映画『レジェンダリー』(2017)を紹介&解説。
映画『レジェンダリー』概要
映画『レジェンダリー』は、ブレンダン・マルドウニー監督が13世紀のアイルランドを舞台に、神聖な聖遺物をローマまで運ぼうとする修道士たちの危険な巡礼を描く歴史アクションドラマ。部族間抗争とノルマン人の侵攻によって荒廃した土地を進む一行が、信仰と権力が絡み合う争いへ巻き込まれていく。出演はトム・ホランド、リチャード・アーミテージ、ジョン・バーンサル、スタンリー・ウェバー、ジョン・リンチら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『レジェンダリー』 |
|---|---|
| 原題 | Pilgrimage |
| 製作年 | 2017年 |
| 本国公開日 | 2017年7月14日(アイルランド) |
| 日本公開日 | 2017年9月23日 |
| ジャンル | アクション/ドラマ/歴史 |
| 製作国 | アイルランド/ベルギー |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 96分 |
| 監督 | ブレンダン・マルドウニー |
|---|---|
| 脚本 | ジェイミー・ハニガン |
| 製作 | コナー・バリー/ジョン・ケビル/ブノワ・ロラン |
| 製作総指揮 | ロリー・ギルマーティン/アラム・ターツァキアン/ニック・スパイサー/トッド・ブラウン/ティム・ナイ |
| 撮影 | トム・コマーフォード |
| 編集 | Mairéad McIvor |
| 作曲 | スティーブン・マッキーオン |
| 出演 | トム・ホランド/リチャード・アーミテージ/ジョン・バーンサル/スタンリー・ウェバー/ジョン・リンチ/ヒュー・オコナーほか |
| 製作 | Savage Productions/Wrong Men North/アイルランド映画委員会ほか |
| 配給 | Element Pictures Distribution(アイルランド)/RLJ Entertainment(アメリカ)/アットエンタテインメント(日本) |
あらすじ
1209年、アイルランド。人里離れた修道院で暮らす若き修道士ダーマッドたちのもとへ、シトー会の修道士ジェラルドゥスが現れる。彼の目的は、修道院が守り続けてきた聖遺物をローマへ運び、教皇のもとへ届けることだった。
ダーマッドや寡黙な助修士らは聖遺物を護衛しながら旅に出るが、当時のアイルランドは部族同士の抗争とノルマン人の侵攻が続く危険な土地だった。一行は武装勢力に襲われながら海岸を目指すが、やがて聖遺物を巡る思惑と、それぞれが信じる「信仰」の違いが露わになっていく。
主な登場人物(キャスト)
ダーマッド(トム・ホランド):修道院で暮らす若い修道士。外の世界をほとんど知らないまま、聖遺物をローマへ運ぶ危険な巡礼に加わることになる。
レイモンド・ド・メルヴィル(リチャード・アーミテージ):巡礼の一行と関わるノルマン人の騎士。聖遺物を巡って独自の思惑を抱えている。
助修士/口のきけない男(ジョン・バーンサル):修道院で働く寡黙な男。過去に秘密を抱えているが、高い戦闘能力を持ち、危機に陥った修道士たちを守る。
ジェラルドゥス修道士(スタンリー・ウェバー):聖遺物をローマへ運ぶために修道院を訪れたシトー会の修道士。その使命を強く信じている。
キアラン修道士(ジョン・リンチ):巡礼に参加する修道士のひとり。薬草などに詳しく、一行を支える。
作品の魅力解説
13世紀アイルランドを「美しい中世」ではなく過酷な世界として描く
『レジェンダリー』は、中世ヨーロッパを華麗な騎士や巨大な城の世界として描く作品とは方向性が異なる。
舞台となる1209年のアイルランドは、部族間抗争とノルマン人の支配拡大が重なった不安定な土地。泥、森、雨、岩場といった荒々しい自然の中を修道士たちが進み、いつ襲撃を受けるか分からない危険な旅が描かれる。
撮影を担当したトム・コマーフォードによる自然光を生かした映像も含め、低予算の歴史映画ながら時代の厳しさを感じさせる質感が特徴となっている。
信仰の象徴を巡って暴力が拡大していく皮肉
物語の中心にあるのは、聖遺物をローマへ届けるという宗教的使命だ。しかし、その「聖なるもの」を巡って人間たちは争い、殺し合い、権力を求める。
同じキリスト教を信じる者同士であっても、信仰のあり方や政治的な目的は異なる。聖遺物そのものの神秘性より、それを価値あるものだと信じる人間の欲望や暴力へ焦点を当てているところに、本作の歴史ドラマとしての面白さがある。
トム・ホランド、ジョン・バーンサル、リチャード・アーミテージの共演
出演陣では、まだ若い修道士を演じるトム・ホランドに加え、ジョン・バーンサルとリチャード・アーミテージという強い存在感を持つ俳優が配置されている。
とりわけ台詞をほとんど使わず、身体表現によって過去と暴力性を感じさせるジョン・バーンサルの演技は海外批評でも評価されたポイント。物語が後半へ進むにつれ、静かな巡礼映画から荒々しいアクションへと比重が変化していく。
Rotten Tomatoesの批評家スコアは68%、Metacriticは60点で、全面的な高評価というほどではないものの一定の支持を獲得した。時代の質感やキャスト、激しいアクションを評価する声がある一方、前半の進行の遅さや過剰な暴力描写、信仰を巡るテーマを十分に掘り下げきれていないという批判もある。
歴史大作のスケールを期待する作品ではないが、泥臭い中世アクションと宗教を巡る陰鬱なドラマを組み合わせた作品として独自性を持っている。
