映画『プラクティカル・マジック』(1998)を紹介&解説。
映画『プラクティカル・マジック』概要
映画『プラクティカル・マジック』は、グリフィン・ダン監督がアリス・ホフマンの同名小説を映画化したファンタジー・ラブコメディ。魔女の家系に生まれた姉妹サリーとジリアンが、オーウェンズ家の女性が愛した男性には死が訪れるという一族の呪いと向き合っていく。主演はサンドラ・ブロックとニコール・キッドマン。共演にストッカード・チャニング、ダイアン・ウィースト、エイダン・クイン、ゴラン・ヴィシュニックら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『プラクティカル・マジック』 |
|---|---|
| 原題 | Practical Magic |
| 製作年 | 1998年 |
| 本国公開日 | 1998年10月16日 |
| 日本公開日 | 1999年5月15日 |
| ジャンル | ファンタジー/恋愛/コメディ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | アリス・ホフマン『Practical Magic』(小説) |
| 上映時間 | 104分 |
| 次作 | 『プラクティカル・マジック/魔女たちの秘密』(2026) |
| 監督 | グリフィン・ダン |
|---|---|
| 脚本 | ロビン・スウィコード/アキヴァ・ゴールズマン/アダム・ブルックス |
| 製作 | デニーズ・ディ・ノヴィ |
| 製作総指揮 | メアリー・マクラグレン/ブルース・バーマン |
| 撮影 | アンドリュー・ダン |
| 編集 | エリザベス・クリング |
| 作曲 | アラン・シルヴェストリ |
| 出演 | サンドラ・ブロック/ニコール・キッドマン/ストッカード・チャニング/ダイアン・ウィースト/ゴラン・ヴィシュニック/エイダン・クイン/エヴァン・レイチェル・ウッド |
| 製作 | Fortis Films/Di Novi Pictures/Village Roadshow Pictures/ワーナー・ブラザース |
| 配給 | ワーナー・ブラザース(米国/日本) |
あらすじ
魔女の血を引くオーウェンズ家の姉妹サリーとジリアンは、両親を亡くした後、叔母のフランシスとジェットに育てられる。しかしオーウェンズ家の女性には、恋に落ちた男性が若くして死んでしまうという呪いがかけられていた。大人になったサリーは平穏な家庭を築こうとする一方、奔放なジリアンは故郷を離れて自由に暮らしていた。やがてジリアンが危険な恋人ジミーとの関係から助けを求めたことで、姉妹は思いがけない事件に巻き込まれ、封じようとしてきた魔法にも向き合うことになる。
主な登場人物(キャスト)
サリー・オーウェンズ(サンドラ・ブロック):オーウェンズ家の魔女の血を引く女性。幼い頃から一族の呪いを恐れ、魔法から距離を置きながら普通の人生を送ろうとしている。ジリアンの姉。
ジリアン・オーウェンズ(ニコール・キッドマン):サリーの妹。姉とは対照的に自由奔放で、故郷を飛び出して恋愛を重ねながら暮らしている。恋人ジミーとの危険な関係が姉妹を大きな事件へ巻き込んでいく。
フランシス&ジェット・オーウェンズ(ストッカード・チャニング&ダイアン・ウィースト)、:サリーとジリアンを育てた叔母たち。魔法を生活の一部として受け入れ、姉妹にもオーウェンズ家の伝統を伝えながら見守っている。
ジミー・アンジェロフ(ゴラン・ヴィシュニック):ジリアンの恋人。暴力的で危険な性格を持ち、ジリアンを追い詰めていく存在。彼をめぐる事件が物語を大きく動かす。
ゲイリー・ハレット(エイダン・クイン):ジミーの失踪を追ってサリーたちのもとを訪れる捜査官。事件を調べるうちに、サリーと特別な関係を築いていく。
カイリー(エヴァン・レイチェル・ウッド):サリーの娘。母や妹アントニアと暮らしており、オーウェンズ家に受け継がれてきた魔女の血を持つ少女。
作品の魅力解説・レビュー
恋愛、魔法、コメディ、サスペンスが混ざった奇妙な味わい
『プラクティカル・マジック』は、特定のジャンルにきっちりと収まってくれる映画ではない。魔女の一族を描くファンタジーでありながら、恋愛映画としての顔を持ち、同時に姉妹の掛け合いを楽しむコメディでもある。さらに物語が進むにつれ、犯罪や死者までもが絡み合い、どこか薄暗い色合いを帯びていく。
強烈なメッセージを打ち出したり、深いテーマを掘り下げたりする作品ではなく、シンプルな筋立てのなかにさまざまな要素を惜しみなく放り込み、その奇妙さそのものを味わわせるタイプの一作だ。かなり独特なバランスで進行していくがゆえに、この一風変わった魔女コメディの手触りこそが、本作ならではの個性として際立っている。
サンドラ・ブロックとニコール・キッドマンの対照的な魅力
そして、この作品を大きく支えているのが、サンドラ・ブロックとニコール・キッドマンというふたりのスターの存在だ。
平凡な人生を求めようとするサリーを演じるサンドラ・ブロックには、真面目で真っ直ぐな人柄を無理なく感じさせる魅力がある。対する奔放なジリアンを演じるニコール・キッドマンは、妖艶でどこまでも自由だ。画面に姿を見せるだけで、キャラクターの危うさと華やかさを成立させてしまう。
性格も生き方も大きく異なる姉妹であるからこそ、二人が並んだときのコントラストはいっそう際立つ。物語そのもの以上に、若き日のサンドラ・ブロックとニコール・キッドマンのスター性を堪能する映画として、本作の魅力は大きい。
整った作品というより、妙に記憶に残る魔女映画
ストーリーは決して緻密ではなく、恋愛、家族、魔法、呪い、犯罪と、その方向を次々に変えていく。それゆえ、完成度の高いドラマや掘り下げられたテーマ性を求めると、物足りなさは否めない。
それでも、美しい家や海辺の街並み、魔女一家の少し風変わりな暮らし、サリーとジリアンの姉妹関係——こうした要素が合わさることで、ほかの映画ではなかなか味わえない独特の空気が生まれている。整然としていないからこそ妙に印象に残る、不思議な魅力を宿した一作だ。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
