『1941』とはどんな映画?あらすじ・キャスト・魅力まとめ

映画『1941』(1979)を紹介&解説。


映画『1941』概要

映画『1941』は、『JAWS/ジョーズ』『未知との遭遇』で成功を収めたスティーヴン・スピルバーグ監督が、真珠湾攻撃直後のアメリカ西海岸を舞台に手がけた戦争コメディ。日本軍の上陸を恐れる軍人や市民が疑心暗鬼に陥り、味方同士で暴走していく一日を、群像劇と大規模なスラップスティックで描く。ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、三船敏郎、クリストファー・リーらが共演。公開当時は騒々しさやまとまりのなさを批判された一方、撮影、音響、ミニチュアを駆使した視覚効果など、技術面では高く評価された。

作品情報

日本版タイトル 『1941』
原題 1941
製作年 1979年
本国公開日 1979年12月14日
日本公開日 1980年3月8日
ジャンル コメディ/戦争
製作国 アメリカ
原作 無
上映時間 118分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 ロバート・ゼメキス/ボブ・ゲイル
原案 ロバート・ゼメキス/ボブ・ゲイル/ジョン・ミリアス
製作 バズ・フェイトシャンズ
製作総指揮 ジョン・ミリアス
撮影 ウィリアム・A・フレイカー
編集 マイケル・カーン
作曲 ジョン・ウィリアムズ
出演 ジョン・ベルーシ/ダン・エイクロイド/ネッド・ビーティ/ロレイン・ゲイリー/マーレイ・ハミルトン/クリストファー・リー/ティム・マシスン/三船敏郎/ウォーレン・オーツ/ロバート・スタック/トリート・ウィリアムズ/ナンシー・アレン/ボビー・ディ・シッコ/ダイアン・ケイ
製作会社 Aチーム・プロダクションズ/ユニバーサル・ピクチャーズ/コロンビア・ピクチャーズ
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)/コロンビア・ピクチャーズ(北米以外)

あらすじ

1941年12月13日。真珠湾攻撃からわずか6日後の南カリフォルニアでは、日本軍が次に西海岸へ侵攻してくるという恐怖が広がっていた。そんな中、ミタムラ艦長率いる日本海軍の潜水艦がカリフォルニア沖に出現。潜水艦の乗組員たちは、アメリカを象徴する攻撃目標としてハリウッドを探し始める。

陸上では、敵機を追い求める血気盛んなパイロット、庭に高射砲を設置された一家、戦車で街を走り回る兵士たち、慰問ダンスパーティーへ潜り込もうとする青年など、それぞれの騒動が同時に進行する。やがて日本軍よりもアメリカ軍と市民の混乱が大きな破壊を引き起こし、ロサンゼルス一帯は収拾のつかない大騒動へと発展していく。

主な登場人物(キャスト)

ワイルド・ビル・ケルソー(ジョン・ベルーシ):日本軍の航空機を探してカリフォルニア上空を飛び回る米陸軍航空隊のパイロット。極端に好戦的で思い込みも激しく、敵を見つけるより先に味方や街へ被害を与えていく。

フランク・トゥリー軍曹(ダン・エイクロイド):M3戦車の指揮を執る米軍軍曹。軍人としての秩序と規律を重んじているが、部下たちとともに街の騒乱へ巻き込まれ、事態をさらに拡大させてしまう。

ウォード・ダグラス(ネッド・ビーティ):サンタモニカの海岸沿いに暮らす一家の父親。自宅の庭へ軍の高射砲を設置され、防衛活動に協力しようと張り切るものの、砲撃によって思わぬ被害を招く。

ウォーリー・スティーヴンス(ボビー・ディ・シッコ):レストランで働く青年。恋人のベティと踊るため、軍人限定の慰問ダンスパーティーへ潜り込もうとする。ベティに目をつけたシタースキー伍長と対立し、大乱闘の中心人物となる。

ミタムラ艦長(三船敏郎):カリフォルニア沖へ接近した日本海軍潜水艦の指揮官。ハリウッドを攻撃し、日本へ戦果を持ち帰ろうとする。クリストファー・リー演じるドイツ海軍将校フォン・クラインシュミット大佐も同艦に乗り込んでいる。

ジョセフ・W・スティルウェル少将(ロバート・スタック):南カリフォルニアの防衛を任された米陸軍の司令官。周囲が侵攻の恐怖に駆られる中でも冷静さを保ち、騒動のさなかに映画館で『ダンボ』を鑑賞している。

作品の魅力解説

戦争を敵味方双方の混乱として描く風刺:本作が笑いの対象とするのは、日本軍の脅威そのものよりも、見えない敵を恐れて暴走するアメリカ軍と市民である。1942年に起きた日本海軍潜水艦によるカリフォルニア州エルウッド砲撃や、誤認と集団パニックが大規模な対空砲火を引き起こした「ロサンゼルスの戦い」などを着想源に、戦時下の疑心暗鬼を荒唐無稽な喜劇へ変えている。

コメディとしては散漫で騒々しい:登場人物と並行するエピソードが非常に多く、戦車、戦闘機、潜水艦、ダンス、乱闘、爆発といった見せ場が絶え間なく続く。その物量が笑いの間や物語の中心を埋没させ、公開当時は「規模ばかり大きく、コメディとしてまとまりに欠ける」と厳しく批判された。スピルバーグ自身も後年、あらゆる要素を詰め込みすぎた作品だったと認めている。

失敗を恐れない大規模な映像設計:作品全体の完成度には疑問が残る一方、実物大セット、スタント、爆破、精巧なミニチュアを組み合わせた映像は大がかりである。特にハリウッド大通りの空中戦、遊園地の破壊、ダンスパーティーから乱闘へ移行する長いシークエンスには、後のスピルバーグ作品にもつながる群衆演出とアクション設計が見られる。本作はアカデミー賞で撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門にノミネートされた。

異色の豪華キャスト:ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドをはじめ、ジョン・キャンディ、ナンシー・アレン、トリート・ウィリアムズ、ウォーレン・オーツ、ロバート・スタックらが参加。さらに三船敏郎とクリストファー・リーが同じ日本軍潜水艦に乗り込むという、ほかでは見られない配役が実現している。ただし、個性的な俳優を大量に登場させたことも、焦点が定まらない原因のひとつとなった。

歴史の扱いには注意が必要:作中のダンス会場における軍人と若者たちの乱闘には、1943年に白人兵士らがメキシコ系アメリカ人を襲撃した「ズート・スーツ暴動」の要素が取り入れられている。しかし、人種差別を背景とする事件をドタバタ喜劇へ置き換えた点や、真珠湾攻撃後の日系人強制収容をほとんど扱わない点は、現在の視点から見ると大きな弱点である。豪快な失敗作として楽しむだけでなく、1970年代末のハリウッドが第二次世界大戦をどのように笑いへ変えたのかを検討できる作品でもある。

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