映画『スノー・ロワイヤル』(2019)を紹介&解説。
映画『スノー・ロワイヤル』概要
映画『スノー・ロワイヤル』は、リーアム・ニーソン(『96時間』シリーズ)が、息子を殺した犯罪組織への復讐に乗り出す除雪作業員を演じたクライム・アクション。ノルウェー映画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』を、オリジナル版のハンス・ペテル・モランド監督が自らハリウッドでリメイクした。雪深い町を舞台に、父親の復讐が2つの犯罪組織と警察を巻き込む抗争へ発展していく様子を、激しい暴力と乾いたブラックユーモアを交えて描く。共演はローラ・ダーン、トム・ベイトマン、トム・ジャクソン、エミー・ロッサムら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『スノー・ロワイヤル』 |
|---|---|
| 原題 | Cold Pursuit |
| 製作年 | 2019年 |
| 本国公開日 | 2019年2月8日 |
| 日本公開日 | 2019年6月7日 |
| ジャンル | アクション/クライム/ブラックコメディ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原案 | 映画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(脚本:キム・フップス・オーカソン) |
| 上映時間 | 119分 |
| 監督 | ハンス・ペテル・モランド |
|---|---|
| 脚本 | フランク・ボールドウィン |
| 製作 | マイケル・シャンバーグ/アミート・シュクラ/スタイン・B・クワエ/フィン・イェンドルム |
| 製作総指揮 | ポール・シュワルツマン/マイケル・ドライヤー/ロン・ハルパーン/ディディエ・ルプファー/シャナ・エディ=グラウフ |
| 撮影 | フィリップ・オガールド |
| 編集 | ニコライ・モンベウ |
| 作曲 | ジョージ・フェントン |
| 出演 | リーアム・ニーソン/ローラ・ダーン/トム・ベイトマン/トム・ジャクソン/エミー・ロッサム/ドメニク・ランバルドッツィ/ジュリア・ジョーンズ/ジョン・ドーマン |
| 製作 | スタジオカナル/MASプロダクション/パラドックス・フィルム |
| 配給 | サミット・エンターテインメント/ライオンズゲート(アメリカ)/KADOKAWA(日本) |
あらすじ
雪深い田舎町キーホーで除雪作業員として働くネルズ・コックスマンは、模範市民賞を受賞するほど真面目で、妻グレイスと穏やかな生活を送っていた。ところがある日、1人息子のカイルが麻薬の過剰摂取によって死亡したと知らされる。
息子が麻薬に手を出すはずがないと考えたネルズは、独自に真相を追い、地元の麻薬王バイキングが率いる犯罪組織に行き着く。怒りに駆られたネルズは、組織の構成員を1人ずつ追い詰めていくが、バイキングは一連の襲撃を敵対組織の仕業だと誤解。ネルズの復讐は、2つの犯罪組織や警察を巻き込んだ予測不能の抗争へと発展していく。
主な登場人物(キャスト)
ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン):雪深い町キーホーで働く真面目な除雪作業員。模範市民賞を受賞した直後、1人息子のカイルを失う。息子の死が麻薬の過剰摂取に偽装された殺人だと知り、犯罪組織への復讐に乗り出す。
グレイス・コックスマン(ローラ・ダーン):ネルズの妻で、カイルの母親。息子の突然の死によって深い悲しみに沈み、復讐へとのめり込んでいく夫との間にも距離が生まれていく。
トレヴァー・“バイキング”・カルコート(トム・ベイトマン):デンバーを拠点とする麻薬組織のボス。洗練された生活を送る一方、冷酷かつ自己中心的な性格の持ち主。部下たちの失踪を敵対組織による攻撃だと考え、報復を始める。
ホワイトブル(トム・ジャクソン):バイキングの組織と縄張りを分け合ってきたユート族の犯罪組織のリーダー。バイキングの誤った報復によって大切な家族を失い、自らも復讐に動き出す。
キム・ダッシュ(エミー・ロッサム):キーホーの若い警察官。相棒のギップとともに、静かな町で相次ぐ失踪事件や犯罪組織をめぐる異変を捜査する。
作品の魅力解説
王道の復讐劇を覆すブラックユーモア
息子を奪われた父親が犯罪組織を追い詰めるという物語は、リーアム・ニーソン主演作らしい王道の復讐アクションに見える。しかし本作では、重苦しい場面に不条理な間や乾いた笑いが差し込まれ、単純な勧善懲悪には収まらない独特の空気が生まれている。登場人物が死亡するたびに名前と宗教的なシンボルを表示する演出も、増え続ける犠牲者を皮肉に数え上げる本作ならではの仕掛けだ。
オリジナル版の監督によるセルフリメイク
ハンス・ペテル・モランド監督は、自身が手がけたノルウェー映画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』を、舞台や登場人物の背景を変えて再映画化した。北欧映画らしい冷たく乾いた感触を残しながら、アメリカ西部の山岳地帯や犯罪組織同士の縄張り争いを物語に組み込み、オリジナル版とは異なる文化的背景を持つ作品に仕上げている。
勘違いが雪だるま式に広がる群像劇
物語の発端はネルズ個人の復讐だが、バイキングが襲撃犯を取り違えたことで、敵対する組織や警察、殺し屋、家族までが次々と事件に巻き込まれていく。誰も事態の全体像を把握していないまま報復だけが連鎖し、ささやかな復讐計画が大規模な抗争へ膨らんでいく構成が、本作に予測不能な面白さを与えている。
雪景色と暴力が生む鮮烈なコントラスト
一面の雪に覆われた山々や静かなリゾート地と、突然繰り広げられる容赦のない暴力との対比も見どころ。除雪車や大型作業機械をアクションに取り入れた場面には、主人公の職業と舞台設定を生かした豪快さがある。静寂、暴力、軽妙な音楽を組み合わせた演出によって、一般的な復讐映画とは異なるオフビートな世界観が築かれている。
