映画『ルノワール』公開記念舞台挨拶に主要キャストと早川千絵監督が登壇。
映画『ルノワール』の公開を記念し、6月21日(土)に都内で舞台挨拶が開催された。早川千絵監督をはじめ、主演の鈴木唯、石田ひかり、リリー・フランキー、河合優実が登壇。作品に込めた想いや撮影エピソードを語り、満席の会場を笑顔と拍手で包んだ。
“映画の神様が応援してくれた”-印象的な雨のシーンと撮影裏話
映画『ルノワール』舞台挨拶より、鈴木唯 © cula
舞台挨拶では、印象的な雨のシーンをめぐる裏話が明かされた。主人公フキを演じた鈴木は、早朝5時、ゲリラ豪雨の中で撮影した過酷な現場を振り返り、「多分人生でいちばん寒かった」と語った。ノースリーブの衣装で雨に打たれながらの演技だったが、「画面では震えていないように見えるはず」とプロ意識の高さを覗かせる。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、リリー・フランキー © cula
このシーンで共演していたリリー・フランキーは、「あれは本当に自然の雨だった。あのスケールの雨は普通の雨降らしじゃ無理。神様が応援してくれたんじゃないか」と、偶然の奇跡を称賛した。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、早川千絵監督 © cula
監督の早川も「あの日しか橋の撮影許可が取れず、雨の中で撮るしかなかった」と振り返る。「脚本には雨と書いていなかったが、結果としてとても印象深いシーンになった」と語り、撮影当時の高揚感を共有した。演出上も、娘に寄り添う父の姿が幻想的に映し出される場面となり、観客の心に残る場面へと仕上がった。
“子ども時代の記憶”をめぐる大人たちの語り
映画『ルノワール』舞台挨拶 © cula
本作で描かれるのは、11歳の少女・フキの視点を通して浮かび上がる、喪失との向き合い方や感情の揺れである。舞台挨拶では、MCからの問いかけに応じて、登壇者たちがそれぞれの“子ども時代”を回想した。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、河合優実 © cula
河合優実は、自身が幼いころ感じていた漠然とした不安を語る。「2階に行くのが怖くて…何かが後ろからついてくる気がして、毎回駆け下りていた」と振り返り、「それをしなくなったとき、ちょっと大人になったと思った」と懐かしそうに笑った。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、石田ひかり © cula
石田ひかりは「よその家の匂いにゾクゾクした」と語り、「ケーキやお皿など、うちにはないものが並んでいて、すごく刺激的だった」と記憶を辿る。視覚や嗅覚の鮮烈な体験は、今でも記憶に残り続けているようだ。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、リリー・フランキー © cula
リリー・フランキーは、自身の幼少期の記憶として「マネキン工場の火事を見たことが衝撃だった」と語る。「母からも恋人からも“幼稚”と言われ続けてきた」と自嘲しつつ、「いつか大人になったら車の免許を取って結婚する予定」とユーモアを交えて語る姿は、年齢を超えて作品と共鳴する人物像そのものだった。
本作についてのリリー・フランキーの「思春期より少し手前の、生煮えのような時期を描いている」とのコメントは、本作の繊細な描写を言い表す言葉であった。フキが友人を見つけて父の手をふと離し、少ししてまた握り返す場面を「一番好きなシーン」と挙げ、「自分も親に対してああいう感情を持っていた」と共感を寄せた。
鈴木唯からの感謝の手紙に会場感動-“夢でなくてよかった”
映画『ルノワール』舞台挨拶より、鈴木唯&リリー・フランキー © cula
イベント終盤には、鈴木唯からキャスト・スタッフへ向けた感謝の手紙が朗読された。撮影現場での日々を振り返りながら、「河合優実さんが年下の私にも本気で向き合ってくれた」「リリー・フランキーさんが取材で言葉に詰まったとき、冗談で助けてくれた」など、一人ひとりに心のこもった言葉が贈られた。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、鈴木唯 © cula
中でも印象的だったのは、監督である早川千絵に宛てた言葉だ。「“そのままの唯ちゃんで演技をしてほしい”と言ってくれて、とても安心して演じることができた」と感謝を伝え、「映画『ルノワール』は私の人生を変えようとしています」と語るその声に、会場も静かに聞き入った。
朗読の最後には、劇中のフキのセリフをなぞるように、「本当に夢でなくてよかったなと思った。終わり。」と結び、観客から温かな拍手が送られた。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、鈴木唯&リリー・フランキー © cula
続いてMCからは、夏休みの予定についての質問が飛んだ。鈴木は「万博とUSJに行く予定で、とても楽しみにしている」と目を輝かせながら語った。「ディズニーには行ったことがあるけれど、大きな建造物を見たのはスカイツリーくらいなので、万博が楽しみ」と話すと、すかさずリリー・フランキーが「俺は万博行ったよ!1970年の!“月の石”見るのに3時間並ばされた」と張り合い、会場を笑わせた。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、早川千絵監督&鈴木唯 © cula
その後は、キャストと監督から鈴木へのサプライズとして花束が贈られる場面も。受け取った鈴木は「逆サプライズで驚いた」と照れ笑いしながら、「黄色い花を見るとフキちゃんを思い出す」と語った。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、河合優実 © cula
河合は「唯ちゃんのおかげでこの映画に出てよかったと思っている」と感慨深いコメント。イベントの最後には早川が「この映画が誰かの記憶や感覚を呼び起こすきっかけになれば」と締めくくり、深い余韻を残した。
映画『ルノワール』舞台挨拶より、早川千絵監督 © cula
早川千絵監督は最後に、「この映画は、起承転結がはっきりしているわけではない。けれど、小さな出来事が連なっていく中で、言葉にできなかった感情や、子どものころの感覚を呼び起こしてくれるものがあると思う」と語った。まるで印象派の絵画のように揺れ動く“こころの風景”を描いた『ルノワール』。その余韻に、観客たちはしばし身を委ねていた。
映画『ルノワール』舞台挨拶 © cula
本作に込められたテーマや演出の魅力については、下記のレビュー記事でも詳しく紹介している。作品を深く味わいたい方は、あわせてぜひご覧いただきたい。
作品情報
タイトル:『ルノワール』
公開日:2025年6月20日(金)より全国公開中
監督・脚本:早川千絵
出演:鈴木唯、石田ひかり、リリー・フランキー、河合優実、中島歩 ほか
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