クリスマス興行収入で予想外の番狂わせ-『アバターF&A』独走の裏でA24作品『マーティ・シュプリーム』が2位争いを制す

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』 © 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved. NEWS
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』 © 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

年末興行で『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が独走する一方、クリスマス公開作の2位争いで予想外の逆転劇が起きている。


ジェームズ・キャメロン監督による『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、年末年始の興行収入で圧倒的な強さを見せ続けている。一方で、クリスマス当日に全国公開された新作群も健闘を見せ、その中で予想外の番狂わせが起きた。A24製作の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』が、ソニーのコメディ大作『アナコンダ(原題)』を抑え、2位争いで優勢に立つ見込みとなっている。

『アバター3』が独走、全世界興収7億ドル突破へ

公開2週目を迎えた『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』は、北米3,800館で週末興収8,000万〜8,500万ドル(約124億6,700万〜132億4,700万円)を記録する見通しで、ホリデーシーズンの興行レースを引き続き牽引している。金曜日には国内で2,200万ドル(約34億2,800万円)を稼ぎ、北米累計は1億7,630万ドル(約274億7,800万円)に到達。クリスマス当日には2,400万ドル(約37億4,000万円)を記録し、同日の国内興収として歴代トップ10に入る成績となった。

全世界興収はすでに6億ドル(約935億円)を突破しており、日曜日までに7億ドル(約1,091億円)を大きく超え、8億ドル(約1,247億円)に迫る可能性もあると見られている。ディズニーは詳細な数字を公表していないものの、国内累計でも2億2,000万ドル台(約343億円台)に達する見込みで、年末興行における“絶対的王者”としての地位を固めつつある。

2位争いで番狂わせ、A24作品がソニー大作を逆転

注目の2位争いは、公開直後から『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』『アナコンダ(原題)』による激しい競り合いとなった。当初は、ジャック・ブラックとポール・ラッドが共演するソニーのコメディ・モンスター映画『アナコンダ(原題)』が有利と見られていたが、実際にはA24製作、ティモシー・シャラメ主演の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』が予想を覆す動きを見せている。

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』は、2,688館での4日間オープニングで2,700万ドル台(約42億円台)を記録する見込みだ。クリスマス当日には、水曜日のプレビュー200万ドル(約3億1,200万円)を含む950万ドル(約14億8,100万円)を稼ぎ、金曜日も670万ドル(約10億4,400万円)と安定した推移を見せた。いずれも事前予想を上回る数字で、ロングホリデー週末におけるダークホースとして存在感を示している。

本作は先行して行われたニューヨークとロサンゼルスの6館限定公開でも、1館あたり平均14万5,913ドル(約2,270万円)という記録的な数字を叩き出した。これはA24史上最高の成績であり、2016年の『ラ・ラ・ランド』以来となる高水準だとされている。製作費は6,000万〜7,000万ドル(約93億5,000万〜109億1,000万円)と報じられ、同スタジオにとっては異例の大型プロジェクトでもある。

批評面でも評価は高く、米『ザ・ハリウッド・リポーター』誌のチーフクリティック、デヴィッド・ルーニーはレビューで、本作について「スポーツ・コメディを再発明している」と評している。さらに、「ジャンル破りのオリジナル作品」であり、「1950年代初頭のニューヨーク市の脈打つような再現」でもあるとし、その独自性を強調した。

一方の『アナコンダ(原題)』は、3,509館で4日間オープニング2,200万ドル(約34億2,800万円)を記録する見込みだ。批評家からの評価は厳しく、Rotten Tomatoesでは51%にとどまっている。ただし観客の反応は極端に悪いわけではなく、CinemaScoreはB、観客スコアは78%と、一定の支持は得ている状況だ。THRのアンジー・ハンはレビューで、「ジャック・ブラック、ポール・ラッド、そして巨大なCGの蛇が出演するアクション・コメディなら、もっと面白くあるべきだ」と指摘している。

勝因は異例のプロモーション、シャラメ主導の戦略が奏功

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』の健闘を支えた要因として、大胆かつ異例のマーケティング戦略も見逃せない。主演のティモシー・シャラメは、映画のプロモーションのためなら手段を選ばず、ラスベガスのザ・スフィアの頂上に立った初の人物となった。この大胆な試みは大きな話題を呼び、作品の認知拡大に貢献したと見られている。

公開までの数週間、シャラメはA24のマーケティングチームとのZoom会議を自ら脚本・演出し、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のために次々とアイデアを提案していたという。その中の一つが、映画タイトルを両面に印刷した明るいオレンジ色のレンタル飛行船を飛ばすという計画で、実際にロサンゼルス周辺で実現した。

さらに、ニューヨークプレミアに先立ち、監督のジョシュ・サフディとキャストがエンパイア・ステート・ビルをオレンジ色にライトアップするという演出も行われた。こうした一連のプロモーションは、従来のインディー作品の枠を超え、イベント性の高い“体験型”の宣伝として機能した。

もっとも、本作にとって今後の焦点は、こうした話題性を一過性のものに終わらせず、専門的な映画ファン層を超えて、どこまでメインストリームの観客に浸透させられるかという点にある。クリスマス興行で起きた番狂わせが、年末年始を通じた本格的なヒットへとつながるかどうかが注目される。

『ズートピア2』が追い上げ、順位は最後まで流動的に

クリスマス興行の順位争いは、2位争いにとどまらず、さらに流動的な展開を見せている。ディズニーの感謝祭公開作『ズートピア2』が、公開5週目にもかかわらず堅調な動員を維持しており、週末興収ランキングに影響を与える可能性が出てきた。

金曜日の動員状況を基にすると、『ズートピア2』は4日間で2,400万ドル(約37億4,000万円)を稼ぐ可能性があり、ロングホリデー週末の集計方法次第では、『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』や『アナコンダ(原題)』の順位を左右する存在となり得る。3日間集計では『ズートピア2』が2位に浮上する可能性も指摘されており、最終的なランキングは週末終盤まで確定しない見通しだ。

こうした状況を受け、ディズニーやA24を含む一部の配給会社は、土曜日の動向を見極めた上で4日間興収の正式予測を発表するという、慎重な姿勢を取っている。通常であれば土曜日の朝にはより具体的な数字が示されるが、今年のクリスマス興行はジャンルも規模も異なる作品が並ぶ異例のラインナップとなっており、拙速な判断を避ける狙いがあると見られる。

『アバター』と『ズートピア』という強力な続編を擁するディズニーは、この年末興行を通じて、パンデミック以降初めて、そして2019年まで5年連続で達成していた全世界興収60億ドル超えに再び到達した。クリスマス興行で起きた番狂わせは、単なる一時的な現象ではなく、年末映画市場全体の勢力図を映し出す結果となっている。

その他の新作も健闘、年末興行は多様な作品が並ぶ展開に

このほかの新作では、エンジェル・スタジオが配給する信仰をテーマにした『David(原題)』が、12月25日のオープニングデーに460万ドル(約7億1,700万円)を記録し、5位前後でのフィニッシュが見込まれている。ユタ州拠点の同スタジオにとっては、『サウンド・オブ・フリーダム』に続く記録的な滑り出しとなった。

ライオンズゲートの女性向けスリラー『The Housemaid(原題)』は、シドニー・スウィーニーとアマンダ・サイフリッドの共演作として安定した動員を維持し、7位に入る見通しだ。さらに、パラマウントの『劇場版スポンジ・ボブ 呪われた海賊と大冒険だワワワワワ!』や、フォーカス・フィーチャーズ配給の『Song Sung Blue(原題)』も続き、後者はヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソン主演作として、批評家・観客双方から高評価を獲得している。


クリスマスが木曜日に当たる今年のカレンダーは、映画館オーナーにとって理想的な条件となった。週末までのロングホリデーが確保されるうえ、年末の最後の2週間は学校や大学が休みに入り、多くの大人も休暇を取る時期に重なる。こうした環境は、年間を通じても最も映画鑑賞需要が高まるタイミングだ。

『アバター』の独走という大きな流れの中で、A24作品の番狂わせや、ファミリー向け作品の粘り強さが交錯した今年のクリスマス興行は、単なる数字以上に、現在の映画市場の多様性と観客層の広がりを映し出す結果となっている。年末年始を通じて、この勢力図がどこまで変化するのか、引き続き注目が集まりそうだ。

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