映画『リンカ リンカ〜あの夏の先』(2025)を紹介&解説。
映画『リンカ リンカ〜あの夏の先』概要
映画『リンカ リンカ〜あの夏の先』は、チベット出身の若手映画監督カンドゥルンが、自身の子ども時代に過ごした夏の記憶をモチーフに監督・脚本を手がけたドラマ。映画監督を目指す若い女性サムキが、故郷ラサへ戻り、少女時代の友人ラモとの思い出を題材に映画を撮影する。しかし再会したラモが語る過去は、サムキが記憶していたものとは異なっていた。映画制作そのものを物語へ組み込んだメタ・シネマの構造を通じて、記憶とフィクション、そしてそこから見えてくる“真実”を描く。主演はツェリン・ヤンキ、共演にツェキィ・メトック、タンサン・ラモ、デチェン・バンゾムら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『リンカ リンカ〜あの夏の先』 |
|---|---|
| 原題 | 一个夜晚与三个夏天 |
| 英題 | Linka Linka |
| 製作年 | 2025年 |
| 日本公開日 | 2026年9月11日 |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | 中国 |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 100分 |
| 監督・脚本 | カンドゥルン |
|---|---|
| 製作 | ジャン・チェンチェン/リャン・イン |
| 製作総指揮 | ルー・シュー/ノルブ・ツェリン |
| 撮影 | リー・スーウェイ/タシ・ヌムジャ |
| 編集 | リウ・シンジュー |
| 作曲 | ワン・チュエン |
| 出演 | ツェリン・ヤンキ/ツェキィ・メトック/タンサン・ラモ/デチェン・バンゾム/ノルブ・ツェリン/トゥプテン・ジグメ/ソナム・ワンモ |
| 製作 | TIBETAN ANTELOPE FILMS CO., Ltd. |
| 配給 | ムヴィオラ(日本) |
あらすじ
映画監督を目指す若い女性サムキは、少女時代の友人ラモとの記憶を映画にするため、故郷チベットのラサへ戻る。中学進学を機に故郷を離れていたサムキは、久しぶりに父と再会しながら映画制作を進めていく。
そんななか、大人になったラモと偶然再会する。しかしラモが語る過去の出来事は、サムキが自分のなかで抱えていた記憶とは違っていた。サムキは映画を撮る行為を通して、幼い頃の夏、自分とラモの関係、そして記憶と現実の境界を見つめ直していく。
主な登場人物(キャスト)
サムキ/成年(ツェリン・ヤンキ):映画監督を目指す若い女性。少女時代の友人ラモとの記憶を映画にするため故郷ラサへ戻り、作品を撮影していく。
サムキ/小中学生(ツェキィ・メトック):少女時代のサムキ。現在のサムキが映画にしようとしている夏の記憶の中心となる。
ラモ/成年(タンサン・ラモ):サムキの少女時代の友人。大人になってサムキと再会するが、過去について彼女とは異なる記憶を持っている。
ラモ/小中学生(デチェン・バンゾム):少女時代のラモ。サムキの夏の記憶と、彼女が制作する映画の重要な存在となる。
作品の魅力解説
“記憶”と“映画”の食い違いを描くメタ・シネマ
本作では、主人公が過去を思い出すだけでなく、その記憶を実際に映画として再現しようとする。ところが、同じ時間を過ごしたラモが語る思い出はサムキの記憶と一致しない。映画というフィクションを作る行為そのものを物語へ組み込み、「自分が真実だと思っていた記憶は本当に真実なのか」という問いへつなげていく構造が特徴となっている。
ラサに生きる若者たちを“内側”から描く
監督のカンドゥルン自身がラサ出身で、幼少期から青春期にかけて、夏休みになると故郷へ帰っていた経験を持つ。本作もその記憶を出発点としており、チベットを外部から眺めるのではなく、そこに暮らす若者たちの友情や家族、変化していく都市の姿を当事者の視点から描くことを意図した作品となっている。
「リンカ」という言葉に重なる夏の記憶
タイトルの「リンカ」は、チベット語で夏のピクニックや庭園を意味する言葉。カンドゥルン監督にとって故郷の記憶は、毎年帰ってきた夏の断片によって形作られている。ひとつの過去を確定させるのではなく、時間を経て姿を変える記憶を、三つの夏を通して見つめていく作品となっている。
【KW】
【投稿時間】
2023/07/31/23:59
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