『ボヘミアン・ラプソディ』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ・レビュー

映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)を紹介&解説。


映画『ボヘミアン・ラプソディ』概要

映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、イギリスのロックバンド「クイーン」の結成から、1985年に行われたライブ・エイドでの歴史的なステージまでを描いた音楽伝記ドラマ。フレディ・マーキュリーの成功と孤独、メンバーとの衝突や結びつきを、数々の代表曲とともに映し出す。主演のラミ・マレックは第91回アカデミー賞主演男優賞を受賞し、作品も編集賞、音響編集賞、録音賞を含む計4部門に輝いた。

作品情報

日本版タイトル 『ボヘミアン・ラプソディ』
原題 Bohemian Rhapsody
製作年 2018年
本国公開日 2018年10月24日(イギリス)/2018年11月2日(アメリカ)
日本公開日 2018年11月9日
ジャンル 音楽伝記ドラマ
製作国 イギリス/アメリカ
原作 無(クイーンおよびフレディ・マーキュリーの実話に基づく)
上映時間 135分
監督 ブライアン・シンガー
脚本 アンソニー・マクカーテン
原案 アンソニー・マクカーテン/ピーター・モーガン
製作 グレアム・キング/ジム・ビーチ
製作総指揮 アーノン・ミルチャン/デニス・オサリヴァン/ジェーン・ローゼンタール/デクスター・フレッチャー/ジャスティン・ヘイス
撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル
編集 ジョン・オットマン
音楽総指揮 ブライアン・メイ/ロジャー・テイラー
出演 ラミ・マレック/ルーシー・ボーイントン/グウィリム・リー/ベン・ハーディ/ジョセフ・マッゼロ/エイダン・ギレン/アレン・リーチ/トム・ホランダー/マイク・マイヤーズ/アーロン・マカスカー
製作 20世紀フォックス/ニュー・リージェンシー/GKフィルムズ/クイーン・フィルムズ
配給 20世紀フォックス

あらすじ

1970年のロンドン。移民家庭に生まれ、自らをフレディ・マーキュリーと名乗るファルーク・バルサラは、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが所属するバンドのボーカルに立候補する。やがてジョン・ディーコンも加わり、4人は「クイーン」として活動を開始。「キラー・クイーン」や「ボヘミアン・ラプソディ」などの革新的な楽曲によって、世界的なスターへと駆け上がっていく。

しかし、成功の裏でフレディは自身のセクシュアリティや孤独に苦しみ、家族同然だったメンバーとの間にも溝が生まれていく。クイーンを離れてソロ活動へ進んだ彼は、失いかけた大切なものと向き合い、ライブ・エイドという大舞台を前に再びメンバーのもとへ向かう。

主な登場人物(キャスト)

フレディ・マーキュリー(ラミ・マレック):クイーンのボーカリスト。本名はファルーク・バルサラ。圧倒的な歌唱力と独創的なパフォーマンスで世界的スターとなる一方、成功の裏で自身の出自やセクシュアリティ、深い孤独に苦しんでいく。

メアリー・オースティン(ルーシー・ボーイントン):フレディが若い頃に出会い、恋人となる女性。ふたりの関係が変化したあとも、フレディにとってかけがえのない理解者であり続ける。

ブライアン・メイ(グウィリム・リー):クイーンのギタリスト。知的かつ冷静な人物で、フレディと意見を衝突させながらも、革新的な音楽をともに生み出していく。

ロジャー・テイラー(ベン・ハーディ):クイーンのドラマー。強い自我と音楽へのこだわりを持ち、派手な言動を見せるフレディとも対等に渡り合う。

ジョン・ディーコン(ジョセフ・マッゼロ):クイーンのベーシスト。ほかのメンバーと比べて物静かだが、バンド内の緊張を和らげる役割も担い、「地獄へ道づれ」などの楽曲を生み出す。

ポール・プレンター(アレン・リーチ):フレディの身近で働くようになる人物。孤独を抱えるフレディに接近し、次第に彼をクイーンのメンバーや周囲の人々から遠ざけていく。

ジム・ビーチ(トム・ホランダー):クイーンのマネージャー。メンバーから“マイアミ”と呼ばれ、バンドの活動とビジネスを支える。

ジム・ハットン(アーロン・マカスカー):華やかなパーティーの中でフレディと出会う男性。スターとしてではなく、ひとりの人間としてフレディに向き合う。

作品の魅力解説

人物伝としての浅さを、音楽映画としての力が押し流す

本作はフレディ・マーキュリーの人生を扱いながらも、その複雑な内面やセクシュアリティ、メンバー以外との人間関係を徹底的に掘り下げた伝記映画とは言い難い。出来事の順序や関係性もドラマとして再構成されており、成功、孤立、転落、和解という分かりやすい物語へ整理されている。

一方で、そういった弱点を押し流してしまうほど、音楽映画としての高揚感が強い作品でもある。

クイーンを身体化したキャストの演技

最大の見どころのひとつが、実在のメンバーを研究し尽くしたような俳優陣の演技である。ラミ・マレックはフレディの口元や視線、歩き方、ステージ上での身のこなしまで作り込み、単なる外見の模倣を超えて、その大胆さと繊細さを身体全体で表現した。

グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロも、それぞれブライアン、ロジャー、ジョンの特徴を的確に捉えている。4人がスタジオで意見をぶつけ、冗談を交わしながら曲を作っていく場面には、本物のバンドを眺めているかのような楽しさがある。

名曲を“説明”ではなく“体験”に変える構成

「キラー・クイーン」「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「地獄へ道づれ」「伝説のチャンピオン」など、クイーンを代表する楽曲が物語の節目に配置されている。単に有名曲を次々と流すのではなく、アイデアの誕生、録音、観客の反応までを映し、楽曲が完成していく興奮をドラマの推進力へ変えている。

史実を知っている観客にも、次にどの曲が現れるのかという期待を抱かせる作りであり、曲が鳴り始めるたびに高揚感が更新されていく。音楽の使い方そのものが格好よく、クイーンを詳しく知らない観客にも、その革新性と普遍的な魅力が伝わりやすい。

映画館をコンサート会場へ変えるライブ・エイド

クライマックスでは、1985年7月13日にウェンブリー・スタジアムで行われたライブ・エイドのステージを長尺で再現する。衣装、楽器、カメラアングル、フレディの動作や観客との掛け合いに至るまで実際の映像を参照して作り込まれ、物語の結末であると同時に、一本のライブ映像として成立するほどの熱量を備えている。

人物譚として残された物足りなさも、このステージが始まると一時的に吹き飛んでしまう。観客はクイーンの演奏を見守るだけでなく、巨大な会場の一員になったような感覚へ引き込まれる。思わず手拍子を送り、一緒に歌いたくなるライブ・エイドの再現こそ、本作を単なる伝記映画ではなく、世界的な熱狂を生んだ映画体験へ押し上げた最大の要因といえよう。

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