映画『アイズ・オン・ユー』(2024)を紹介&解説。
映画『アイズ・オン・ユー』概要
Netflix映画『アイズ・オン・ユー』は、アナ・ケンドリックが主演と監督を兼ね、長編監督デビューを果たした実話ベースのクライム・サスペンス。1978年のロサンゼルスを舞台に、人気テレビ番組「ザ・デートゲーム」に出演した駆け出しの女優シェリルと、連続殺人犯ロドニー・アルカラの接点を描く。華やかなテレビスタジオの軽さと、女性たちが日常的に感じる危険を並置し、実在の事件をスリラーとしてだけでなく、社会の見過ごしを問うドラマとして浮かび上がらせる。主演のケンドリックに加え、共演にダニエル・ゾヴァット、トニー・ヘイル、ニコレット・ロビンソンら。
作品情報
日本版タイトル:『アイズ・オン・ユー』
原題:Woman of the Hour
製作年:2023年
本国配信日:2024年10月18日(Netflix)
日本配信日:2024年10月18日(Netflix)
ジャンル:クライム/サスペンス/ドラマ
製作国:アメリカ
原作:無(実話に基づく)
上映時間:95分
監督:アナ・ケンドリック
脚本:イアン・マクドナルド
製作:ロイ・リー/ミリ・ユン/ジェイ・D・リフシッツ/ラファエル・マーギュレス
製作総指揮:アナ・ケンドリック/イアン・マクドナルド/スチュアート・フォード/アンドリュー・ディーン/スティーヴン・クロフォード
撮影:ザック・クーパースタイン
編集:アンドリュー・キャニー
作曲:ダン・ローマー/マイク・トゥチロ
出演:アナ・ケンドリック/ダニエル・ゾヴァット/トニー・ヘイル/ニコレット・ロビンソン/ピート・ホームズ/オータム・ベスト/キャスリン・ギャラガー/ケリー・ジェイクル
製作:AGCスタジオズ/ヴァーティゴ・エンターテインメント/ボルダーライト・ピクチャーズ
配給:Netflix
あらすじ
1970年代のロサンゼルス。俳優として成功を目指すシェリル・ブラッドショーは、オーディションに通らない日々の中で、エージェントから人気テレビ番組「ザ・デートゲーム」への出演を勧められる。気が進まないまま番組に出たシェリルは、3人の男性出演者に質問を投げかけ、その中から写真家を名乗るロドニー・アルカラを選ぶ。しかしロドニーは、女性たちに近づき、犯行を重ねてきた連続殺人犯だった。番組の軽妙なやり取りの裏で、シェリルは彼の言葉や態度に不穏な違和感を抱いていく。
主な登場人物(キャスト)
シェリル・ブラッドショー(アナ・ケンドリック):俳優としての成功を目指す女性。「ザ・デートゲーム」への出演を通じてロドニーと出会う。番組の求める“感じのいい女性”像に違和感を抱きながら、自分の直感で危険を察知していく。
ロドニー・アルカラ(ダニエル・ゾヴァット):写真家を名乗り、女性たちに近づく連続殺人犯。穏やかで魅力的に見える振る舞いの裏に、暴力的な本性を隠している。
エド(トニー・ヘイル):「ザ・デートゲーム」の司会者。番組の空気を仕切る立場にあり、当時のテレビ業界が女性出演者に求めていた役割や視線を象徴する存在として描かれる。
ローラ(ニコレット・ロビンソン):番組の観客席に現れる女性。ロドニーの過去とつながる人物。
エイミー(オータム・ベスト):ロドニーに近づかれる若い女性。
作品の魅力解説
本作の大きな魅力は、実話を題材にしながら、事件そのものをセンセーショナルに消費するのではなく、女性たちが置かれた不安や違和感に焦点を当てている点にある。連続殺人犯の異常性だけでなく、その危険を見過ごしてきた社会や、女性が日常的に受け流してきた圧力を静かに浮かび上がらせている。
また、「ザ・デートゲーム」の明るく軽妙なテレビ演出と、ロドニーがまとっている不穏さの対比も印象的である。カラフルで華やかなスタジオの空気が、観客には次第に息苦しさとして伝わっていく構成になっており、派手な恐怖描写に頼らず緊張感を持続させている。
アナ・ケンドリックは主演としてシェリルの戸惑いと警戒心を細やかに表現しながら、監督としても視線の置き方を明確にしている。犯罪者の視点に寄りすぎず、被害者や危険を察知する女性たちの感覚を中心に据えたことで、実話ベースのスリラーに社会的な奥行きを与えている作品である。
