映画『フェブラリィ 悪霊館』(2015)を紹介&解説。
映画『フェブラリィ 悪霊館』概要
映画『フェブラリィ 悪霊館』は、オズ・パーキンスが脚本・監督を務めた2015年製作のカナダ・アメリカ合作の心理ホラー。冬休みの寄宿学校に取り残されたふたりの少女と、同じ学校へ向かう謎めいた女性の物語を、冷え込んだ空気感と不穏な時間構成で描く。出演はエマ・ロバーツ、キーナン・シプカ、ルーシー・ボイントン、ローレン・ホリー、ジェームズ・レマーら。『サイコ』で知られるアンソニー・パーキンスを父に持つオズ・パーキンスの長編監督デビュー作であり、米国ではA24が配給を手がけた。
作品情報
日本版タイトル:『フェブラリィ 悪霊館』
DVDタイトル:『フェブラリィ 消えた少女の行方』
原題:February/The Blackcoat’s Daughter
製作年:2015年
本国公開日:2017年3月31日(米国劇場公開)
日本公開日:2017年11月5日
ジャンル:ホラー/スリラー/ミステリー
製作国:カナダ/アメリカ
原作:無
上映時間:93分
監督:オズ・パーキンス
脚本:オズ・パーキンス
製作:エイドリアン・ビッドル/ロブ・パリス/ブライアン・ベルティノ/ロバート・メンジーズ/アルフォンス・ゴサイン
製作総指揮:ヘンリー・ウィンタースターン/ピーター・グレアム/スティーヴ・ヘイズ
撮影:ジュリー・カークウッド
編集:ブライアン・アフバーグ
作曲:エルヴィス・パーキンズ
出演:エマ・ロバーツ/キーナン・シプカ/ルーシー・ボイントン/ローレン・ホリー/ジェームズ・レマー
製作会社:パリス・フィルム/アンブロークン・ピクチャーズ/ゼッド・フィルムワークス/ゴー・インセイン・フィルムズ/トラベリング・ピクチャー・ショー・カンパニー/ハイランド・フィルム・グループ/120dBフィルムズ
配給:A24(米国)/ファインフィルムズ(日本)
あらすじ
冬休みを前に、全寮制のブラムフォード学院から生徒たちが帰省していく。しかし、キャサリンとローズの両親はなぜか迎えに現れず、ふたりは人気のない学校に取り残されてしまう。やがて校内では恐ろしい幻影や不可解な出来事が相次ぎ、キャサリンの様子にも異変が表れる。一方、謎めいた女性ジョアンは、ある目的を胸に同じ学校へ向かっていた。やがて別々に見えた物語はつながり、凍てついた孤独の奥に潜む恐怖が浮かび上がっていく。
主な登場人物(キャスト)
ジョアン(エマ・ロバーツ):ある目的のため、ブラムフォード学院へ向かう謎めいた若い女性。道中でビルとリンダに出会い、学校へ近づいていくにつれて、彼女の抱える秘密が物語の不穏さを深めていく。
キャサリン/キャット(キーナン・シプカ):冬休みの寄宿学校に取り残された生徒。両親が迎えに来ない状況の中で、奇妙な幻影に悩まされ、次第に不可解な言動を見せるようになる。
ローズ(ルーシー・ボイントン):キャサリンとともに学校に残される上級生。誰もいない校舎で起こる異変に直面しながら、キャサリンの変化に戸惑い、恐怖の中心へ引き寄せられていく。
リンダ(ローレン・ホリー):夫のビルとともに車で移動中、ジョアンと出会う女性。
ビル(ジェームズ・レマー):リンダの夫。道中でジョアンを車に乗せる。
作品の魅力解説
本作の魅力は、派手な恐怖演出よりも、沈黙や空白、冷たい映像の質感によって不安を積み上げていく点にある。寄宿学校という閉ざされた空間、冬の無機質な風景、人物たちのぎこちない会話が重なり、観客は明確な説明がないまま不穏な気配の中へ引き込まれていく。
また、キャサリンとローズが学校に取り残される物語と、ジョアンが学校へ向かう物語が並行して進む構成も特徴的だ。ふたつの線がどのようにつながるのかを見せることで、単なる“悪魔憑き”や“学園ホラー”にとどまらない、記憶と孤独の物語としての奥行きが生まれている。
オズ・パーキンスの演出は、恐怖を直接見せるよりも、見えないものがそこにいるかもしれない感覚を重視している。ジャンプスケアよりも余韻や不快感を残すタイプのホラーであり、A24系の静かな恐怖、スローバーン型のサスペンスを好む観客に向いた作品といえる。
さらに、エマ・ロバーツ、キーナン・シプカ、ルーシー・ボイントンの抑制された演技も本作の核となる。感情を大きく爆発させるのではなく、孤独や不安、何かに取り込まれていく感覚を静かににじませることで、物語全体に冷たい余韻を残している。
