多様なキャストの映画ほど観客が入る―UCLAレポートが数字で証明【多様性の確保がカギ】

多様なキャストの映画ほど観客が入る―UCLAレポートが数字で証明【多様性の確保がカギ】 NEWS
多様性が映画興行のカギ

UCLAの最新レポートが、多様なキャストを持つ映画ほど観客に支持される傾向を示した。


多様化が進む米国の観客は、映画においても多様な物語とキャストを求めているようだ。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が現地時間3月12日に発表した「ハリウッド・ダイバーシティ・レポート」は、キャスティングの多様性と観客の嗜好、興行収入の関係を分析した最新調査である。レポートは、人口構成を反映したキャストを持つ作品が興行面でも高い成果を示す傾向を指摘している。

キャストの多様性をもつ映画が興行面でも高い成果

調査によると、BIPOC(※)が41〜50%を占めるキャストの映画は、世界および国内興行収入の中央値、平均上映館数、初週末ランキング、国際配給の広さといった複数の指標で最も高いパフォーマンスを示した。

※BIPOCとは「Black, Indigenous, People of Color」の略で、白人以外の人種・民族を包括的に指す言葉。

この割合は、米国人口におけるBIPOCの比率45.2%と近く、人口構成の現実を反映した映画が観客の支持を得やすい可能性を示唆している。さらにBIPOCの映画鑑賞者は、BIPOCが21〜30%のキャスト、および40%以上のキャストを持つ映画のチケット購入者として平均を上回る割合を示した。

また、チケット購入データからも多様な観客層の影響力が拡大していることがうかがえる。2025年の世界興行収入ランキングでは、トップ10のうち5作品、トップ20のうち11作品において、国内の初週末チケット購入者の過半数をBIPOCが占めた。

ジャンルによって異なる観客構成―SFとホラーが高い興行成績

レポートでは、2025年公開映画のジャンル別トレンドも分析されている。世界興行収入の中央値でもっとも高かったジャンルはSF映画で、投資対効果の中央値がもっとも高かったのはホラー映画だった。

ジャンルごとに観客構成にも違いがみられる。白人の映画鑑賞者は伝記映画、ドキュメンタリー、ドラマの観客層で多数を占めたが、これらのジャンルは興行収入の中央値がもっとも低かった。一方、アニメーションとホラー映画では観客の過半数をBIPOCが占め、アクション映画でも観客のほぼ半数をBIPOCが占めていた。

こうした傾向は、観客層の多様化がジャンルごとの興行構造にも影響を与えていることを示している。さらに、チケット購入パターンの分析では、2025年の世界興行収入ランキングトップ10のうち5作品、トップ20のうち11作品において、国内初週末のチケット購入者の過半数をBIPOCが占めていたことも明らかになった。

興行上位作品でもキャスティングの多様性が共通点に

レポートはまた、世界興行収入ランキング上位作品におけるキャスティングの特徴も分析している。トップ10のうち6作品、トップ20のうち12作品では、BIPOCが30%以上を占めるキャストが起用されていた。さらに、トップ10の3作品とトップ20の8作品では女性が40%以上を占めるキャストが組まれ、トップ10の2作品とトップ20の4作品では障がいを持つ俳優が20%以上出演していた。

観客層別の人気作品を見ても、多様性を備えたキャストが目立つ。BIPOCの各観客グループでは、それぞれのトップ20作品のうち10〜13作品が、BIPOCが30%以上のキャストを擁していた。白人の映画鑑賞者においても、トップ20のうち7作品がBIPOC比率30%以上のキャストを持っていた。

また女性観客のトップ20作品のうち13作品が女性40%以上のキャストを擁し、そのうち12作品は女性を中心とした物語だった。観客層の広がりとともに、キャスティングの多様性が興行上位作品に共通する特徴として表れている。

映画が「他者とつながる機会」になると研究者は指摘

一方でレポートは、女性出演者の状況についても言及している。女性主演作品は2024年の過去最高水準から減少し、世界興行収入トップ20における女性主演作品は9本から6本に減少した。また、女性観客が過半数を占めた映画も8本から4本に落ち込んだ。

出演比率の面でも変化がみられる。女性の出演比率は2024年の41.3%から2025年には37.1%に低下し、男性が過半数を占めるキャストの作品は51.5%から66.9%へと増加した。

それでもレポートは、女性を中心とした物語や女性主演作品への需要が依然として高いことを指摘する。2025年には、初週末の女性観客比率がもっとも高いトップ20作品のうち19作品が女性の主演または共同主演を擁し、13作品がジェンダーバランスの取れたキャストを持ち、12作品が女性を中心とした物語を描いていた。レポートは、『バービー』『インサイド・ヘッド2』『ズートピア2』、実写版『リロ・アンド・スティッチ』といった興行的成功作が、この需要を裏付けているとしている。

研究者たちは最終的に、映画における多様な表現の重要性を強調している。「人々は自分が共感でき、つながりを感じられる物語を映画に求めているんだ」と述べたうえで、映画は「現実では出会うことのないような他者とつながり、人間としての共通性を理解する機会を与えてくれる」と指摘している。ハリウッドが観客を劇場に引きつけ続けるためには、人種やジェンダーにわたる多様性を維持していく必要があると結論づけている。

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