映画『マイ・ルーム』(1996)を紹介&解説。
映画『マイ・ルーム』概要
映画『マイ・ルーム』は、劇作家スコット・マクファーソンの戯曲『Marvin’s Room』を映画化し、長年離れて暮らしてきた姉妹とその家族の再会を描くヒューマンドラマ。ブロードウェイで活躍してきたジェリー・ザックスが本作で映画監督デビューを果たした。
病床の父マーヴィンの介護を続けてきたベッシーが白血病と診断され、骨髄移植のドナーを探すため、約20年疎遠だった妹リーとその息子たちを呼び寄せる。出演はメリル・ストリープ、ダイアン・キートン、レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ヒューム・クローニンら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『マイ・ルーム』 |
|---|---|
| 原題 | Marvin’s Room |
| 製作年 | 1996年 |
| 本国公開日 | 1996年12月18日 |
| 日本公開日 | 1997年2月8日 |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | スコット・マクファーソン『Marvin’s Room』(戯曲) |
| 上映時間 | 99分 |
| 監督 | ジェリー・ザックス |
|---|---|
| 脚本 | スコット・マクファーソン |
| 製作 | ロバート・デ・ニーロ/ジェーン・ローゼンタール/スコット・ルーディン |
| 製作総指揮 | トッド・スコット・ブロディ/ロリ・スタインバーグ |
| 撮影 | ピョートル・ソボチンスキ |
| 編集 | ジム・クラーク |
| 作曲 | レイチェル・ポートマン |
| 出演 | メリル・ストリープ/ダイアン・キートン/レオナルド・ディカプリオ/ロバート・デ・ニーロ/ヒューム・クローニン/グウェン・ヴァードン/ハル・スカーディノ/ダン・ヘダヤ/マーゴ・マーティンデイル |
| 製作 | トライベッカ・プロダクションズ/スコット・ルーディン・プロダクションズ |
| 配給 | ミラマックス(米国)/松竹富士(日本) |
あらすじ
フロリダで寝たきりの父マーヴィンと叔母ルースの世話を続けてきたベッシー。家族の介護を引き受ける一方、妹リーとは長年ほとんど会わずに暮らしていた。
そんなベッシーが白血病と診断され、骨髄移植が必要になる。適合するドナーを探すため、オハイオで暮らすリーは息子ハンクとチャーリーを連れて久しぶりに姉のもとへ向かう。しかしリーとベッシーの間には長年積み重なったわだかまりがあり、ハンクもまた母との関係に深刻な問題を抱えていた。
病をきっかけに再び同じ場所へ集まった家族は、それぞれが抱えてきた孤独や怒りと向き合っていく。
主な登場人物(キャスト)
リー(メリル・ストリープ):ベッシーの妹。故郷を離れてオハイオで暮らし、ふたりの息子を育ててきた。姉とは長年疎遠だったが、ベッシーの病をきっかけに故郷へ戻る。
ベッシー(ダイアン・キートン):寝たきりの父マーヴィンと叔母ルースの世話を長年続けてきた女性。白血病と診断され、骨髄移植のドナーを探すため、疎遠になっていたリー一家と再会する。
ハンク(レオナルド・ディカプリオ):リーの長男。母との関係が悪化しており、自宅に火を放ったことで施設に入れられている。ベッシーとの交流を通して少しずつ変化していく。
ウォーリー医師(ロバート・デ・ニーロ):ベッシーを診察する医師。検査によって白血病を発見し、骨髄移植の可能性を説明する。
マーヴィン(ヒューム・クローニン):ベッシーとリーの父親。長年病床にあり、ベッシーの介護を受けながら暮らしている。
ルース(グウェン・ヴァードン):ベッシーたちの叔母。ベッシーとともにマーヴィンの家で生活している。
作品の魅力解説
メリル・ストリープとダイアン・キートンが演じる姉妹
『マイ・ルーム』最大の強みは、メリル・ストリープとダイアン・キートンという名優ふたりを姉妹役に据えたことにある。
家族を離れて自分の人生を歩んだリーと、父の介護を引き受けて故郷に残り続けたベッシー。同じ家庭で育ちながら正反対の人生を選んだふたりの間には、単純な善悪では整理できない感情が積み重なっている。
病気を理由に突然家族愛へ回帰するのではなく、互いの選択への不満、後悔、責任感を残したまま少しずつ距離を測り直していくところに、本作の家族劇としての説得力がある。
介護と病気を通して問われる「家族のために生きること」
ベッシーは長年、父と叔母の世話をする人生を送ってきた。一方のリーは家を離れ、自分の家庭を築いたものの、息子ハンクとの関係に苦しんでいる。
つまり本作では、家族のために自分を犠牲にすることと、自分自身の人生を生きることのどちらか一方を正解にはしていない。介護する側、介護から離れた側、親に反発する子どもまで、それぞれ異なる立場から家族という関係を描いている。
白血病と骨髄移植という切迫した状況は、離れていた家族を強制的に再会させる装置であると同時に、「血がつながっているだけで家族になれるのか」という問いを浮かび上がらせる。
若きレオナルド・ディカプリオが担うもうひとつの親子ドラマ
『ギルバート・グレイプ』『バスケットボール・ダイアリーズ』『ロミオ+ジュリエット』などを経た時期のレオナルド・ディカプリオが演じるのが、怒りを抱えた少年ハンクだ。
ハンクとリーの関係は、ベッシーとリーの姉妹関係と並ぶもうひとつの家族の亀裂として描かれる。反抗的で扱いにくい少年として登場しながら、ベッシーとの交流では傷つきやすさや愛情への飢えも見せていく。
本作はRotten Tomatoesで83%、Metascoreで67と批評的にも概ね好意的に受け止められており、特に豪華俳優陣の演技が作品を支える要素として評価されている。ダイアン・キートンは本作でアカデミー主演女優賞にもノミネートされた。
