映画『ゴッドファーザー PART II』(1974)を紹介&解説。
映画『ゴッドファーザー PART II』概要
映画『ゴッドファーザー PART II』は、フランシス・フォード・コッポラ監督が、前作『ゴッドファーザー』に続いてマリオ・プーゾと脚本を手がけた犯罪ドラマ。コルレオーネ・ファミリーの新たなドンとなったマイケルの孤独な権力闘争と、若き日のヴィトーがシチリアからニューヨークへ渡り、一家の礎を築いていく過去を交錯させながら描く。主演はアル・パチーノ、共演にロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、ジョン・カザール、タリア・シャイアら。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ゴッドファーザー PART II』 |
|---|---|
| 原題 | The Godfather: Part II |
| 製作年 | 1974年 |
| 本国公開日 | 1974年12月20日 |
| 日本公開日 | 1975年4月26日 |
| ジャンル | 犯罪/ギャング/ドラマ |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | マリオ・プーゾの小説 |
| 上映時間 | 202分 |
| 前作 | 『ゴッドファーザー』(1972) |
| 次作 | 『ゴッドファーザー PART III』(1990) |
| 監督・製作 | フランシス・フォード・コッポラ |
|---|---|
| 脚本 | フランシス・フォード・コッポラ/マリオ・プーゾ |
| 共同製作 | グレイ・フレデリクソン/フレッド・ルース |
| 撮影 | ゴードン・ウィリス |
| 美術 | ディーン・タヴォウラリス |
| 衣装 | セオドラ・ヴァン・ランクル |
| 編集 | ピーター・ツィンナー/バリー・マルキン/リチャード・マークス |
| 作曲 | ニーノ・ロータ/カーマイン・コッポラ |
| 出演 | アル・パチーノ/ロバート・デュヴァル/ダイアン・キートン/ロバート・デ・ニーロ/ジョン・カザール/タリア・シャイア/リー・ストラスバーグ/マイケル・V・ガッツォ |
| 製作 | パラマウント・ピクチャーズ/ザ・コッポラ・カンパニー |
| 配給 | パラマウント・ピクチャーズ |
あらすじ
1958年、ネバダ州レイクタホ。亡き父ヴィトーの後を継ぎ、コルレオーネ・ファミリーのドンとなったマイケルは、合法事業への移行を進めながら、カジノ利権や政界との関係、裏社会の駆け引きに直面していた。しかし、家族の祝宴の夜に命を狙われたことで、彼は身近な者の裏切りを疑い始める。
一方、物語は1901年のシチリアにもさかのぼる。幼いヴィトー・アンドリーニは、地元マフィアによって家族を奪われ、単身アメリカへ渡る。ニューヨークのリトル・イタリーで成長した彼は、貧しい移民社会の中で生き抜き、やがて仲間と家族を守るために裏社会へ足を踏み入れていく。
現在のマイケルの物語と、過去のヴィトーの物語が交互に描かれることで、父が築いた“家族”の理想と、息子が守ろうとする“組織”の冷酷さが対比されていく。
主な登場人物(キャスト)
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ):コルレオーネ・ファミリーの新たなドン。父ヴィトーから受け継いだ権力を守り、組織を合法化しようとするが、裏切りと孤独の中で次第に冷徹さを深めていく。
若き日のヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ):シチリアからアメリカへ渡った移民の青年。リトル・イタリーで家族を持ち、仲間との結びつきを強めながら、のちに巨大なファミリーを築く存在へと成長していく。
トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル):コルレオーネ家の顧問弁護士。血縁ではないものの、マイケルにとって重要な相談役であり、ファミリーの危機に冷静に対処しようとする。
ケイ・アダムス・コルレオーネ(ダイアン・キートン):マイケルの妻。夫の世界に深く巻き込まれながらも、家族を守るという名目で進む暴力と支配に耐えきれなくなっていく。
フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール):マイケルの兄。兄弟の中で軽んじられてきた劣等感を抱え、認められたい思いが思わぬ悲劇を招いていく。
コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア):マイケルの妹。前作で夫を失った後、奔放な生活を送っているが、家族の支配と保護の中で揺れ動く。
ハイマン・ロス(リー・ストラスバーグ):マイケルと利害を共有するユダヤ系ギャング。穏やかな外見の裏で巨大な権益を握り、コルレオーネ・ファミリーとの緊張関係を生んでいく。
フランク・ペンタンジェリ(マイケル・V・ガッツォ):コルレオーネ側の古参幹部。組織内の利害対立に巻き込まれ、マイケルとの関係が次第にこじれていく。
作品の魅力解説
『ゴッドファーザー PART II』の大きな魅力は、単なる続編ではなく、前作の“後日談”と“起源の物語”を同時に描いている点にある。マイケルの現在とヴィトーの過去を交互に見せる構成によって、同じコルレオーネ家の物語でありながら、父と息子がまったく異なる道を歩んでいることが浮かび上がる。
若き日のヴィトーの物語は、移民社会の貧しさ、家族への愛、共同体の中で得る信頼を軸に描かれる。一方、マイケルの物語は、権力を守るために家族との絆すら切り捨てていく冷たい悲劇として進んでいく。この対比が、本作を犯罪映画でありながら、家族と権力の崩壊を描く重厚なドラマにしている。
また、アル・パチーノの抑制された演技と、ロバート・デ・ニーロの若きヴィトー像も見どころ。言葉数の少ない表情や視線の芝居によって、人物の内面が静かに伝わってくる。さらに、ゴードン・ウィリスの陰影に満ちた撮影、ニーノ・ロータとカーマイン・コッポラの音楽が、物語全体に荘厳で哀しい余韻を与えている。
本作は第47回アカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞など6部門を受賞したことでも知られる。前作の名声に寄りかかるのではなく、父と息子、過去と現在、家族と権力を重ね合わせることで、シリーズ全体の深みを大きく広げた傑作といえる。
