『レディ・オア・ノット』続編の制作舞台裏。撮影直前、主演が“枕”で負傷する危機が起きていた。
2019年のホラー映画『レディ・オア・ノット』の続編『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』をめぐる舞台裏が、映画製作集団ラジオ・サイレンスのインタビューで明らかになった。監督のマット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレットは、米『ザ・ハリウッド・リポーター』誌の取材で、続編誕生の経緯や制作過程のトラブルについて語っている。
新作は前作のラストシーンから直接続く物語だ。サマラ・ウィーヴィング演じるグレースが、富豪の義家族ル・ドマス一家との血みどろの“かくれんぼ”を生き延びた後から物語が始まる。やがて彼女は、長らく疎遠だった妹フェイスと再会し、世界の裏側を支配する秘密組織を巡る、さらに大規模なゲームへと巻き込まれていくことになる。
『レディ・オア・ノット』続編が動き出した理由
ラジオ・サイレンスは当初、この続編に関わる予定はなかった。監督コンビが前回メディアの取材に応じたのは、ヴァンパイア映画『アビゲイル』(2024年)のプロモーション時であり、その時点では『レディ・オア・ノット』の物語はすでに過去のものとして受け止めていたという。
しかしプロモーション活動から戻った後、状況が変わる。サマラ・ウィーヴィングとキャスリン・ニュートンのために、新たに“姉妹もの”の物語を書こうというアイデアが生まれたのだ。
そんな矢先、両作品のプロデューサーであるトリップ・ヴィンソンから連絡が入る。ベティネッリ=オルピンは当時を振り返り、「トリップから電話があって、俺たちはこう思ったんだ。『自分たちのアイデアを丸ごと持ってきちゃおう。みんなに売り込んでみよう』って」と語る。
このアイデアはすぐに制作側の賛同を得たという。さらに彼は、「あの姉妹というアイデアがはまった瞬間、『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』に飛び込む気持ちが一気に高まったよね」と振り返っている。
撮影直前に起きたトラブル――“枕”が続編を危機に追い込む
しかし制作は順調に進んでいたわけではない。撮影開始を目前に控えたタイミングで、映画の進行を揺るがしかねない出来事が起きていた。
撮影開始のわずか10日前、主演のサマラ・ウィーヴィングが突然歩けなくなったという。原因は思いがけないものだった。彼女は枕を掴もうとした際に腰を痛め、深刻な状態に陥ってしまったのだ。
ジレットは当時の状況を振り返り、「あれほど映画の準備が本当に実現するのかどうか不安になったことはなかったよね」と語る。さらにベティネッリ=オルピンも、「サムはまったく動けなくて、ただ床に横たわっているだけだった」と当時の緊迫した状況を明かした。
撮影開始まで残された時間は約1週間半。それでも制作チームは予定通り準備を進めていたという。
幸いにも、ウィーヴィングの状態は本撮影が始まる数日前に回復した。ただし本人も認めているように、通常よりもスタントシーンの割合は大幅に減らさざるを得なかったという。
『スクリーム』経験とメタ要素への距離感
ラジオ・サイレンスが手がけた『スクリーム』(2022)と『スクリーム6』(2023)についても話題に上った。両作は批評面・興行面ともに成功を収め、全世界興収の平均は1億5200万ドルに達している。
もっとも、その道のりは決して平坦ではなかった。『スクリーム』(2022)では、監督たちが編集したバージョンと、スタジオが求めたより短い編集版が競合する“ベイクオフ”が実施されたという。最終的にはテスト試写の結果を踏まえ、観客の感情的な共鳴がより高かったラジオ・サイレンス版が劇場公開版として採用された。
ジレットは当時の状況について、「本当に異様で、ものすごく怖い状況だったよね」と振り返り、「あのゲームに挑む時点で、負けたら終わりだってわかっていた」と語る。
また2人は、自分たちの作品にしばしば登場する“メタ要素”についても言及した。『スクリーム』シリーズではその特徴が作品の核になっているが、『レディ・オア・ノット』の世界観では、自己言及が過剰にならないよう慎重に扱っているという。
ベティネッリ=オルピンは、「メリッサのことは大好きだよ。彼女とは3本一緒に作ったし、これからも作りたい」と語りつつも、「この映画を僕らの“身内ネタ”で埋め尽くさないように意識していた」と説明する。
さらにジレットも、「僕らの映画には常にちょっとしたメタな要素が入ってくると思う」としたうえで、「『レディ・オア・ノット』でそれをやるのは世界観から外れすぎてないか?という不安が少しあった」と明かしている。
こうした紆余曲折を経て完成した『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』は、前作の世界観を引き継ぎながら、さらにスケールを拡大した物語として公開を迎える。
