映画『木々から遠く離れて』(2026)を紹介&解説。
映画『木々から遠く離れて』概要
映画『木々から遠く離れて』は、スペインの映画監督メリチェル・コレル・アパリシオ(『コン・エル・ビエント』『Dúo』)が監督・脚本を務め、消滅の危機に瀕した言語の音声記録を求めてペルーを旅する女性の姿を通し、記憶や喪失、亡命の歴史を描くロードムービー。祖父の遺志を継ぐために旅に出たサウンド・アーティストのアデラは、アンデスの風景と人々の声に触れるうち、自らの過去やアイデンティティと向き合っていく。
主演はアンヘリカ・カステリョ。共演にホセ・ルイス・ロペス・カマ、テレシタ・サンチェス、カタリナ・ラミレス・グアリャら。2026年のロカルノ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、第39回東京国際映画祭のウィメンズ・エンパワーメント部門にも選出された。
作品情報
| 日本版タイトル | 『木々から遠く離れて』 |
|---|---|
| 原題 | Lejos de los árboles |
| 英題 | Far from the Trees |
| 製作年 | 2026年 |
| 本国公開日 | 2026年12月11日(スペイン劇場公開予定) |
| 日本公開日 | 一般公開未定(2026年10月27日、11月2日に東京国際映画祭で上映) |
| ジャンル | ドラマ |
| 製作国 | スペイン/ペルー/イタリア |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 121分(東京国際映画祭上映版) |
| 監督・脚本 | メリチェル・コレル・アパリシオ |
|---|---|
| 製作 | マイカ・サンツ・L=イゲラス/イリス・マルティン=ペラルタ/カロリナ・デネグリ |
| 製作総指揮 | マイカ・サンツ・L=イゲラス |
| 撮影 | フリアン・エリサルデ |
| 編集 | アナ・プファフ/メリチェル・コレル・アパリシオ |
| 作曲 | アンヘリカ・カステリョ |
| 出演 | アンヘリカ・カステリョ/ホセ・ルイス・ロペス・カマ/テレシタ・サンチェス/カタリナ・ラミレス・グアリャ/アンヘル・サントス/アンナ・ムシャルト/ワルテル・ユリ |
| 製作 | Allegra Films/Animalita/Exit Media |
| 配給 | Raw Cinema(スペイン)/日本未定(26年10月) |
あらすじ
メキシコ出身のサウンド・アーティスト、アデラは、かつてカタルーニャからメキシコへ亡命した祖父の遺志を継ぎ、消滅の危機に瀕した言語の音声を記録するためペルーへと旅立つ。案内人兼通訳のルチョとともにジャングルからアンデス山脈へ向かい、各地で人々の言葉や歌、物語を録音していくアデラ。しかし、祖母の健康への不安や死への恐怖が募るにつれ、彼女の現実感覚は次第に揺らぎ始める。周囲の音や声が幼少期の記憶を呼び起こし、旅はやがて、自らのルーツと喪失の痛みに向き合う内面的な探求へと変わっていく。
主な登場人物(キャスト)
アデラ(アンヘリカ・カステリョ):メキシコ出身のサウンド・アーティスト。亡命者だった祖父の遺志を引き継ぎ、消滅の危機に瀕する言語の音声地図を制作するため、ペルーの各地を旅する。旅の途中で記憶と現実が交錯し始め、自らの過去と向き合うことになる。
ルチョ(ホセ・ルイス・ロペス・カマ):アデラの旅に同行する案内人兼通訳。ジャングルからアンデス山脈へと向かう彼女の調査活動を支える。
作品の魅力解説(公開前時点)
失われゆく言語を記録する、音を中心としたロードムービー
本作の大きな特徴は、旅の目的が土地を訪ね歩くことだけではなく、消滅の危機にある言語や人々の声を録音することにある点だ。アデラは各地の言葉や歌、語りに耳を傾け、音の記録を積み重ねていく。音声を通して文化や歴史に触れるという設定が、一般的なロードムービーとは異なる感覚的な映画体験を生み出すことが期待される。
現実と夢が交錯する、記憶と亡命の物語
主人公の祖父がメキシコへ亡命したカタルーニャの共和主義者であることも、本作の重要な背景。アデラの旅は、歴史的な亡命の記憶と個人的な家族の記憶を結びつけていく。祖母の死への不安や、故郷から遠く離れた場所での体験を通して、現実の風景と夢のような世界が入り交じる構成となっている。
ロカルノ国際映画祭で批評家賞を受賞した映像表現
監督のメリチェル・コレル・アパリシオは、2018年の長編監督作『Con el viento』でベルリン国際映画祭に参加したスペインの映画作家。本作は2026年のロカルノ国際映画祭コンペティション部門で世界初上映され、国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞した。実際にサウンド・アーティストとして活動する主演のアンヘリカ・カステリョが音楽も担当していることも、音と記憶を主題とする本作ならではの特色だ。
