーズ(米国・日本)

あらすじ

T-ウイルスの蔓延によって文明が崩壊し、人類は滅亡の危機に瀕していた。ワシントンD.C.での戦いを生き延びたアリスの前に、かつての敵である人工知能レッド・クイーンが現れ、「人類はあと48時間で絶滅する」と告げる。人類を救う唯一の手段は、すべての始まりとなったラクーンシティの地下施設「ハイブ」に保管された抗ウイルス剤を入手すること。しかしT-ウイルスを体内に持つアリス自身も、その薬によって命を落とす可能性があった。それでもアリスは人類を救うためラクーンシティへ向かい、再会した旧友クレアや生存者たちとともに、アンブレラ社との最後の戦いに挑む。

主な登場人物(キャスト)

アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ):アンブレラ社によって生み出され、長年にわたって同社と戦い続けてきた主人公。ワシントンD.C.での決戦を生き延び、レッド・クイーンから人類を救う方法を知らされる。自分も死ぬ可能性を覚悟してラクーンシティへ向かい、最後の戦いの中で自らの出生にまつわる秘密を知る。

アリシア・マーカス(ミラ・ジョヴォヴィッチ):アンブレラ社の創設者ジェームズ・マーカスの娘で、会社の共同所有者。幼少期から早老症を患い、実年齢以上に老いた姿となっている。アリスの遺伝子的な原型にあたる女性であり、自分が止められなかったアンブレラの暴走に決着をつけようとする。最後にはアリスへ自分の幼少期の記憶を託す。

レッド・クイーン(エヴァー・アンダーソン):アンブレラ社の地下施設「ハイブ」などを管理する人工知能。幼いアリシア・マーカスの姿と声をモデルにしている。人命を守る命令とアンブレラ社員を傷つけられない制約の間で矛盾を抱え、アリスを使って人類絶滅計画を阻止しようとする。敵の計画やアリスの出生について重要な情報を伝える案内役。

クレア・レッドフィールド(アリ・ラーター):過去作からアリスと共闘してきた歴戦の生存者。ラクーンシティでドクらとともに生き延びており、再会したアリスの最後の任務に協力する。ドクとは恋人関係にあるが、彼がアンブレラのスパイだったことを知り、自ら射殺する。アリスを最後まで支える、最も信頼できる戦友の一人。

ドク(オーエン・マッケン):ラクーンシティの生存者グループの中心人物で、クレアの恋人。負傷者の治療なども行い、仲間から信頼されている。しかし正体はアンブレラ社の内通者であり、アリスたちの行動に同行しながら敵へ協力していた。最終局面で裏切りが発覚し、クレアに射殺される。

アルバート・ウェスカー(ショーン・ロバーツ):アンブレラ社の幹部で、アリスを幾度も苦しめてきた宿敵。前作のワシントンD.C.でアリスを罠にはめ、本作ではハイブの防衛システムを利用して侵入者を排除しようとする。実際にはアイザックス博士に忠誠を誓う部下であり、終盤にはアリシアによって解雇され、レッド・クイーンの攻撃を受ける。

アレクサンダー・アイザックス博士(イアン・グレン):アンブレラ社の共同経営者で、T-ウイルスを用いた人類絶滅計画の中心人物。選ばれた人間だけを地下施設で生き延びさせ、滅亡後の世界を支配しようと企んでいる。本作には自分自身を本物だと信じるクローンと、ハイブで眠っていたオリジナルの個体が登場。アリスの出生の秘密を知る、シリーズの真の黒幕。

ジェームズ・マーカス(マーク・シンプソン):アンブレラ社の創設者で、アリシアの父親。早老症を患う娘を救うためT-ウイルスを発見し、治療への応用を目指していた。しかしウイルスの危険性を知って研究中止を決断したため、アイザックスの命令を受けたウェスカーに殺害された。娘の幼少期を記録した映像は、レッド・クイーンの原型にもなっている。

アビゲイル(ルビー・ローズ)/クリスチャン(ウィリアム・レヴィ)/コバルト(ローラ)/レイザー(フレイザー・ジェームズ):ラクーンシティでクレアやドクとともに暮らす生存者たち。メカニックとして仕掛けや武器を扱うアビゲイル、アリスを警戒する武闘派のクリスチャン、拠点の防衛に参加するコバルト、ドクの右腕的存在であるレイザーらがアンブレラと戦う。コバルトはゾンビに襲われて死亡し、残る3人もハイブへ向かうが、クリスチャンは変異犬、アビゲイルは巨大換気ファン、レイザーは変異クリーチャーによって命を落とす。

チュウ司令官(イ・ジュンギ):アンブレラ社の武装部隊を率いる指揮官。ラクーンシティへ向かうアリスを襲撃するアイザックス側の戦闘員で、アリスとの激しい格闘戦を繰り広げる。

作品の魅力解説・レビュー

すべての始まりに戻る、最終章らしい構成

本作を一本の映画として細かく見ると、脚本や演出にはかなり問題がある。それでもアリスを主人公とした6作品の最終章としては、十分な満足感がある。

特にうまいのは、物語をすべての始まりだったラクーンシティと地下施設「ハイブ」へ戻す構成だ。世界各地へ舞台を広げ、アクションのスケールも拡大してきたシリーズが、最後には第1作の場所へ帰ってくる。単なる世界の救済だけでなく、アリス自身の原点をたどる戦いとして展開することで、物語に一つの大きな円環が生まれている。

過去作を思わせる施設や防衛装置も登場し、シリーズを追い続けてきた観客には懐かしさもある。映画としての完成度とは別に、最終章として必要な舞台と目的をしっかり用意している点は評価できる。

強引な後付け設定でも、アリスの物語には決着をつけた

もう一つの重要なポイントが、シリーズを通して謎だったアリスの出生や、レッド・クイーンとの関係が明らかになること。

本作ではアンブレラ社の創設にまつわる過去が語られ、T-ウイルス開発の理由、アイザックス博士の陰謀、アリシア・マーカスとアリスのつながりなど、これまで断片的だった設定に一つの答えが与えられる。

もっとも、これらが第1作からすべて計算されていたとは考えにくい。以前の作品との整合性にも疑問が残り、かなり強引な後付け設定であることは否定できない。特に、それまでのシリーズが積み重ねてきた描写を、最終章になって一気に別の意味へと置き換えていく大胆さには賛否が分かれるだろう。

それでも、後付けなりに6作品を一つの物語としてまとめ、アリスが何者なのかという問いに答えを出したことは見事。シリーズ全体の設定を完璧に整理することよりも、主人公の物語をきちんと終わらせることを優先した作品だといえる。

大規模アクションは魅力だが、カット割りが速すぎる

アクションのスケールは、シリーズの最終章にふさわしいものになっている。大量のアンデッドとの籠城戦、装甲車上での格闘、地下施設で次々に襲いかかるクリーチャーやトラップなど、アリスには息つく暇もない戦いが待ち受ける。

ただし、ここで大きな問題となるのが極端に細かいカット割りだ。

『バイオハザードIV アフターライフ』『バイオハザードV:リトリビューション』ではスローモーションを多用したアクションが目立ったが、本作はその真逆。猛烈な速度でカットが切り替わり、攻撃の動きや登場人物の位置関係を把握しにくい場面が少なくない。

テンポの速さ自体は終末の切迫感を強めているものの、速すぎて肝心のアクションをじっくり楽しめなくなってしまっている。せっかく大規模な見せ場を用意しているのに、その迫力や身体の動きを十分に味わえないのは惜しい。

スピード感と映像の見やすさのバランスという点では、シリーズでも特に評価が分かれる演出だろう。

15年間アリスを演じたミラ・ジョヴォヴィッチへの拍手

そして最後に残るのは、何よりもミラ・ジョヴォヴィッチが長年演じ続けてきたアリスというキャラクターへの愛着だ。

2002年の第1作から2016年の最終章まで、ミラ・ジョヴォヴィッチはシリーズの顔としてアリスを演じ続けてきた。その間、映画の作風やスケールは大きく変わり、ときにはシリーズの方向性そのものに疑問を感じることもあった。それでも、どの作品でも中心にいたのは彼女だった。

本作でも過酷なアクションをこなし、何度倒れても立ち上がり、アンブレラ社に立ち向かっていく。そんなアリスの戦いを最後まで見届けると、映画としての粗さや強引な展開への不満とは別に、自然と「アリス、お疲れさま」という気持ちになる。

『バイオハザード:ザ・ファイナル』は、すべてが綿密に計算された完璧な完結編ではない。物語には無理があり、アクション演出にも大きな欠点がある。しかしシリーズを終わらせ、長年戦い続けたアリスを送り出すという仕事は、しっかり果たしている。

一本の映画としては厳しく評価できる部分も多いが、アリスの物語の最終章としては、確かな達成感と感慨を残す一作だ。

簡易ストーリー解説(ネタバレ)

起|人類絶滅まで48時間、ラクーンシティへ

ワシントンD.C.での戦いを生き延びたアリスは、人工知能レッドクイーンから「人類はあと48時間ほどで絶滅する」と知らされる。すべての始まりとなったラクーンシティ地下のハイブには、T-ウイルスに感染した生物を死滅させる抗ウイルス剤が残されていた。

T-ウイルスを体内に持つ自分も死ぬ可能性を覚悟し、アリスは人類を救うためラクーンシティへ向かう。途中、死んだはずのアイザックス博士に捕らえられるが脱出。ラクーンシティでは旧友クレア・レッドフィールドと再会する。

承①|生存者たちとハイブへ、仲間が次々死亡

クレアは恋人ドクやアビゲイル、クリスチャン、コバルト、レイザーらと生き延びていた。そこへアイザックスが大量のゾンビを率いて襲撃。戦いの中でコバルトはゾンビに襲われ死亡する。

アリスたちは抗ウイルス剤を手に入れるためハイブへ向かうが、クリスチャンは変異犬に殺される。施設内部でも罠が次々と襲い、アビゲイルは巨大な換気ファンに巻き込まれて死亡。レイザーも大型の変異クリーチャーに殺され、生存者はさらに減っていく。

承②|アンブレラの計画とアリス出生の秘密

ハイブ最深部で、アリスたちは本物のアイザックス博士と、高齢の女性アリシア・マーカスに対面する。

アンブレラは事故で世界を滅ぼしたのではなく、T-ウイルスを意図的に拡散し、選ばれた人間だけを冷凍睡眠させたうえで人類を一掃し、新世界を支配しようとしていたことが明かされる。

さらにアリシアこそアンブレラ創設者ジェームズ・マーカスの娘であり、アリスは若き日のアリシアをモデルに作られたクローンだったことも判明する。アリスに幼少期の記憶がなかったのは、そもそもその人生を経験していなかったためだった。

転|裏切り者の正体、アイザックスとの最終決戦

仲間の中にいた裏切り者は、クレアの恋人ドクだった。アンブレラ側のスパイだったドクはアリスを撃とうとするが、アリスは事前に銃から弾を抜いていた。裏切りを知ったクレアがドクを射殺する。

一方、アリシアはウェスカーをアンブレラから解雇。レッドクイーンの保護対象ではなくなったウェスカーは、セキュリティドアによって脚を潰され瀕死となる。

アリスとクレアは本物のアイザックスと交戦。アリスはレーザーグリッドで指を切断されながらも、アイザックスに手榴弾を仕掛けて抗ウイルス剤を奪う。

地上まで追ってきたアイザックスの前には、自分こそ本物だと思い込んでいた彼のクローンが現れる。混乱したクローンは本物のアイザックスを刺し殺し、その直後、自身もゾンビの群れに食い殺される。

結|アリスは生存し、自分の人生を手に入れる

アリスは抗ウイルス剤を地上で散布し、周囲のゾンビは次々と死亡する。アリス自身も倒れる。

同時にハイブでは爆弾が起爆し、ウェスカー、アリシア・マーカス、冷凍睡眠していたアンブレラ上層部らも死亡する。

しかしアリスは生きていた。抗ウイルス剤は彼女の体内にあるT-ウイルスだけを除去し、正常な細胞までは殺さなかった。

さらにアリシアが保存していた自分の幼少期の記憶がアリスへ託される。クローンとして過去を持たなかったアリスは、初めて「自分の人生」と呼べる記憶を手に入れる。

クレアも生存するが、抗ウイルス剤が地球全体へ行き渡るまでには時間がかかる。世界にはまだゾンビやクリーチャーが残されており、アリスは「私の仕事はまだ終わっていない」と再び旅立つ。

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