映画『ハロウィン』(1978)を紹介&解説。
映画『ハロウィン』概要
映画『ハロウィン』は、ジョン・カーペンター監督が手がけたアメリカ製スラッシャーホラー。幼い頃に姉を殺害して精神病院へ収容されたマイケル・マイヤーズが15年後に脱走し、ハロウィンの夜の故郷ハドンフィールドへ戻ってくる。白いマスクをかぶった殺人鬼“ザ・シェイプ”=マイケルと、彼に狙われる高校生ローリー・ストロードの恐怖の一夜を描く。
低予算で製作されながら大きな成功を収め、その後のスラッシャー映画に大きな影響を与えた作品として知られる。2006年にはアメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿にも選出された。主演はジェイミー・リー・カーティス。共演にドナルド・プレザンス、ナンシー・ルーミス、P・J・ソールズら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ハロウィン』 |
|---|---|
| 原題 | Halloween |
| 製作年 | 1978年 |
| 本国公開日 | 1978年10月25日 |
| 日本公開日 | 1979年8月18日 |
| ジャンル | ホラー/サスペンス |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 91分 |
| 監督・作曲 | ジョン・カーペンター |
|---|---|
| 脚本 | ジョン・カーペンター/デブラ・ヒル |
| 製作 | デブラ・ヒル |
| 製作総指揮 | アーウィン・ヤブランス |
| 撮影 | ディーン・カンディ |
| 編集 | トミー・リー・ウォーレス/チャールズ・ボーンスタイン |
| 出演 | ドナルド・プレザンス/ジェイミー・リー・カーティス/ナンシー・ルーミス/P・J・ソールズ/チャールズ・サイファーズ/カイル・リチャーズ/ブライアン・アンドリュース/ニック・キャッスル/トニー・モランほか |
| 製作 | ファルコン・インターナショナル・プロダクションズ |
| 配給 | コンパス・インターナショナル・ピクチャーズ(米国)/ジョイパック(日本) |
あらすじ
1963年、イリノイ州ハドンフィールド。6歳のマイケル・マイヤーズはハロウィンの夜に姉を殺害し、精神病院へ収容される。それから15年後。マイケルは病院から脱走し、担当医サム・ルーミスの追跡を振り切って故郷ハドンフィールドへ戻る。
ハロウィンを迎えた町で高校生ローリー・ストロードは、不気味な男の姿を何度も目撃する。白いマスクをかぶったマイケルはローリーとその友人たちを密かに監視しながら、少しずつ彼女たちへ近づいていく。そして夜が訪れ、静かな住宅街でマイケルによる惨劇が始まる。
主な登場人物(キャスト)
ローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス):ハドンフィールドに暮らす真面目な高校生。ハロウィンの夜に子守をしていたところ、マイケル・マイヤーズの標的となる。
サム・ルーミス医師(ドナルド・プレザンス):長年マイケルを診察してきた精神科医。彼を単なる精神病患者ではなく、純粋な“悪”のような存在だと考え、脱走したマイケルを追ってハドンフィールドへ向かう。
マイケル・マイヤーズ/ザ・シェイプ(ニック・キャッスル/トニー・モラン):6歳の時に姉を殺害し、15年間精神病院へ収容されていた男。脱走後、白いマスクをかぶって故郷へ戻り、ローリーたちにつきまとう。
アニー・ブラケット(ナンシー・ルーミス):ローリーの友人。保安官リー・ブラケットの娘で、ハロウィンの夜にはローリーと同じく子守の仕事をしている。
リンダ・ヴァン・ダー・クロック(P・J・ソールズ):ローリーとアニーの友人。明るく奔放な性格の高校生。
作品の魅力解説・レビュー
スラッシャーホラーの歴史を変えた“ブギーマン”
現在ではホラー映画を代表する殺人鬼のひとりとなったマイケル・マイヤーズ。その原点が本作『ハロウィン』だ。
白い無表情のマスク、ほとんど言葉を発さない殺人鬼、郊外の住宅街、若者たちをひとりずつ狙っていく構成など、本作以降のスラッシャー映画で何度も反復されることになる要素が並ぶ。
後世への文化的・映画史的影響も大きく、2006年にはアメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿へ選出されている。
「そこにいたはずなのに消えている」という恐怖
今作の特徴は、マイケルを派手に暴れ回らせるのではなく、観客の視界の中へ静かに置くことで恐怖を生み出していること。
マイケルの一人称視点から獲物へ忍び寄る映像、遠くに立ってこちらを見ている姿、ローリーがもう一度確認するといつの間にか消えている演出など、“何かに見られている”感覚を積み重ねていく。
正体不明の存在が突然襲ってくること以上に、いつからそこにいたのか分からない不気味さが作品を支えている。
数音だけでマイケルの接近を知らせるテーマ曲
監督のジョン・カーペンター自身が作曲した音楽も本作を象徴する要素。特に有名なメインテーマは、シンプルなフレーズを執拗に反復することで緊張を作り出す。画面上で何も起きていなくても、この音楽が流れ始めるだけで「マイケルが近くにいるのではないか」と観客へ警戒させる仕組みになっている。
豪華なオーケストラではなく、簡素な電子音そのものを恐怖の装置として使っている点も、低予算映画ならではの工夫だ。
現代のホラーに慣れていると、怖さそのものはかなり薄い
一方、現在の感覚で観れば必ずしも強烈に怖い映画ではない。現代のホラー映画には激しいゴア描写、突然のジャンプスケア、複雑なストーリーなど刺激の強い作品が多い。それらに慣れた状態で観ると、『ハロウィン』は展開をかなり引っ張り、殺害描写も控えめ。物語自体も極めてシンプルだ。筆者個人的にも、現在観ると「もったいぶり過ぎ」「刺激が足りない」と感じる部分はある。
それでも、一人称視点、反復される不安なメロディー、姿を見せたかと思えば次の瞬間には消えているマイケルなど、後のホラー映画が発展させていく恐怖演出の原型を次々と確認できるのが本作の面白さ。純粋な恐怖度だけではなく、「現在のホラー映画がどこから来たのか」を味わう映画として観ると、その存在感の大きさがよく分かる1作だ。
ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
