【インタビュー|浅野忠信】「東京コミコン」で語った“今の演技”論、国内外で活躍する姿勢、『マイティ・ソー』や『SHOGUN 将軍』への思い

浅野忠信 © cula INTERVIEWS
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「東京コミコン2025」に参加した浅野忠信にインタビュー。


ジョニー・デップ、ノーマン・リーダス、イライジャ・ウッドら豪華来日セレブが参加する「東京コミコン2025」に、国内外で活躍する俳優・浅野忠信が参加。culaは浅野に単独インタビューを実施し、日本とハリウッド双方で活躍するための姿勢や、世界での知名度向上のきっかけとなった『マイティ・ソー』シリーズ、そして“薮重”役でゴールデングローブ賞を受賞することとなった『SHOGUN 将軍』に対する思いなどを聞いた。


東京コミコンへのご参加ありがとうございます。まずは、今年も多くの海外セレブや国内外のファンが集まるこのイベントに、俳優として参加してみての率直なお気持ちを聞かせていただけますか。

浅野:本当は“出る側”としての心構えで来なきゃいけないんですけど、やっぱり(来日セレブが)錚々たる顔ぶれですし……僕は小学生の頃、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好きだったんですよ。親にビデオを買ってもらって、本当に冗談抜きで100回は絶対観ていると思います。その人たち(キャスト)がそこにいるってだけで、もう嬉しくて嬉しくて……だから、参加者というよりはもう僕もファンとしてここにいるような感じになっちゃってますね(笑)。とても楽しいです!

今回『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から4人ものキャスト(クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウェルズ)が来日していますね。

浅野:すごいですよね……。

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浅野さんはこれまで日本だけでなく、ハリウッド作品や海外ドラマにも多数出演されてきました。『SHOGUN 将軍』のヒットやゴールデングローブ賞受賞も改めておめでとうございます!これらを経て、世界中の視聴者が浅野さんの名前を知るようになった今、この「東京コミコン」という“日本にいながら世界中のファンと出会える場”をどう感じていますか。

浅野:そうですね、先ほども(ファンへの)サインを書かせてもらったんですけど、本当に色々な国から来ていただいてますし、日本でも東京だけじゃなくて北海道の方もいらっしゃったり、色々な所から来てくれているので、こんなにありがたいことはないなと……。やっぱり本当に我々を支えてくれてるのは、今日参加してくれてるような皆さんのおかげですし、「この人たちがいてくれるから、こうやって映画とかドラマとかってどんどん盛り上がることができるな」って再認識しています。

ドラマ『SHOGUN 将軍』で藪重役を演じられ、今年のゴールデングローブ賞ではテレビ部門助演男優賞を受賞されました。授賞式のスピーチでは「たぶん、皆さんは私のことを知らないと思います」と自己紹介されていたのも印象的でしたが、この作品と藪重という役は、浅野さんにとってどんな“転機”になったと感じていますか。

浅野:本当に『SHOGUN 将軍』はそれまでの集大成だったと思いますし、これはやってみないとわからないことですけど、簡単にそこにたどり着けることではなかったんですね。やっぱり自分のキャリアの中でもがきにもがいて、正直言ってもう諦めたときにやってきたようなことですから。とても簡単ではなかったし、一番は真田(主演の真田広之)さんのようにヴィジョンを持って努力して、あそこの場所にたどり着いた人がいるから、僕はそこに食らいつくことができたっていう……本当にそういう先輩方の力のおかげが一番ですよ。

浅野:本当に錚々たるメンバーで『SHOGUN 将軍』という作品を作りましたから、長い時間をかけてやっと我々日本人が、そういうとこにたどり着けたんだなと。僕もひとつの役割を与えてもらえて、そこに全力で取り組むことができたので、こういう機会をもらえたのは本当に感謝しています。

本当に魂の震える演技でしたし、私もゴールデン・グローブ賞で受賞が決まった瞬間はちょっと泣いてしまいました……。

浅野:いや〜嬉しいです……!もう僕もボロ泣きしましたよ!

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コミコンでは俳優志望の来場者から演技に関する質問が出ることもあります。藪重のように、完全な悪とも善とも言い切れない人物を造形するとき、俳優として特に意識していることや、大事にしている視点があれば教えてください。

浅野:平成までとか令和が始まった今とか、もちろん時代時代で変わることはあるとは思うんですけど、僕が今の時代を生きて(仕事を)やらせてもらっていて思うのは、今は“本当のリアリティ”がものすごく重要だなと。で、藪重っていうのは僕は元々リアリティに当てはめるのが好きな俳優ですから、平成まではあまり必要とされてなかったのかもしれない、特に日本では。ただ僕はそれでもその(リアリティ重視の)やり方を追求していたし、藪重が今ああいうふうな形で賞をもらえたのは、やっぱりその“リアリティ”というものが世の中で必要とされるんだなって実感できたことのひとつでもあるんです。

浅野:何が言いたいかっていうと……“悪役”とかって、本当はないと思うんですね。たまたま社会が生み出した多数決の中で合わなかった人というか。それはやっぱり後ろ指を指されるし、ときにはうまく歯車が合わなくて、“悪い”とされるようなことをやるだろうし。藪重は馬鹿正直な男だから、特にああいう(武士の)時代でそういう正直なやり方をするとあの通り目立ってしまうし、もちろん彼は残酷な部分もいっぱいあるんだけど、それを生み出したのはあの時代、あの社会なわけで……。

浅野:もう10年以上前から、一辺倒な、いわゆる今まで映画で見てきた悪役っていうのはやりたくなかったんです。本当は彼らは誰よりも人に愛されたい存在だし、自分自身が本当に一生懸命生きてるはずなのに世の中に合わない。……っていう演技をずっと練習してきて、それをさっきも言ったように“集大成”として、悪役の藪重で描くことができたんです。やっぱりそれこそが今、僕がもっと表現したいことだし、もしかしたらお客さんも無意識のうちに求めてくれていることかなと思っています。

浅野忠信 © cula

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まだイベントは始まったばかりですが、今回コミコンで来日している他のセレブの方々と印象的な交流はありましたか。

浅野:舞台裏で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のクローディアさん(※)とお話したんですけど、物すごく気さくに話しかけてくれて、昔サンフランシスコで日本の俳優さんに会ったことがあるっていうのを一緒にGoogleで検索したりしました。皆さんに本当にとても気さくですし、まさにずっと大好きだった『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の出演者の方とそういうふうにお話できる機会があるなんて思っていなかったので、とても楽しいです。

※主人公マーティの恋人ジェニファーを演じたクローディア・ウェルズ

東京コミコンにはマーベル映画のファンもたくさん来場しています。浅野さんは『マイティ・ソー』シリーズ3作でホーガンを演じ、これがハリウッドデビュー作にもなりました。世界中のファンが集うコミコンの場から振り返って、ホーガンという役や、『マイティ・ソー』というシリーズは、ご自身のキャリアの中でどんな意味を持っていると感じていますか。

浅野:いや〜もうすごくありがたい転機を迎えさせてもらったというか、アメリカでのキャリアをスタートするのがホーガンで本当に良かったです。個人的な話ですけど僕はおじいちゃんがアメリカ人で、アメリカの血を引いているので、たまたま1作目の撮影中におじいちゃんの墓参りをすることができたんですよ。その後NHKさんに僕のルーツを探る番組を作ってもらったら、自身のルーツにスカンジナビアの血が入っていると。『マイティ・ソー』のベースはスカンジナビア(北欧神話)なので「そういうことがあるんだな」「どこかで自分の先祖が導いてくれたのかな」と思って、だから本当に、僕にとってとてもすばらしいアメリカでのキャリアのスタートを与えてくれました。

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浅野さんは近年の日本映画でも、『首』『レイブンズ』など多様な作品に出演されています。写真家(深瀬昌久)の人生を描いた『レイブンズ』では主演として海外映画祭にも参加されていましたよね。こうした日本発の作品が世界へ届いていく流れを、俳優としてどのように感じていますか。

浅野:80年代から入り始めた僕が少なからず感じていたのは……実は日本の映画っていうのはもう、僕が生まれる前から既に海外に届いていました。黒澤明さんなんて一番わかりやすい例だと思うんですけど、既にその日本映画を心待ちにしてる世界中のファンの方がいたんですよね。だからそういう意味では僕は“途中”から参加させてもらって、さっきも言ったように先輩たちが作ってくれた道の上で、同じようにそういう華やかな場を与えてもらったと思っています。たぶん皆さん日本人が想像してる以上に、日本映画ファンが世界中にいるんだなっていうのを僕も実感していますね。

東京コミコンには、日本映画での長いキャリアと、海外作品での活動の両方を続けてこられた浅野さんのグローバルなキャリアに憧れる若い来場者も多いと思います。国内外での活動に挑戦し続けるうえで、浅野さんが大事だと感じてきた姿勢や考え方があれば教えてください。

浅野:これはもう“タイミング”ですね、すべてが。僕はもう何が何だかだけど、マネジメントをしてくれる僕の仲間たちはとても大変な思いをすると思うんです。やっぱりスケジュールのやり取りっていうのが一番大変なものになると思うんですよ……っていうのも、日本の常識でやってくると、海外の作品、特にアメリカとかになると、やっぱりかなり大きなスケジュールを要求してきますから、それに日本のキャリアも続けてやるってなると、やっぱりとても苦労すると思います。

浅野:でも僕がそんな中で思っているのは、「本当にタイミングだな」と。アメリカや海外でやるときにある程度リスクを背負わなきゃいけないっていうのは確保しなきゃいけないし、(国内外の)どっちに重きを置くのかはその人たちの判断だけど、すべてタイミングが解決すると思います。

タイミングがあったらもう逃さないと。

浅野:それもそうですし、やりたいと思うものは、やっぱりある程度リスクを背負ってでも待てばそのタイミングが必ずやってくると思うので、焦ることはないと思います。

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浅野さんは俳優だけでなく、音楽やアートの分野でも長く表現を続けてこられました。東京コミコンの会場にも、映画・ドラマだけでなく音楽やアートが好きなファンが集まっていますが、こうした活動は俳優としての表現にどのような影響を与えていると感じますか。

浅野:俳優って意外とやることがないんですよね。もちろん“演技の練習”っていうのもできるとは思うんですけど、一番重要なのは“普段の生活”だと思ってるんですよ。藪重でもそうですけど、結局は時代が違うといえども、人間関係を経験して自分の人生を経験してる人の役なので、今の自分の人生と照らし合わすことができます。

浅野:そういう意味では本当に、自分の人生を実感する以外ない。退屈なときも活かせますし、充実してるときも活かせると意味では、僕はそこで絵とか音楽がものすごく役に立ちました。要するに、バンドをやっていたり絵を描いていたり色々な経験をしている時間っていうのが、“ひとりの人間の時間”として色々な役に当てはめることができるので。なおかつアートっていうのは感覚的なものですから、何か言葉では言えない矛盾とか、そういうものを常に感じられるものなんで、結構これも役作りの上で役に立つんですよ。

最後に、東京コミコンの会場に来ているファン、そして日本や海外から浅野さんに会うためにここに集まった方々に向けて、動画でメッセージをお願いします!

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