映画『バイオハザード』(2002)を紹介&解説。
映画『バイオハザード』概要
映画『バイオハザード』(2002)は、ポール・W・S・アンダーソン監督が、カプコンの同名サバイバルホラーゲームシリーズを実写映画化したSFアクションホラー。原作ゲームの設定やクリーチャーなどを取り入れながら、映画オリジナルの主人公アリスを中心とした独自の物語を展開する。記憶を失ったアリスが、巨大企業アンブレラ社の特殊部隊とともに地下研究施設「ハイブ」へ潜入し、施設内で発生したT-ウイルスによる惨劇に直面する。
主演はミラ・ジョヴォヴィッチ、共演にミシェル・ロドリゲス、エリック・メビウス、ジェームズ・ピュアフォイら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『バイオハザード』 |
|---|---|
| 原題 | Resident Evil |
| 製作年 | 2002年 |
| 本国公開日 | 2002年3月15日 |
| 日本公開日 | 2002年8月31日 |
| ジャンル | アクション/ホラー/SF |
| 製作国 | アメリカ/ドイツ/イギリス/フランス |
| 原作 | カプコン『バイオハザード』シリーズ(ゲーム) |
| 上映時間 | 101分 |
| 監督 | ポール・W・S・アンダーソン |
|---|---|
| 脚本 | ポール・W・S・アンダーソン |
| 製作 | ベルント・アイヒンガー/サミュエル・ハディダ/ジェレミー・ボルト/ポール・W・S・アンダーソン |
| 製作総指揮 | ロバート・クルツァー/ビクター・ハディダ/ダニエル・クレツキー/岡本吉起 |
| 撮影 | デヴィッド・ジョンソン |
| 編集 | アレクサンダー・バーナー |
| 作曲 | マルコ・ベルトラミ/マリリン・マンソン |
| 出演 | ミラ・ジョヴォヴィッチ/ミシェル・ロドリゲス/エリック・メビウス/ジェームズ・ピュアフォイ/マーティン・クルーズ/コリン・サーモン/パスクァーレ・アレアルディ/ハイケ・マカッシュ/ミカエラ・ディッカー |
| 製作 | コンスタンティン・フィルム/ニュー・レガシー・フィルム/デイヴィス・フィルムズ/インパクト・ピクチャーズ |
| 配給 | スクリーン・ジェムズ(米国)/アミューズピクチャーズ(日本) |
あらすじ
巨大企業アンブレラ社がラクーンシティ地下に建設した秘密研究施設「ハイブ」で、開発されていたT-ウイルスが何者かによって流出する。施設を管理する人工知能「レッド・クイーン」は感染拡大を防ぐためハイブを完全封鎖し、内部にいた職員たちは全滅する。
一方、ハイブへの入口となる洋館では、アリスという女性が記憶を失った状態で目を覚ます。そこへアンブレラ社の特殊部隊が突入し、アリスは拘束されたマットや、自分と同じく記憶を失ったスペンスらとともにハイブへ向かうことに。レッド・クイーンを停止させようと施設の奥へ進む一行だったが、そこで待ち受けていたのは、死亡したはずの研究員たちと恐るべき生物兵器だった。
主な登場人物(キャスト)
アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ):記憶を失った状態で洋館に目覚める女性。正体はアンブレラ社の警備担当者で、スペンスと偽装夫婦としてハイブへの入口を守っていた。ハイブでの惨劇を生き延びながら失われた記憶と高い戦闘能力を取り戻していく。
スペンス(ジェームズ・ピュアフォイ):アリスとともにハイブへの入口を守っていたアンブレラ社の警備担当者。アリスとは秘密保持のため夫婦を装って暮らしている。アリスと同様に記憶を失った状態で発見され、特殊部隊とともにハイブへ向かう。
マット・アディソン(エリック・メビウス):警察官を装って洋館へ侵入した男性。実際にはアンブレラ社の違法研究を暴こうとしており、ハイブ内部へ潜入していた妹リサを探している。
リサ・アディソン(ハイケ・マカッシュ):マットの妹。アンブレラ社の違法な遺伝子・ウイルス研究を暴くため内部へ潜入し、T-ウイルスを証拠として持ち出そうとしていた。計画を進める中で、密かにアリスの協力を得ていた。
レイン・オカンポ(ミシェル・ロドリゲス):アンブレラ社からハイブへ派遣された特殊部隊の戦闘要員。荒っぽく強気な性格ながら仲間への意識は強く、ゾンビがあふれる施設内で前線に立って戦う。
ワン隊長(コリン・サーモン):ハイブへ派遣されたアンブレラ社特殊部隊の隊長。施設を統括する人工知能レッド・クイーンを停止する任務を指揮し、隊員たちを率いてハイブの中枢を目指す。
J.D.(パスクァーレ・アレアルディ):アンブレラ社の特殊部隊員。レインとともに前線で警戒や戦闘を担当し、ハイブ内を進む。特にレインと気心の知れた戦友として描かれる。
カプラン(マーティン・クルーズ):アンブレラ社特殊部隊のコンピューター技術担当。ハイブの電子ロックや防衛システムを攻略し、レッド・クイーンへのアクセスと停止作業を担う。
レッド・クイーン(ミカエラ・ディッカー):地下研究施設「ハイブ」を統括する人工知能。主任プログラマーの娘をモデルにした少女のホログラムとして現れる。T-ウイルス流出を察知すると、感染拡大を防ぐためハイブを封鎖する。
作品の魅力解説・レビュー
原作ゲームから大胆に再構成された映画版第1作
ゾンビゲームとして知られるカプコン『バイオハザード』シリーズの映画化だが、原作の主人公をそのまま映画へ移すのではなく、ミラ・ジョヴォヴィッチ演じる映画オリジナルの主人公アリスを中心に物語を再構成している。
ゲーム版の世界観やアンブレラ社、T-ウイルス、ゾンビといった要素を借りながらも、ストーリーそのものはかなり独自色が強い。そのためゲームの忠実な実写化を期待すると別物に感じやすく、ゾンビ映画として見ても、後のシリーズほど大量の感染者や派手なアクションを前面には出さない比較的大人しめの第1作という印象がある。
一方で、アリス自身が記憶喪失であることを利用し、「自分は何者なのか」「この施設で何が起きたのか」を観客と同時に少しずつ理解していく構成は、独立したSFサバイバル映画として入り込みやすい。
無機質なハイブの閉塞感が生む独特の不気味さ
物語の大部分を占めるのは、アンブレラ社の地下研究施設「ハイブ」。同じような通路や研究室を行き来する場面が多く、ロケーションの変化そのものは決して豊富ではない。
しかし、そこが本作ならではの不気味さにもなっている。無機質な研究施設のどこに出口があり、いつ地上へ戻れるのか分からない。閉鎖された巨大施設を右往左往し続ける感覚が、舞台の閉塞感と迷宮性を強調している。
レッド・クイーンが施設そのものをコントロールしているため、単にゾンビから逃げればいいわけではないのも特徴。扉、エレベーター、防衛システムなど、本来なら人間を守るための設備まで脅威になることで、ハイブという建物自体が巨大な敵のように感じられる。
レーザー通路からゾンビ犬まで、強烈に残るビジュアル
作品全体は比較的抑制された作りながら、個々の場面を見ると強烈なイメージを残すカットは意外なほど多い。
冒頭ではクラシカルな洋館と地下のハイテク研究施設という極端な対比を見せ、ハイブではエレベーターに挟まれる職員、特殊部隊を切り刻むレーザー通路など、死亡シーンにも独特のアイデアが詰め込まれている。
さらにグロテスクなゾンビ犬、突然戦闘能力を発揮するアリス、犬へ叩き込むミラ・ジョヴォヴィッチの飛び蹴りなど、物語の細部以上に「画」として記憶に焼きつく瞬間が多い。ゾンビそのものの物量よりも、閉鎖空間の不穏さと一発一発の印象的なビジュアルによって『バイオハザード』らしい異常世界を作り上げた1作といえる。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
簡易ストーリー解説(ネタバレ)
起|記憶を失ったアリスと地下施設ハイブ
記憶を失った状態で洋館に目覚めたアリスは、突入してきた特殊部隊とともに、アンブレラ社の地下研究施設「ハイブ」へ向かう。施設内では多数の研究員が死亡しており、人工知能「レッド・クイーン」がウイルス流出を防ぐため施設を封鎖していたことが判明する。
承①|ゾンビの発生と仲間たちの死
レッド・クイーンを停止したことで封鎖が解除され、死亡した研究員たちがゾンビとなって動き始める。特殊部隊の仲間たちは次々に命を落とし、レインもゾンビに噛まれて感染。アリスは戦闘の中で高い身体能力を発揮し、自分がただの一般人ではなかったことを思い出していく。
承②|マットの目的とアリスの記憶
同行していたマットは、アンブレラ社を告発するため、ハイブで働く妹リサと協力していたことを明かす。しかしリサはすでに感染し、ゾンビとなっていた。一方のアリスも、自分がアンブレラ社の警備要員でありながら、会社の秘密を外部へ告発しようとしていたことを思い出す。
転|スペンスの裏切りと脱出
アリスと夫婦を装っていたスペンスこそが、金目当てでT-ウイルスを盗み、ハイブ内部にウイルスを拡散させた張本人だったことが判明する。スペンスは仲間を置き去りにして逃げようとするが、怪物リッカーに襲われ死亡。残されたアリスたちは列車で地上への脱出を図るが、感染していたレインも死亡し、ゾンビとなった彼女をマットが撃つことになる。
結|生還の先に広がっていた惨劇
アリスとマットはリッカーを倒して地上へ生還するが、負傷していたマットの身体には異変が起こり始める。そこへアンブレラ社の研究員が現れ、2人を拘束。マットは「ネメシス計画」の実験体として連れ去られる。その後、研究施設で再び目覚めたアリスが外へ出ると、ラクーンシティ全体が崩壊しており、ハイブで始まった惨劇が街へと拡大していたことが明らかになる。
