『エミリー、パリへ行く』シーズン1とはどんなドラマ?あらすじ・キャスト・魅力・ネタバレ解説まとめ

ドラマシリーズ『エミリー、パリへ行く』シーズン1(2020)を紹介&解説。


ドラマ『エミリー、パリへ行く』シーズン1概要

Netflixドラマシリーズ『エミリー、パリへ行く』シーズン1は、『セックス・アンド・ザ・シティ』のダーレン・スターが手がけたNetflixのロマンティック・コメディ。シカゴで働くマーケティング担当者エミリー・クーパーが、思いがけずパリの高級マーケティング会社に赴任し、言葉や文化の違いに戸惑いながら仕事、友情、恋に向き合っていく。主演はリリー・コリンズ、共演にフィリピーヌ・ルロワ=ボリューアシュリー・パークリュカ・ブラヴォーサミュエル・アーノルドブリュノ・グエリカミーユ・ラザら。

作品情報

日本版タイトル:『エミリー、パリへ行く』シーズン1
原題:Emily in Paris Season 1
製作年:2020年
世界配信開始日:2020年10月2日
ジャンル:恋愛/ドラマ/コメディ
製作国:アメリカ
原作:無
話数:全10話
各話時間:24〜35分
次シーズン:『エミリー、パリへ行く』シーズン2

企画・制作:ダーレン・スター
監督:アンドリュー・フレミング/ゾーイ・カサヴェテス/ピーター・ラウアー
脚本:ダーレン・スター/エミリー・ゴールドウィン/アリソン・ブラウン/グラント・スロス/ジョー・マーフィー/サラ・チョイほか
製作総指揮:ダーレン・スター/アンドリュー・フレミング/トニー・ヘルナンデス/リリー・バーンズほか
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード/クリス・アラン・リー
衣装:パトリシア・フィールド/マリリン・フィトゥシ
出演:リリー・コリンズ/フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー/アシュリー・パーク/リュカ・ブラヴォー/サミュエル・アーノルド/ブリュノ・グエリ/カミーユ・ラザ/ウィリアム・アバディ/ケイト・ウォルシュ
製作:ダーレン・スター・プロダクションズ/ジャックス・メディア/MTVスタジオ
配信:Netflix

あらすじ

シカゴのマーケティング会社で働くエミリー・クーパーは、上司マデリンの代役として、パリの高級マーケティング会社サヴォワールへ赴任することになる。フランス語を話せないまま新天地に飛び込んだエミリーは、アメリカ式の明るさとSNS戦略を武器に仕事へ向き合うが、同僚たちからは“田舎者”扱いされ、文化の違いに何度もつまずく。

それでもエミリーは、パリで出会った親友ミンディーや、階下に住むシェフのガブリエル、仕事で関わる顧客たちとの関係を通じて、少しずつ自分の居場所を見つけていく。仕事の成功、友情、恋のときめき、そして思いがけない失敗が重なり合い、エミリーのパリ生活は華やかで予測不能な日々へと変わっていく。

主な登場人物(キャスト)

エミリー・クーパー(リリー・コリンズ):シカゴ出身のマーケティング担当者。上司の代わりにパリへ赴任し、サヴォワールでアメリカ的な視点とSNS戦略を提案する。前向きで行動力がある一方、フランス語や現地文化への理解不足から周囲と衝突することも多い。

シルヴィー・グラトー(フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー):サヴォワールでエミリーの上司となるフランス人マーケター。洗練された感性と厳しい仕事観を持ち、突然やってきたエミリーのアメリカ式のやり方に強い警戒心を抱く。

ミンディー・チェン(アシュリー・パーク):パリで暮らす中国系の女性で、エミリーが現地で出会う親友。明るく親しみやすい性格で、異国で孤立しがちなエミリーにとって心を許せる存在となる。歌手になる夢を抱えている。

ガブリエル(リュカ・ブラヴォー):エミリーのアパルトマンの階下に住むシェフ。親切で魅力的な存在としてエミリーと距離を縮めていくが、カミーユという恋人がいることから、関係は複雑さを増していく。

ジュリアン(サミュエル・アーノルド):サヴォワールで働くエミリーの同僚。鋭い物言いと洗練された感覚を持ち、当初はエミリーの存在に戸惑うが、仕事を通して少しずつ関係を築いていく。

リュック(ブリュノ・グエリ):サヴォワールの同僚。ユーモアのある人物で、エミリーに対して比較的早い段階から親しみを見せる。フランス文化や職場の空気をエミリーに伝える役割も担う。

カミーユ(カミーユ・ラザ):エミリーがパリで出会う女性。洗練された雰囲気と親しみやすさを持ち、エミリーと友情を育むが、ガブリエルとの関係によって物語に微妙な緊張をもたらす。

アントワーヌ・ランベール(ウィリアム・アバディ):香水ブランド、メゾン・ラヴォーのオーナー。サヴォワールの重要な顧客であり、シルヴィーとも長い関係を持つ。エミリーの仕事と人間関係に大きく関わっていく。

マデリン・ウィーラー(ケイト・ウォルシュ):シカゴでのエミリーの上司。本来は自身がパリへ赴任する予定だったが、妊娠が判明したことで、エミリーにその機会が回ってくる。

作品の魅力解説

『エミリー、パリへ行く』シーズン1の魅力は、パリを舞台にした華やかな映像と、仕事・恋・友情をテンポよく描く軽やかな物語にある。エッフェル塔、カフェ、アパルトマン、ファッションイベントなど、観光地としてのパリのイメージを存分に活かしながら、エミリーの視点を通じて“憧れの街で働くこと”の楽しさと難しさを描いている。

また、マーケティングやSNSを物語の中心に置いている点も特徴である。エミリーはインスタグラムを通じてパリでの生活を発信し、その投稿が仕事のチャンスや人間関係に影響を与えていく。現代的なキャリア観と、異文化の中で自分をどう見せるかというテーマが、ラブコメの軽やかさの中に組み込まれている。

一方で、本作はフランス文化をめぐるステレオタイプや、エミリーの無邪気すぎる振る舞いに対して賛否を呼んだ作品でもある。その“ツッコミどころ”も含めて、シーズン1はポップでファッショナブルな現実逃避として楽しめるだけでなく、異文化コミュニケーションや働き方の違いを考える入口にもなる。衣装やロケーション、登場人物たちの恋愛模様が重なり、気軽に観られるドラマでありながら、強い印象を残すシーズンとなっている。

ストーリー解説(ネタバレ)

エピソード1「@パリのエミリー」

シカゴで働くエミリーに、突然パリ赴任のチャンスが訪れる

シカゴのマーケティング会社ギルバート・グループで働くエミリー・クーパーは、仕事への意欲が高く、上司マデリンからも信頼されている若手社員として登場する。マデリンは、フランス・パリの高級マーケティング会社サヴォワールに赴任する予定だったが、妊娠が判明したことで計画が変更される。

そこで会社は、マデリンの代わりにエミリーをパリへ送ることを決定する。エミリーはフランス語を話せないが、アメリカ式のマーケティングやSNS戦略を現地に持ち込み、フランス側の会社に新しい視点を与える役割を期待される。恋人のダグはシカゴに残ることになり、ふたりは遠距離恋愛を続ける形で別々の生活を始める。

パリに到着したエミリーは、理想と現実のギャップに直面する

パリに到着したエミリーは、美しい街並みやアパルトマンに胸を躍らせる。しかし、生活はすぐに小さな混乱の連続となる。アパルトマンでは階数の数え方の違いに戸惑い、自分の部屋と間違えて階下の部屋へ入ろうとしてしまう。そこで出会うのが、同じ建物に住むシェフのガブリエルである。

エミリーはパリでの生活をSNSに投稿し始め、インスタグラムのアカウント名も「エミリー・クーパー」から「エミリー・イン・パリ」へ変更する。これにより、彼女のパリ生活そのものが、仕事と私生活の両方で重要な意味を持つようになる。

サヴォワール初出勤で、エミリーは歓迎されない空気を感じる

エミリーはサヴォワールに初出勤するが、現地の同僚たちは彼女を温かく迎えるわけではない。上司となるシルヴィー、同僚のジュリアン、リュック、会社の代表ポールらは、エミリーがフランス語を話せないことや、アメリカ式の明るく前向きな仕事ぶりに戸惑いを見せる。

サヴォワールのスタッフたちは、エミリーが実力で招かれたというより、会社買収の条件として送り込まれてきた存在だと見ている。そのため、エミリーは早々に“外部から来た厄介者”のような立場に置かれる。

エミリーのアメリカ式マーケティングは、フランス式の価値観と衝突する

エミリーは、フランスの高級ブランドにSNSを活用したマーケティングを提案しようとする。しかし、サヴォワールのスタッフたちは、誰にでも開かれた発信よりも、ブランドの神秘性や排他性を重視している。エミリーの「分かりやすく、広く届ける」発想は、シルヴィーたちにとってはあまりに直接的で、洗練を欠いたものに映る。

エミリーは会議を進めようとするが、英語中心で話すことや、文化的な前提を理解していない態度が反発を招く。彼女は同僚たちから“ラ・プルック”と呼ばれるようになる。これは、田舎者や垢抜けない人を意味する言葉で、エミリーが職場でからかわれていることを示している。

リュックとの会話で、仕事観の違いが浮き彫りになる

職場で孤立するエミリーに対し、リュックは比較的やわらかい態度で接する。彼はエミリーに、アメリカ人は仕事に人生を捧げすぎるが、フランス人は生きるために働くのだと語る。エミリーは仕事や達成感が自分を幸せにすると考えているが、リュックはその価値観に疑問を投げかける。

この会話によって、物語の中心テーマである“アメリカ式の仕事観”と“フランス式の人生観”の対比がはっきり示される。

エミリーはミンディーと出会い、パリで初めて心を開ける友人を得る

エミリーはパリの公園で、上海出身のミンディー・チェンと出会う。ミンディーはパリでナニーとして働いており、エミリーと同じく外国人としてパリで暮らす立場にある。ミンディーは明るく率直で、エミリーにとって初めて気軽に話せる友人となる。

職場で孤独を感じていたエミリーにとって、ミンディーの存在は大きい。彼女は、パリにおけるエミリーの精神的な支えのひとりとして登場する。

恋人ダグとの遠距離関係にも不穏な空気が漂い始める

シカゴに残った恋人ダグとは、ビデオ通話などで関係を続けようとする。しかし、時差や距離の問題もあり、ふたりの関係には少しずつぎこちなさが生まれていく。パリで新しい世界に飛び込んだエミリーと、シカゴに残り従来の生活を望むダグの間には、価値観のズレが見え始める。

ラストでは、エミリーの失敗がアパルトマン全体を巻き込む

エピソード終盤、エミリーは部屋で電化製品を使おうとして、アダプターの問題から建物の電気をショートさせてしまう。これにより、アパルトマン全体を巻き込む騒ぎとなる。パリ生活の華やかさだけでなく、生活面での失敗や文化の違いが、コメディとして描かれる締めくくりとなっている。

エピソード2「男性名詞と女性名詞」

エミリーはフランス語を学びながら、パリ生活に適応しようとする

第2話では、エミリーがパリでの生活に少しずつ慣れようとする様子が描かれる。彼女はジョギング中にフランス語の教材を聞き、基本的な表現を覚えようとする。しかし、実際の会話ではまだ不自由が多く、生活や仕事の中で何度も言葉の壁にぶつかる。

アパルトマンでは、再び部屋を間違えてガブリエルの部屋へ行きかける。ガブリエルとの距離は少しずつ縮まっていくが、この時点ではまだ“親切な隣人”としての関係が中心である。

エミリーは職場で“ラ・プルック”と呼ばれ続ける

サヴォワールでは、エミリーに対する同僚たちの態度は依然として冷たい。ジュリアンは彼女を“ラ・プルック”と呼び、エミリーは翻訳アプリを使って意味を理解しようとする。彼女は悪口への返答として、アプリの翻訳を使って強い言葉を返してしまう。

このやり取りにより、エミリーは完全に拒絶されているわけではないものの、職場でからかわれる存在であることが強調される。同時に、彼女の無邪気さや負けん気も描かれる。

シルヴィーはエミリーに、高級ブランドの“閉じた世界”を教える

エミリーは、フランスの高級ブランドをもっと多くの人に知ってもらうべきだと考えている。しかしシルヴィーは、誰にでも開かれていることが必ずしも価値になるわけではないと説明する。高級ブランドにはミステリアスさや排他性が必要であり、エミリーの発想はあまりに“分かりやすく開かれすぎている”と見なされる。

この対立は、第1話に続き、アメリカ式の透明性や拡散力と、フランス式の美意識やブランド戦略の違いを示している。

エミリーは香水ブランドのパーティーに参加する

シルヴィーは、香水ブランド“ドゥ・ロール”のパーティーにエミリーを連れていく。そこでエミリーは、香水ブランドのオーナーであるアントワーヌ・ランベールと出会う。アントワーヌは“フランスで最高の鼻”と紹介されるが、エミリーは当初、それが調香師としての才能を指す表現だと理解しきれず、少しズレた反応をしてしまう。

それでもエミリーは、マーケターとして香水の魅力を語り、アントワーヌの関心を引く。彼女の率直な言葉と積極性は、シルヴィーには場違いに映る一方で、アントワーヌには新鮮に感じられる。

アントワーヌの誘惑と、シルヴィーとの関係が示される

アントワーヌは既婚者でありながら、エミリーに対してかなり親密で挑発的な態度を取る。彼はフランス語を学ぶならフランス人の恋人を作るのがよいと示唆し、香水をめぐる会話にも性的なニュアンスをにじませる。

その後、エミリーは、アントワーヌがシルヴィーと不倫関係にあることを知る。しかもシルヴィーは、アントワーヌの妻カトリーヌとも親しい関係にある。この情報により、エミリーはフランス式の恋愛観や結婚観の複雑さに戸惑うことになる。

エミリーは更年期女性向け商品の担当に回される

パーティーでアントワーヌと仕事の話をしたエミリーは、シルヴィーを怒らせてしまう。シルヴィーは、パーティーは会議ではないと注意し、エミリーに華やかな香水ブランドではなく、更年期女性向けの潤滑剤“ヴァガ・ジュンヌ”のマーケティングを担当させる。

この商品は、エミリーにとって扱いづらいテーマでありながら、彼女の製薬系マーケティング経験には合っているとも言える。シルヴィーの采配には罰のような意味もあるが、同時にエミリーの専門性を試す仕事にもなっている。

ミンディーとの会話で、フランス式の恋愛観を知る

エミリーは、アントワーヌとシルヴィーの関係についてミンディーに相談する。ミンディーは、長く結婚していれば考え方も変わると語り、フランス人はロマンチストである一方、現実主義者でもあると説明する。

この場面では、エミリーのアメリカ的な倫理観と、ミンディーが語るパリの恋愛観が対比される。エミリーは、不倫を単純に理解できないものとして受け止めているが、周囲の人物たちはそれをより曖昧で現実的なものとして扱っている。

ガブリエルがシェフであることが分かる

エミリーとミンディーは、近所の人気レストランで食事をする。そこでエミリーは、ステーキの焼き加減をめぐって店側とやり取りするが、厨房にいたシェフがガブリエルだと分かる。これにより、ガブリエルがただの隣人ではなく、料理人としてパリで働いている人物であることが明らかになる。

ガブリエルは、エミリーに肉をよく焼きすぎない状態で食べてみるよう促す。エミリーは半信半疑ながら口にし、意外にもおいしいと感じる。この場面は、エミリーがフランスの文化や味覚に少しずつ触れていく象徴的な展開でもある。

ダグとの関係は決定的に揺らぎ始める

シカゴにいる恋人ダグは、パリへエミリーを訪ねる予定だった。しかし彼は、実際にパリへ行っても自分が何をすればいいのか分からないと考え、訪問を取りやめる。エミリーは、パリは愛やロマンスに満ちた街なのに、なぜ来ようとしないのかと強く反発する。

この会話により、ふたりの関係は大きく揺らぐ。エミリーがパリで新しい人生に踏み出している一方で、ダグはシカゴでの従来の生活を重視しており、ふたりの未来は不安定になっていく。

“膣は男性名詞”という投稿が大きな反響を呼ぶ

エミリーは“ヴァガ・ジュンヌ”の仕事を進める中で、フランス語では“膣”を意味する単語が男性名詞であることに驚く。彼女はその違和感をSNSに投稿し、女性の身体を指す言葉が男性名詞であることへの疑問を発信する。

この投稿は大きな反響を呼び、ブリジット・マクロンにリツイートされたことが示される。その結果、エミリーは仕事上でも注目を集め、サヴォワールの中で少しだけ存在感を高める。第2話は、エミリーのSNS感覚が仕事につながる最初の成功例として締めくくられる。

エピソード3「セクシーか、性差別的か」

エミリーはダグとの破局後、独身としてパリにいる自分を意識し始める

第3話の冒頭では、エミリーがジョギング中にシカゴのマデリンと通話する。そこで、エミリーはダグと別れたことを伝える。マデリンは、パリで独身になったエミリーの状況をうらやましがるが、エミリー自身はまだ恋愛に浮かれているわけではなく、仕事や生活の問題に追われている。

この時点で、エミリーは“恋人をシカゴに残してパリで頑張る女性”から、“パリで新しい人生と恋愛の可能性に向き合う女性”へと立場が変わり始める。

アパルトマンの水回りトラブルで、ガブリエルとの距離がまた近づく

エミリーの部屋ではシャワーの水が出なくなる。管理人に助けを求めても思うように対応してもらえず、彼女は困った末にガブリエルに助けを求める。ガブリエルは親切に対応し、エミリーは彼の存在に再び救われる。

この水回りのトラブルはコメディとして描かれるが、同時に、エミリーが困ったときにガブリエルを頼る関係ができつつあることを示している。ふたりの間には、友人以上の空気が少しずつ漂い始める。

エミリーは職場環境を改善しようとして、さらに反感を買う

サヴォワールでエミリーは、職場の雰囲気をより前向きで健全なものにしようと考える。彼女は同僚たちに向けて、職場のポジティブな空気づくりや、オフィス恋愛の禁止、悪口を避けることなどを含む提案をする。

しかし、フランス人の同僚たちにとって、エミリーの提案はあまりにアメリカ的で、押しつけがましいものに映る。特にシルヴィーは、エミリーがフランスの職場文化を理解しないままルールを持ち込もうとしていることに不快感を示す。

香水広告の撮影現場で、“セクシーか、性差別か”という対立が生まれる

エミリーは、アントワーヌの香水ブランドの広告撮影に参加する。撮影では、裸の女性モデルが橋の上を歩き、男性たちが彼女を見つめるという映像が撮られている。エミリーはこの演出に強い違和感を抱き、女性を男性の視線の対象にしているのではないかと問題提起する。

一方、アントワーヌは、この広告は女性の美しさや自由、魅力を称えるものであり、女性をおとしめるものではないと主張する。シルヴィーや周囲のスタッフも、エミリーの受け止め方に必ずしも同調しない。ここで、エミリーのアメリカ的なジェンダー感覚と、フランス的な官能性の捉え方が衝突する。

完成した広告は、女性が鳩へと変わる幻想的な演出になる

広告映像では、裸の女性が男性たちの視線を集めながら橋を歩き、最後には鳩へと変わって飛び立つ演出が用いられる。鳩は愛や平和、自由を象徴するものとして扱われている。アントワーヌ側はこれを、女性の自由や官能の表現として位置づけている。

しかしエミリーは、その表現が見る人によって“セクシー”にも“性差別的”にも受け取られる可能性があると考える。彼女はこの問題をSNSで問いかける方向へ発想を切り替える。

エミリーはSNS投票で世論を可視化しようとする

エミリーは、広告が“セクシー”なのか“性差別的”なのかをSNS上で問いかけるキャンペーンを提案する。これは、炎上リスクを逆手に取り、ブランドへの注目を高めるマーケティング施策でもある。

シルヴィーたちは当初、エミリーのやり方を快く思わないが、結果的にこの投稿は話題になる。エミリーは、批判や議論も含めてブランドの可視性を高めるという、SNS時代のマーケティングを実践してみせる。

シルヴィーはエミリーに、友人にはならないと告げる

仕事で意見をぶつけたあと、エミリーはシルヴィーとの距離を縮めようとする。しかしシルヴィーは、エミリーがフランス語を学ばないままパリに来ていることや、フランス文化を理解しないまま自分の価値観を持ち込んでいることに苛立っている。

シルヴィーはエミリーに、いずれアメリカに戻る人間なのだから、仕事をすることはあっても友人にはならないという趣旨の言葉を投げかける。この場面は、エミリーが職場でまだ本当の意味では受け入れられていないことを示している。

ミンディーのパーティーで、エミリーはまた孤独を感じる

ミンディーは、エミリーのためにパーティーを開く。エミリーは新しい人々と出会うが、フランス語の会話についていけず、周囲との距離を感じる。さらに、ファビアンという男性といい雰囲気になるものの、彼の露骨で失礼な言葉によって気持ちが冷める。

パリでの恋愛に期待が生まれそうになる一方で、エミリーは異文化の中で自分がまだ浮いていることを痛感する。パーティーは華やかだが、彼女の孤独感を完全に埋めるものにはならない。

ガブリエルは、エミリーの不安を受け止める存在になる

パーティーのあと、エミリーはガブリエルのレストランを訪ね、自分はパリを好きになろうとしているが、パリは自分を好きではないのかもしれないとこぼす。彼女はこれまで、人に好かれようと努力してきたことも口にする。

ガブリエルは、誰にでも好かれようとすることは不幸な目標だと指摘しつつ、自分はエミリーのことを好ましく思っていると伝える。ここでガブリエルは、エミリーにとって単なる隣人やシェフではなく、彼女の弱さを受け止める相手として描かれる。

ラストでは、アントワーヌからの贈り物が新たな火種になる

エピソード終盤、エミリーはサヴォワールのオフィスで、アントワーヌから届いたラ・ペルラのランジェリーを受け取る。これは明らかに個人的で誘惑的な贈り物であり、仕事上の顧客であるアントワーヌとの関係に危うさを生む。

しかもアントワーヌはシルヴィーと不倫関係にある人物であるため、この贈り物はエミリー、アントワーヌ、シルヴィーの関係に緊張をもたらす。第3話は、エミリーが仕事で一定の手応えを得る一方で、恋愛や職場の人間関係がさらに複雑になっていくことを示して幕を閉じる。

エピソード4「ただのキス」

花屋で困るエミリーが、カミーユと出会う

第4話は、エミリーが花屋でうまく注文できずに困る場面から始まる。フランス語が十分に話せないエミリーは、思うように花を選べず、店員とのやり取りにも苦戦する。そこへ通りかかったフランス人女性カミーユが助けに入り、エミリーは無事に花を購入することができる。

カミーユは洗練された雰囲気を持ちながらも気さくで、パリで孤立しがちなエミリーに対して自然に親切に接する。ふたりはすぐに打ち解け、カミーユは自分が関わるギャラリーのオープニングにエミリーを誘う。そこには、シカゴのホテル経営者ランディ・ジマーも来る予定だと分かり、エミリーは仕事のチャンスを感じる。

別れ際、カミーユはフランス式のあいさつとしてエミリーにキスをする。エミリーは唇に触れたことに驚くが、カミーユはそれを特別なこととは受け止めていない。この小さな文化の違いが、エミリーの戸惑いと、カミーユの自由な魅力を同時に印象づける。

ガブリエルはエミリーを助け、ふたりの距離がまた近づく

アパルトマンに戻ったエミリーは、届いた荷物を部屋まで運ぶのに苦労する。管理人に助けを求めても断られ、ひとりで重い箱を運ぼうとするが、そこへガブリエルが現れる。ガブリエルはエミリーを手伝い、荷物を部屋まで運んでくれる。

その中には、アントワーヌから届いたラ・ペルラのランジェリーの箱も含まれていた。ガブリエルはそれを目にし、エミリーは気まずさを覚える。さらに、荷物の中で楽しみにしていたピーナッツバターが台無しになっていたこともあり、エミリーは落ち込む。ガブリエルはそんな彼女を自分の部屋に招き、オムレツを作ってもてなす。

この場面では、ガブリエルがエミリーにとって“困ったときに頼れる隣人”以上の存在になりつつあることが描かれる。ふたりの間にはすでに恋愛の気配があるが、エミリーはまだその危うさを十分には理解していない。

アントワーヌとシルヴィーの関係が仕事にも影を落とす

サヴォワールでは、アントワーヌとシルヴィーが言い争っている。香水ブランド、メゾン・ラヴォーをめぐる仕事上の対立のように見えるが、ふたりの間には単なるビジネス以上の感情がある。アントワーヌはサヴォワールとの関係を見直すような態度を見せ、シルヴィーは追い詰められる。

そこへエミリーが入り、シカゴのホテル経営者ランディ・ジマーと会う予定があることを利用して、メゾン・ラヴォーの香水をホテルのシグネチャーフレグランスにするという案を出す。エミリーは機転を利かせて、それがシルヴィーのアイデアであるかのように話し、アントワーヌの関心を引く。

結果的に場は収まるが、シルヴィーはエミリーに感謝するどころか、助けられたことに不快感を示す。シルヴィーにとってエミリーは、職場の秩序と自分のプライドをかき乱す存在であり、ふたりの距離はまだ縮まらない。

リュックとジュリアンが、エミリーに職場の“危険な関係”を教える

リュックとジュリアンは、エミリーを初めてランチに誘う。しかしそれは親しみからというより、シルヴィーとアントワーヌについて情報を共有し、エミリーに忠告するためである。

ふたりは、アントワーヌとシルヴィーの関係がただの仕事相手ではないこと、そしてラ・ペルラのランジェリーはアントワーヌがよく贈るものだと示唆する。エミリーはその贈り物をガブリエルからだと嘘をついていたが、同僚たちはそれを信じていない。

この会話によって、エミリーはサヴォワールの人間関係が表向き以上に複雑であることを知る。仕事、恋愛、顧客関係が切り離されずに絡み合うパリの世界に、エミリーはますます巻き込まれていく。

ギャラリーの夜、エミリーはランディへの提案に成功する

エミリーはミンディーを連れて、カミーユに誘われたギャラリーのオープニングへ行く。そこでエミリーはランディ・ジマーに近づき、彼のホテルとメゾン・ラヴォーの香水を結びつける企画を売り込む。ランディは最初から簡単に乗るわけではないが、エミリーの熱意と準備に関心を示す。

エミリーは、ホテルに独自の香りを持たせることで、宿泊体験そのものを記憶に残るものにできると考える。単なる香水の販売ではなく、ブランド体験を空間全体に広げる提案である。ランディは翌日、サヴォワールで正式に話を聞くことになる。

この時点で、エミリーは偶然の出会いを仕事に変える力を発揮している。一方で、そのチャンスはカミーユとの出会いから生まれており、のちの三角関係の伏線にもなっている。

予約ミスから、ガブリエルの店で重要な会食が開かれる

ランディとの商談は前向きに進むが、彼は翌日パリを発つ予定であり、決断を先延ばしにする時間がない。エミリーはその夜の食事の場で話を続けることを提案する。シルヴィーはエミリーに、名店ル・グラン・ヴェフールの予約を取るよう命じる。

エミリーは予約が取れたと思い込むが、ヨーロッパ式の日付表記を取り違え、実際には別の日を予約していたことが判明する。大事な会食の場を失いかけたエミリーは、急きょガブリエルに助けを求める。ガブリエルは自分のレストランで受け入れ、ランディ、アントワーヌ、シルヴィーたちはそこで食事をすることになる。

結果的に、ガブリエルの料理は一同に好評で、メゾン・ラヴォーとランディのホテルを結びつける契約も前進する。エミリーのミスは、ガブリエルの才能を見せる機会にもなり、商談成功へとつながる。

エミリーはガブリエルにキスし、直後に衝撃の事実を知る

会食の成功後、シルヴィーはエミリーの働きを認めるような態度を見せる。エミリーはその高揚感のまま、レストランへ戻り、ガブリエルに情熱的なキスをする。第3話から続いていたふたりの惹かれ合いが、ここで明確な行動として表れる。

しかし店を出たエミリーは、アントワーヌとシルヴィーが木の陰でキスしているところを目撃する。さらにその直後、カミーユが現れる。エミリーがガブリエルの料理を褒めると、カミーユはそのシェフが自分の恋人だと明かす。

ガブリエルが現れ、カミーユは彼にキスをする。エミリーは、自分がキスした相手がカミーユの恋人だったことを知り、動揺する。第4話は、仕事では成果を出したエミリーが、私生活では知らないうちに親しくなった友人の恋人へ踏み込んでいたことを突きつけられて終わる。

エピソード5「偽りの友」

エミリーは、カミーユとガブリエルの関係に戸惑う

第5話では、エミリーがガブリエルとカミーユの関係を知った後の気まずさが描かれる。エミリーはミンディーに、ガブリエルがカミーユの恋人だったこと、そして自分がその前に彼へキスしてしまったことを打ち明ける。

ミンディーは、フランス人男性はよく人を誘惑するものだと軽く受け止め、エミリーにあまり気にしすぎないよう助言する。さらに、フランス語の“フォー・ザミ”という言葉を紹介する。これは、見た目は似ていても意味が違う“偽の友達”を指す言葉で、ミンディーはそれをエミリーとカミーユの関係にも重ねる。

つまり、エミリーはカミーユの友人でありながら、内心では彼女の恋人ガブリエルに惹かれている。ここから、エミリー、カミーユ、ガブリエルの関係は、表面的な友情と秘めた恋心が同時に存在する複雑な状態になっていく。

エミリーのSNSが、デュレとの接点を生む

エミリーのインスタグラムはフォロワーを増やし続け、彼女はインフルエンサーとして化粧品ブランド、デュレのランチイベントに招待される。エミリーは喜んで職場でその話をするが、ジュリアンはデュレの名前に反応し、サヴォワールではそのブランドについて話さない方がいいと忠告する。

デュレはかつてサヴォワールのクライアントだったが、現在は関係が切れている。エミリーは詳しい事情を聞こうとするが、シルヴィーは取り合わず、別のクライアントであるヘステンスの高級ベッドの案件に集中するよう命じる。

それでもエミリーは、デュレのイベントに参加する。インフルエンサーたちが集まる華やかなランチの場で、エミリーは自分らしい投稿を通じてブランド側の注目を集めようとする。

デュレの創業者オリヴィアは、エミリーをブランドアンバサダーに誘う

デュレのイベントで、エミリーは創業者オリヴィア・トンプソンに近づこうとするが、最初は思うように話せない。そこで彼女は、会場のフォトスポットを活かした投稿を行い、自分のSNS上で存在感を示す。

その投稿がきっかけとなり、オリヴィアはエミリーに関心を持つ。オリヴィアは、エミリーの発信力とブランド理解を評価し、彼女をデュレのブランドアンバサダーとして迎えたいと提案する。

しかしエミリーは、自分はサヴォワールで働いていると説明し、個人として契約するのではなく、デュレをサヴォワールのクライアントとして再び迎えたいと考える。オリヴィアはそれを断り、特にシルヴィーがいる限り難しいという態度を見せる。エミリーはここで、自分のSNS価値が仕事上の武器になる一方、サヴォワール内の過去の因縁に阻まれる現実にも直面する。

カミーユとガブリエルに誘われ、エミリーは気まずい夜を過ごす

帰宅途中、エミリーはガブリエルとカミーユに出くわす。ふたりはデートへ向かうところだったが、カミーユはエミリーも一緒に来るよう誘う。エミリーは断りきれず、結果的に恋人同士のデートに同席する形になる。

三人はゴッホの「星月夜」を題材にした没入型の展示を訪れ、表面上は楽しく過ごす。しかしエミリーにとっては、カミーユへの友情とガブリエルへの惹かれる気持ちが同時に存在する、非常に気まずい時間である。

ガブリエルとふたりきりになったエミリーは、前夜のキスは自分が彼に恋人がいると知らなかったから起きたことだと説明し、忘れるべきだと伝える。ガブリエルもそれに同意するが、のちに彼自身もキスに何かを感じていたことを示す。ふたりは“何もなかったこと”にしようとするが、感情は簡単には消えない。

ヘステンスのベッド案件で、エミリーの大衆的な発想が評価される

サヴォワールでは、高級ベッドブランド、ヘステンスのキャンペーンを検討する。シルヴィーや同僚たちは、洗練された演出やアート寄りのアイデアを考えるが、エミリーはもっとSNS向きで参加型の企画を提案する。

エミリーの案は、パリの写真映えする場所にベッドを設置し、一般の人々がそこで眠る、あるいは写真を撮ることで話題化するというものだった。高級ブランドの神秘性を守りたいサヴォワールの感覚とは異なるが、クライアントにとっては分かりやすく、拡散しやすい企画でもある。

この案件は、エミリーの強みと弱みを同時に示している。彼女の発想は時に“高級感が足りない”と見なされるが、SNS時代の宣伝としては強い効果を持っている。

シルヴィーはエミリーのSNS活動に怒り、アカウント削除を命じる

エミリーがデュレのイベントに参加し、個人として投稿していたことを知ったシルヴィーは激怒する。サヴォワールの社員が、かつてのクライアントであり現在は競合的な関係にあるブランドのために無料で宣伝しているように見えるからである。

シルヴィーは、エミリーの投稿がサヴォワールの評判を傷つけると考え、彼女にインスタグラムアカウントの削除を命じる。エミリーにとって「エミリー・イン・パリ」は、パリ生活の記録であると同時に、仕事の成果を生む重要な武器でもある。その削除命令は、彼女のアイデンティティを奪われるような出来事となる。

落ち込んだエミリーはミンディーと夜の街へ出かけ、アカウントを消す前の最後の投稿を楽しむように写真やストーリーを上げる。その中で投稿した場所が、のちにヘステンス案件の突破口となる。

ヘステンスはエミリーの投稿を評価し、アカウントは復活する

翌日、状況は一転する。ヘステンス側が、エミリーが最後に投稿した場所に注目し、そこをベッド設置イベントの会場にしたいと希望する。シルヴィーはエミリーにアカウントを復活させるよう命じる。

エミリーはアカウントを完全削除していたわけではなく、一時停止にしていたため、すぐに復活させることができる。シルヴィーは、エミリーのインフルエンサーとしての力を認めざるを得なくなるが、今後はサヴォワールのクライアントに関係する場合に限るという条件をつける。

これにより、エミリーのSNSは単なる趣味ではなく、サヴォワールにとっても利用価値のある仕事道具として位置づけられる。

カミーユとの友情が深まり、ガブリエルは投稿に反応する

ヘステンスのベッドが街中に設置されると、エミリーはその上で写真を撮られる。そこへカミーユがやって来る。カミーユは、最近エミリーから連絡がなかったことを気にしており、ガブリエルが何かしたのではないかと心配していたと話す。

エミリーは、ゴッホの展示から着想を得た仕事の企画だと説明する。カミーユはエミリーとの友情を大切に思っており、エミリー、カミーユ、ガブリエルの三人で仲良くしたいと望んでいる。エミリーにとっては、その優しさがさらに罪悪感を強めることになる。

ふたりはベッドの上で写真を撮り、エミリーは「#getinbedwithus」という趣旨の投稿をする。ガブリエルはその投稿に反応し、“いいね”をする。第5話は、友情と恋心がさらに複雑に絡み合い、エミリーのSNSが仕事と恋愛の両方に影響を及ぼしていくことを示して終わる。

エピソード6「平凡な女」

エミリーは、ガブリエルとカミーユの親密さを意識させられる

第6話の冒頭、エミリーは階下から聞こえるガブリエルとカミーユの親密な声で目を覚ます。ガブリエルへの気持ちを完全に消せていないエミリーにとって、ふたりが恋人同士である現実を突きつけられる場面である。

朝食の場で、エミリーはミンディーにそのことを話す。ミンディーは自身の家族の話も明かす。彼女の父親は、ミンディーに中国へ戻るよう求めており、家や車を与えることまで提案しているが、ミンディーは親が決めた人生に戻る気はない。

さらにミンディーは、かつて中国のオーディション番組「チャイニーズ・ポップスター」で大失敗し、その映像がミームのように広まった過去を語る。彼女が歌手の夢から距離を置いている理由が、ここで初めて具体的に示される。

サヴォワールは、伝説的デザイナーのピエール・カドー獲得を狙う

サヴォワールでは、伝説的なクチュリエであるピエール・カドーとの面会が予定されている。ピエールは非常に気難しい人物で、シルヴィーにとっても長年の重要な目標だった。ジュリアンはエミリーに、できるだけ目立たないようにと忠告する。

エミリーは、黒い服装で来るよう指示されるが、彼女らしい装いは完全な黒ではなく、サヴォワールの洗練された空気からは少し浮いている。さらに問題になるのが、バッグにつけたエッフェル塔のチャームである。

ピエールはそのチャームを見て強い拒否反応を示し、エミリーを「リングarde」と呼ぶ。これは“垢抜けない”“ダサい”“ベーシック”といった意味合いを持つ言葉で、ジュリアンはそれを英語で“ベーシック・ビッチ”に近い意味として説明する。エミリーは、ピエールとの大事な面会を台無しにしてしまう。

エミリーは“ラグジュアリーブランド隔離”の状態に置かれる

ピエールとの失敗後、エミリーはサヴォワール内でさらに立場を悪くする。シルヴィーは、ピエール獲得が自分にとって長年の悲願だったこともあり、エミリーへの怒りを隠さない。

翌日、エミリーは高級時計ブランド、フルティエの会議から意図的に外される。彼女は自分が“ラグジュアリーブランド隔離”のような扱いを受けていることを知る。つまり、高級ブランド案件に関わる資格がないと見なされてしまったのである。

これまでエミリーはSNSを武器に何度も仕事で成果を出してきたが、ピエールのような伝統的なラグジュアリーの世界では、その発想や装いがまったく通用しない。第6話では、エミリーが“現代的な拡散力”だけでは超えられない壁にぶつかる。

カフェで出会った教授トマと、エミリーは一夜を共にする

落ち込んだエミリーはカフェでワインを飲み、そこでトマというフランス人男性と出会う。トマは記号学を教える教授で、知的で落ち着いた雰囲気を持つ人物として登場する。彼はエミリーに対し、「リングarde」と呼ぶこと自体が時代遅れだというような考えを語り、エミリーを慰める。

ふたりは会話を通じて意気投合し、エミリーはトマを自分の部屋へ招く。ふたりはそのまま一夜を共にする。エミリーにとっては、ガブリエルへの複雑な気持ちや職場での失敗から少し離れ、自分を肯定してくれる相手と過ごす時間でもある。

翌朝、トマはエミリーの部屋に残っており、ふたりはまた会う約束をする。そこへカミーユが現れ、前夜の様子を聞いていたことをほのめかす。カミーユはエミリーの恋愛を好意的に受け止めるが、その無邪気な親しさは、ガブリエルをめぐるエミリーの罪悪感をさらに複雑にする。

ミンディーは再び歌い、自分の夢に向き合い始める

エミリーは、歌手の夢を諦めかけているミンディーに、もう一度歌ってみるよう背中を押す。公園でのランチ中、エミリーはミンディーに歌うよう促す。最初はためらうミンディーだが、やがて「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を歌い始める。

ミンディーの歌声は周囲の人々の注目を集め、通行人たちは足を止めて彼女の歌を聴く。拍手が起こり、ミンディーは自分の歌がまだ人の心を動かせることを実感する。

この場面は、ミンディーが単なるエミリーの相談相手ではなく、自分自身の挫折と再生を抱えた人物であることを示す。エミリーとミンディーは、それぞれ違う形で“パリで自分の居場所を探す女性”として描かれる。

トマ、エミリー、ガブリエル、カミーユのダブルデートは気まずい空気になる

エミリーとトマは、ガブリエルとカミーユに誘われてダブルデートをする。表向きは和やかな食事の場だが、ガブリエルはトマに対してすぐに違和感を覚える。トマは知的で洗練された人物のように見える一方で、会話の中に相手を見下すような態度をにじませる。

特に、ガブリエルの出身地であるノルマンディーを軽く扱うような発言によって、ガブリエルとの間に緊張が生まれる。ガブリエルはトマをスノッブな人物だと見抜き、エミリーに彼は君にふさわしくないと伝える。

エミリーは最初、ガブリエルの指摘を嫉妬として受け止める余地もある。しかし実際には、ガブリエルの言葉はトマの本質を見抜いたものでもあった。

エミリーはバレエでピエールに再接近しようとする

ピエールとの失敗を取り戻したいエミリーは、彼がパリ・オペラ座の「白鳥の湖」の衣装を手がけていることを知る。そこで彼女は、バレエ公演に足を運び、ピエールに直接謝罪して再びチャンスを得ようと考える。

シルヴィーにその案を持ちかけるが、彼女は取り合わない。エミリーは自分で行動することを決め、トマを伴ってバレエへ向かう。しかし、トマは「白鳥の湖」を観光客向けの作品だと見下し、エミリーの計画にも協力的ではない。

さらにトマは、エミリーを“単純だが美しい”というような失礼な言い方で扱う。ここでエミリーは、トマが自分を尊重しているのではなく、知的優位に立って見下していることを理解する。彼女はトマを見限り、ひとりでピエールに向き合うことを選ぶ。

エミリーは“ベーシック”であることを逆手に取り、ピエールを説得する

エミリーはピエールのプライベートボックスへ入り、自分の失敗を謝罪する。そして、自分が“リングarde”であることを否定するのではなく、それを受け入れたうえで、なぜ多くの一般の女性たちがピエールのようなデザイナーに憧れるのかを語る。

エミリーは、自分のバッグチャームがドラマ『ゴシップガール』への憧れに由来していること、そして高級ブランドを実際には簡単に買えない若い女性たちも、ファッションへの憧れを持っていることを説明する。彼女は、いわゆる“ベーシック”な人々こそが、デザイナーの世界を崇拝し、その価値を広めているのだと訴える。

この言葉は、ピエールの心を動かす。特に『ゴシップガール』への言及が彼の興味を引き、エミリーは思いがけず会話の糸口をつかむ。彼女は自分の弱点を隠すのではなく、視点の違いとして提示することで、再びチャンスを引き寄せる。

ピエールは“ゴシップガール”同席を条件に、サヴォワールとの再会議を望む

翌日、シルヴィーはピエール側から連絡を受ける。ピエールはサヴォワールとの面会を望んでおり、その場には“ゴシップガール”も同席してほしいと伝えてくる。これは、エミリーが完全に失敗を挽回したことを示している。

シルヴィーはエミリーを厄介者と見なしてきたが、この結果によって、エミリーの大衆的な感覚が時に高級ブランドの扉を開くことも認めざるを得なくなる。第6話は、エミリーが“洗練されていない”と批判された自分らしさを逆手に取り、仕事上の武器へ変えるエピソードである。

同時に、ガブリエルへの未練、カミーユとの友情、トマとの一時的な関係、ミンディーの再起という複数の流れが進み、物語は恋愛面でも仕事面でも次の段階へ入っていく。

エピソード7「フランス流の結末」

シルヴィーの不在をきっかけに、エミリーが大きな仕事を任される

第7話は、エミリーが出勤途中にシルヴィーと偶然会う場面から始まる。シルヴィーは休暇の準備をしており、詳しい行き先を明かそうとはしないが、のちにアントワーヌとサン・バルテルミー島へ行く予定であることが分かる。

エミリーは、シルヴィーの不在中に仕事を手伝いたいと申し出る。最初は相手にしないシルヴィーだったが、フルティエのフラッグシップ・パーティーに出席する米国人女優ブルックリン・クラークの世話係を任せることにする。エミリーにとっては、サヴォワール内で信頼を得るチャンスでもあるが、同時に大きなリスクを伴う任務でもある。

ジュリアンとリュックは、ブルックリンが出演する米国風ロマンティック・コメディを話題にしながら、アメリカ映画は結末が楽観的すぎると語る。彼らは“フレンチ・エンディング”とは、より苦く、皮肉で、必ずしも幸せに終わらないものだと説明する。この会話は、第7話全体の展開を象徴する伏線になっている。

ブルックリン・クラークは、エミリーの想像以上に扱いづらいスターだった

エミリーはブルックリンの滞在先ホテルを訪ね、フルティエのパーティーに向けた予定を確認しようとする。ブルックリンは明るく愛想のあるスターというより、気まぐれで自由奔放な人物として登場する。エミリーが仕事の説明を進めようとしても、ブルックリンは自分の都合を優先し、会話はなかなか噛み合わない。

さらにブルックリンは、パーティーに着ていく服がないと訴える。そこでエミリーは、前話で接点を持ったピエール・カドーの名前を出し、彼のドレスを手配できるかもしれないと提案する。ブルックリンはそれに食いつき、エミリーに連絡先を渡す。

この時点でエミリーは、フルティエのイベント、ブルックリンの世話、ピエール・カドーとの関係という複数の要素を同時に扱うことになる。ひとつでも失敗すれば大きな問題になる状況だが、彼女はむしろこの混乱をチャンスとして捉えようとする。

ガブリエルはレストランを買う機会を得るが、資金面で悩む

その夜、エミリーはミンディーとカミーユとともに、ガブリエルの働くレストランで食事をする。そこへガブリエルも加わり、彼の将来に関する重要な話が出る。レストランのオーナーが店を売ることに同意し、ガブリエルには自分の店を持つチャンスが訪れていた。

しかし、ガブリエルには買い取るための資金が足りない。カミーユは、自分の家族が彼を支援したがっていると話すが、ガブリエルはそれを素直には受け入れられない。恋人の家族から資金援助を受けることは、彼にとってプライドや自立の問題に関わる。

この場面で、ガブリエルとカミーユの間に小さな亀裂が見え始める。カミーユは善意で支えようとしているが、ガブリエルはそれを重荷に感じている。エミリーはその様子を見ながら、ふたりの関係に微妙な緊張があることを感じ取る。

エミリーはブルックリンの衣装手配を通じて、マチュー・カドーと出会う

エミリーはブルックリンのためにピエール・カドーのブティックを訪れる。そこで出会うのが、ピエールの甥であり、ビジネス面を担当するマチュー・カドーである。マチューは最初、エミリーをブルックリン本人と勘違いするが、やがて彼女がサヴォワールの社員だと知る。

マチューは、ピエールとサヴォワールの関係について慎重な姿勢を見せる。ピエールは気難しいデザイナーであり、サヴォワールとの契約も簡単に決まるものではない。それでもエミリーは、ブルックリンにピエールのドレスを着せることで、フルティエのパーティーとピエールのブランドを同時に話題化できると考える。

マチューはエミリーの発想に一定の関心を示し、ピエール・カドーのSNS展開について、サヴォワールに1か月の試用期間を与えることにする。エミリーは、ブルックリンの衣装手配だけでなく、ピエール側との新たな仕事の可能性も引き寄せる。

フルティエのパーティーで、ブルックリンが高額な時計を身につける

フルティエのパーティー当日、ブルックリンはピエール・カドーのドレスを着て現れる。シルヴィーも、ブルックリンがピエールのドレスをまとっていることには関心を示す。エミリーは、米国人スター、フランスの高級時計ブランド、ピエール・カドーのドレスをひとつの場で結びつけることに成功したように見える。

しかし、問題はここから始まる。ブルックリンは、イベント用に貸し出された非常に高額なフルティエの時計を身につけることになる。エミリーは、その時計を守るための保険関連の書類にサインするが、フランス語の契約内容を十分に理解できていない。

つまり、エミリーは時計の管理責任を負う立場になる。ブルックリンが自由奔放な人物であることを考えると、この時点でエミリーの任務はきわめて危ういものになっている。

アントワーヌの妻カトリーヌが現れ、シルヴィーの休暇計画が崩れる

パーティーにはアントワーヌも現れるが、彼は妻のカトリーヌを伴っていた。シルヴィーにとって、これは大きな動揺をもたらす出来事である。アントワーヌはシルヴィーとサン・バルテルミー島へ行く予定だったが、カトリーヌは偶然その旅行の予約情報を知り、それを夫からのサプライズ旅行だと思い込んでいた。

カトリーヌは悪意なく、アントワーヌとの旅行を楽しみにしている様子を見せる。アントワーヌは取り繕おうとするが、シルヴィーは平静を装いながらも傷ついている。エミリーはその空気を察するが、シルヴィーは同情されることを拒む。

これまで余裕と洗練を保っていたシルヴィーが、アントワーヌとの関係においては脆さを見せる。エミリーは、シルヴィーが単なる厳しい上司ではなく、複雑な恋愛に傷つくひとりの女性であることを目の当たりにする。

ブルックリンが会場を抜け出し、エミリーの任務は一気に混乱する

パーティーの途中、ブルックリンはガブリエルに強い関心を示す。エミリーは、ブルックリンの自由奔放な行動とガブリエルへの接近に気を取られながらも、時計を守らなければならない立場にある。

ところが、ブルックリンはイベント会場を抜け出し、車でどこかへ向かってしまう。エミリーは、彼女が高額な時計を身につけたまま姿を消したことに気づき、慌てて後を追う。ガブリエルはフランス語で運転手とやり取りし、ブルックリンが向かった先を突き止める。

エミリーとガブリエルは、ブルックリンを追ってクラブへ向かう。仕事上は大問題だが、夜のパリをふたりで駆け回る展開は、同時にエミリーとガブリエルの距離を再び近づける。

クラブの夜、エミリーとガブリエルは再びキスをする

クラブに到着したエミリーとガブリエルは、ブルックリンを探しながらも、その場の雰囲気に巻き込まれていく。音楽と酒、夜の高揚感の中で、ふたりは再び惹かれ合い、キスを交わす。

しかしエミリーは、ガブリエルがカミーユの恋人であることを理解している。キスは一瞬の感情に流されたものではあるが、エミリーにとっては友人を裏切る行為でもある。彼女はすぐに理性を取り戻し、これ以上進んではいけないと自分に言い聞かせる。

一方で、ガブリエルもまたエミリーに惹かれていることが明確になっていく。ふたりは互いに感情を抑えようとするが、そのたびに状況がふたりを近づけてしまう。

ブルックリンはホテルの部屋に戻っており、シルヴィーが事態を収拾する

エミリーはブルックリンを見失い、高額な時計を回収できないまま焦りを募らせる。ブルックリンのホテルへ向かうが、フロントはエミリーを部屋に通そうとしない。エミリーはなんとか部屋へ入ろうとするが、事態は進展しない。

そこへシルヴィーが現れる。アントワーヌとの一件で傷ついていたはずのシルヴィーだが、仕事の危機に直面すると即座に行動する。彼女はホテル側に強く迫り、ブルックリンの部屋へ入ることを可能にする。

部屋の中では、ブルックリンが男性と過ごしている。時計は無事に回収され、最悪の事態は避けられる。エミリーは大きな失敗をしかけたが、シルヴィーの判断力によって危機は収束する。

ピエール・カドーのドレス写真が拡散され、失敗は思わぬ宣伝効果を生む

ブルックリンの部屋では、ピエール・カドーのドレスが床に置かれた状態になっている。その写真が話題となり、結果的にピエールのドレスはSNS上で注目を集める。

エミリーの仕事は完全に成功したとは言い切れない。ブルックリンを管理できず、時計を紛失しかけたことは明らかな失態である。しかし一方で、ピエール・カドーのドレスは話題になり、ブランドの露出という意味では成果も生まれる。

第7話は、エミリーの仕事ぶりが“危なっかしいが結果を出す”という形で描かれる回でもある。彼女は計画通りに物事を進めるのは苦手だが、偶然とトラブルをマーケティング上の成果へ転換する力を持っている。

シルヴィーとの会話が、エミリーにガブリエルとの関係を考え直させる

騒動のあと、エミリーはシルヴィーとエレベーターで言葉を交わす。エミリーは、アントワーヌとの関係においてシルヴィーが本当に幸せなのかを尋ねる。シルヴィーは、アントワーヌのすべてを求めているわけではなく、自分自身も誰かにすべてを捧げたいわけではないという考えをにじませる。

この考え方は、エミリーにとって簡単に受け入れられるものではない。彼女は恋愛において、自分だけの相手、自分に完全に向き合ってくれる相手を求めている。シルヴィーの恋愛観を聞いたことで、エミリーは自分とガブリエルの関係にも同じ問題があると気づく。

ガブリエルにはカミーユがいる。エミリーは、自分が彼の一部だけを受け取る関係にはなれないと考えるようになる。

エミリーはガブリエルに“全部でなければいらない”と告げる

エピソード終盤、エミリーはガブリエルに対して、ふたりの曖昧な関係を続けることはできないと伝える。彼女は、自分はクレープを分け合うような関係ではなく、全部がほしいのだという比喩で気持ちを表す。

これは、ガブリエルへの好意を否定する言葉ではない。むしろ、エミリーが彼に惹かれているからこそ、中途半端な関係ではいられないという意思表示である。ガブリエルもその言葉を受け止めるが、カミーユとの関係がある以上、すぐに状況を変えることはできない。

第7話は、仕事面ではエミリーが大混乱を切り抜け、恋愛面ではガブリエルとの関係に一線を引こうとする回である。タイトルの「French Ending」が示すように、華やかな夜は完全なハッピーエンドでは終わらず、苦さと余韻を残す。

エピソード8「家族の事情」

カミーユからの呼び出しに、エミリーはガブリエルとのキスがばれたのではないかと怯える

第8話は、エミリーがカミーユとガブリエルを避けようとする場面から始まる。エミリーは、ガブリエルとのキスを誰にも打ち明けられないまま、カミーユへの罪悪感を抱えている。

そんな中、カミーユから「大事な話がある」と連絡が入る。エミリーは、ついにガブリエルとのことがばれたのではないかと不安になる。ミンディーにもそのことを話し、カミーユが怒っているのではないかと考える。

しかし実際には、カミーユはキスのことを知らない。彼女が話したかったのは、家族が営むシャンパン会社をサヴォワールに担当してもらえないかという仕事の相談だった。エミリーは安堵のあまり、詳しい確認をしないまま前向きに引き受けてしまう。

エミリーは、カミーユ家のシャンパン事業をサヴォワールに持ち込む

エミリーは、カミーユの家族が営むシャンパン事業をサヴォワールの新規クライアント候補として紹介しようとする。しかし、シルヴィー、ジュリアン、リュックはすぐには乗り気にならない。

カミーユの家のシャンパン会社は、サヴォワールが通常扱うような大規模なラグジュアリーブランドではない。エミリーはまだ売上規模やブランドの課題、過去の代理店との関係も十分に調べていない。サヴォワールの同僚たちは、エミリーがまた勢いだけで話を進めていると受け止める。

それでもエミリーは、週末にカミーユの実家であるシャンパーニュ地方のシャトーを訪れ、実際に家族と話してくることになる。仕事のチャンスであると同時に、カミーユとガブリエルの関係に挟まれる気まずい旅行でもある。

ミンディーは上海時代の友人たちと再会することになる

同じころ、ミンディーは上海時代の友人たちがパリに来ることを知る。彼女たちは結婚式関連のイベントで集まる裕福な友人たちで、ミンディーは彼女たちに今の生活を見られることに抵抗を感じている。

ミンディーはかつて裕福な家庭に育ち、華やかな世界にいた。しかし現在はパリでナニーとして働いており、家族からも経済的に距離を置かれている。彼女は友人たちに自分の現状をどう見られるかを気にしている。

エミリーはカミーユ家への週末旅行があるため、ミンディーの再会には同行できない。ただし、ふたりの物語はこの回で並行して進み、のちにミンディーのライブ配信がエミリーの仕事のアイデアにもつながっていく。

カミーユ、ガブリエル、エミリーの3人は、小さな車でシャトーへ向かう

週末、エミリーはカミーユとガブリエルとともに、カミーユ家のシャトーへ向かう。車は小さな赤いコンバーチブルで、3人が乗るにはかなり窮屈である。そのため、エミリーはガブリエルの膝の上に座るような形になってしまう。

エミリーはガブリエルと距離を置こうとしていたが、物理的には逃げ場のない状況になる。カミーユは無邪気にふたりを同乗させているが、エミリーにとっては罪悪感と緊張が入り混じる道中である。

さらに、ガブリエルとカミーユの間には、レストラン購入資金をめぐるわだかまりが残っている。カミーユは家族の支援を受ければいいと考えているが、ガブリエルはそれを拒み、自分の力で道を切り開こうとしている。車中からすでに、恋人同士の間にはぎこちない空気が流れている。

カミーユの母ルイーズは、ガブリエルに対して距離を置いた態度を見せる

シャトーに到着すると、エミリーはカミーユの母ルイーズと出会う。ルイーズはエレガントで威圧感のある女性で、家族のシャンパン事業にも大きな影響力を持っている人物として描かれる。

ルイーズは、ガブリエルに対してすぐに市場へ行くよう頼む。これは表向きには料理のための用事だが、彼を家族の中心から少し外すような態度にも見える。ガブリエルは恋人の家族と完全に打ち解けているわけではなく、特に資金援助を断ったことで、家族側との関係にも緊張がある。

エミリーは、シャトーの中を案内してもらおうとするが、ルイーズからは積極的な案内を受けられない。代わりに、ブドウ畑のツアーに参加することになる。

裸の父ジェラールとの遭遇で、エミリーはカミーユ家の自由な空気に戸惑う

シャトーでエミリーは、カミーユの父ジェラールとも出会う。ジェラールは陽気で開放的な人物だが、エミリーはプールサイドで彼の裸の姿に遭遇してしまい、激しく動揺する。

この場面はコメディとして描かれる一方で、エミリーがフランスの家庭的な距離感や自由な空気にまだ慣れていないことを示している。ジェラール自身は悪びれず、むしろ気さくな父親として振る舞う。

ガブリエルはその出来事を面白がる。エミリーにとっては恥ずかしい失敗だが、ガブリエルとの間には、こうした気まずさを笑いに変えられる親しさも生まれている。

エミリーはガブリエルとふたりきりになることを避け、ブドウ畑のツアーへ向かう

ガブリエルは市場へ行く際、エミリーも一緒に来るものだと思っている。しかしエミリーは、彼とふたりきりになることを避けようとする。第7話でガブリエルに一線を引くと告げた以上、ここでまたふたりきりになれば、感情が揺らぐことを分かっているからである。

そこでエミリーは、市場には同行せず、ブドウ畑のツアーに参加することを選ぶ。ガブリエルは、彼女が避けすぎていると感じるが、エミリーは自分たちの関係をこれ以上複雑にしたくない。

この選択によって、エミリーはカミーユの弟ティモテと出会うことになる。エミリーはガブリエルを避けるために別行動を選んだが、その結果、別のトラブルへ足を踏み入れていく。

ブドウ畑で出会ったティモテは、エミリーに家業への思いを語る

ブドウ畑のツアーで、エミリーはカミーユの弟ティモテと出会う。ティモテは若く魅力的な男性として登場し、エミリーに親しげに話しかける。彼は家業に関わっており、将来的にはシャンパン事業を担いたいという思いを語る。

エミリーは、彼が大人の男性であり、家業に深く関わっている人物だと思い込む。ティモテの落ち着いた態度や、シャンパンに関する知識も、エミリーの誤解を後押しする。

この時点では、ティモテが17歳であることはエミリーには明かされていない。彼女は、カミーユが紹介したがっていた“兄弟”がティモテのことだと思い込んでしまう。

夕食では、ガブリエルの料理と資金援助の問題が再び話題になる

夜、カミーユ家では家族とエミリー、ガブリエルが食卓を囲む。ガブリエルは料理を担当し、その腕前は家族からも評価される。ティモテもガブリエルの料理を褒める。

しかし、食事の場ではレストラン購入資金の問題が再び持ち上がる。ルイーズは、ガブリエルが融資を受けて自分の店を持つべきだと話し、ジェラールもそれに同調する。カミーユの家族はガブリエルを支援しようとしているが、彼にはそれが重圧になっている。

ガブリエルはその場に居づらくなり、席を外す。カミーユ家にとっては善意の支援でも、ガブリエルにとっては自分の独立心や尊厳を揺さぶる申し出である。彼とカミーユの関係には、恋愛感情だけでは解決できない現実的な問題が浮かび上がる。

パリでは、ミンディーが友人たちの前で再び歌う

一方、パリではミンディーが上海時代の友人たちと夜を過ごしている。ミンディーは、彼女たちに自分の現在の生活を知られることを恐れていたが、友人たちは彼女の事情をすでに知っていた。

友人たちは、ミンディーがナニーとして働いていることよりも、なぜ歌うことをやめてしまったのかを気にしている。彼女たちはミンディーをステージへと導き、彼女はかつてオーディション番組で失敗した楽曲「シャンデリア」を再び歌うことになる。

ミンディーは最初こそ不安を抱えるが、ステージに立つと見事に歌い上げる。友人たちはその姿をライブ配信し、ミンディーは過去の失敗を少しずつ乗り越えていく。この場面は、ミンディーの物語における大きな再起の瞬間である。

ミンディーの配信とシャンパンの使い方が、エミリーに新しい企画を思いつかせる

シャトーにいるエミリーは、部屋でミンディーのライブ配信を見る。ミンディーが再び歌う姿に喜ぶ一方で、配信の中で友人たちが高価なシャンパンを飲むだけでなく、派手に吹きかけて盛り上がっている様子が目に入る。

この映像が、エミリーに新しいマーケティングのヒントを与える。カミーユ家のシャンパンは高級品としてのイメージを守る必要があるが、若い層やパーティー文化には、飲むためではなく“祝うために噴きかける”シャンパンという需要もある。

このアイデアは、のちにカミーユ家の余剰在庫や安価なラインを活かす企画へとつながっていく。エミリーはここでも、SNSや若者文化の観察を仕事上の発想に変えていく。

エミリーは夜のプールサイドでティモテと親しくなる

その夜、エミリーは部屋の近くでカミーユとルイーズが言い争う声を聞く。ガブリエルへの支援や家族の考え方をめぐる対立が背景にあると見られるが、会話の細部までは明確に描かれない。

エミリーは気まずさから外へ出て、プールサイドへ向かう。そこへティモテが現れ、ふたりはシャンパンを飲みながら話す。ティモテは、シャンパンはフルートグラスではなくクープで飲むのがよいと語り、クープはマリー・アントワネットの胸の形に由来するという有名な俗説を持ち出す。

ティモテはエミリーに対して明確に好意を示し、エミリーも彼を大人の男性だと思ったまま距離を縮める。ふたりはその夜、関係を持つ。

翌朝、エミリーはティモテが17歳だったことを知る

翌朝、エミリーは慌てて目を覚ます。首元にはティモテがつけたキスマークがあり、彼女はそれを隠す服を選んで朝食へ向かう。

食卓でエミリーは、カミーユが紹介したかった兄弟がティモテではなく、別の兄テオだったことを知る。そして、ティモテがまだ17歳であることが明らかになる。エミリーは、彼を大人だと思い込んでいたため激しく動揺する。

さらにティモテがエミリーに親しげに接し、ふたりが一夜を共にしたことが家族に伝わってしまう。カミーユは面白がるような反応を見せるが、ルイーズはエミリーを呼び出す。

ルイーズは怒るのではなく、ティモテの“評価”を尋ねる

エミリーは、ルイーズに呼び出され、ティモテとの件で厳しく責められると覚悟する。しかしルイーズが知りたがったのは、ティモテが恋人としてどうだったかという、エミリーにとってさらに答えにくい内容だった。

エミリーは困惑しながらも、ティモテについて悪くは言わない。ルイーズはこの件を大きな怒りとして扱うのではなく、家族の中の奇妙で率直な話題として受け止めているように見える。

エミリーにとっては恥ずかしい混乱だが、この会話によって、ルイーズとふたりきりで話す機会が生まれる。エミリーはその流れを利用し、カミーユ家のシャンパン事業について自分の企画を売り込む。

エミリーは“吹きかけるためのシャンパン”という新ブランド案を提案する

ルイーズは、家族のシャンパン事業に余剰在庫の問題があることを話す。エミリーは、ミンディーの友人たちがシャンパンを飲むのではなく、祝うために派手に吹きかけていた様子から着想を得て、低価格帯の別ラインを作ることを提案する。

エミリーの案は、プレミアムな本体ブランドとは切り離し、パーティーやクラブで“吹きかけるため”のシャンパンとして売り出すというものだった。名前としては「シャンペール」というブランド案を示す。高級感を守る本家のシャンパンとは別に、若者向けで遊び心のある商品として展開する狙いである。

ルイーズは最初、その発想に抵抗を示す。伝統あるシャンパンを飲まずに撒くという考え方は、彼女にとって受け入れがたいものでもある。しかし、余剰在庫の処理や新しい市場開拓という観点では、エミリーの案には一定の説得力がある。ルイーズは、その奇抜さを完全には否定せず、検討する姿勢を見せる。

ガブリエルとカミーユの関係には、家族と将来の問題が重くのしかかる

第8話では、エミリーとティモテの騒動が強い印象を残すが、その裏でガブリエルとカミーユの関係にも重要な変化が描かれる。ガブリエルは自分の店を持つ夢を抱いているが、カミーユの家族の資金援助を受け入れることには抵抗がある。

カミーユの家族にとって、援助はガブリエルを支えるための自然な行為かもしれない。しかしガブリエルにとっては、恋人の家族に依存することになり、自分の夢の持ち方そのものが変わってしまう。彼はカミーユを愛していても、彼女の家族の世界に完全に入ることにはためらいがある。

この問題は、エミリーへの感情とは別に、ガブリエルとカミーユの関係がすでに岐路に立っていることを示している。エミリーはそこに巻き込まれながらも、カミーユへの友情とガブリエルへの惹かれる気持ちの間で、さらに身動きが取りづらくなっていく。

第8話は、仕事の成功と私生活の混乱が同時に進むエピソードとなる

第8話のエミリーは、カミーユへの罪悪感からシャンパン案件を引き受け、週末旅行ではガブリエルを避けようとして、かえってティモテとの大きな騒動を起こす。私生活だけを見れば、彼女は失敗を重ねている。

一方で、仕事面ではカミーユ家のシャンパン事業に対して、新しい市場を開くアイデアを提示する。エミリーはまたしても、偶然目にしたSNS的な消費行動をマーケティング案へと変換し、クライアント候補に印象を残す。

ミンディーは過去のトラウマだった歌を再び歌い、ガブリエルは自分の店を持つ夢とカミーユ家の支援の間で揺れる。第8話は、エミリーだけでなく、周囲の人物たちもそれぞれの将来と向き合い始める回であり、シーズン終盤へ向けて人間関係の緊張をさらに高めていく。

エピソード9「アメリカ友の会のオークション」

エミリーは“シャンペール”の動画を使い、カミーユ家のシャンパン案件を売り込む

第9話は、エミリーがサヴォワールでカミーユ家のシャンパンを売り込む場面から始まる。彼女は、米国人たちがシャンパンを飲むのではなく、祝いの場で派手に吹きかけている動画を見せながら、前話で思いついた“シャンペール”のアイデアをシルヴィーとリュックに説明する。

エミリーの提案は、伝統あるシャンパンを高級な飲み物としてだけでなく、若者やパーティー層向けの“噴きかけるための商品”として展開するというものだった。高級感を重視するシルヴィーにとっては粗野にも見えるが、余剰在庫の活用やSNS拡散という意味では、エミリーらしい実用的な発想である。

エミリーは、カミーユがその夜にギャラリーのオープニングを開くことを伝え、シルヴィーとリュックに参加を促す。カミーユ家の案件は、エミリーにとって新規クライアント獲得のチャンスである一方、カミーユとの友情やガブリエルへの気持ちが絡む、私生活上も複雑な仕事になっている。

シルヴィーはアントワーヌの連絡を避けている

この頃、シルヴィーはアントワーヌからの連絡を避けている。前回までに、サン・バルテルミー島への旅行をめぐって、アントワーヌが妻カトリーヌを優先する形になり、シルヴィーは深く傷ついていた。

ジュリアンがアントワーヌからの電話を取り次ごうとしても、シルヴィーは不在だと伝えるよう指示する。これまでシルヴィーはエミリーに対して恋愛面で大人びた態度を見せていたが、実際にはアントワーヌとの関係に振り回されている。

この描写によって、第9話ではエミリーだけでなく、シルヴィーもまた“仕事と恋愛が切り離せない状況”に置かれていることが示される。

アメリカン・フレンズ・オブ・ルーブルのジュディスが、ピエールのドレス寄付を依頼する

エミリーは、アメリカン・フレンズ・オブ・ルーブルのジュディス・ロバートソンから連絡を受ける。ジュディスは、ルーブル美術館を支援するチャリティー・オークションに、ピエール・カドーのドレスを出品してもらえないかと相談する。

ピエールはフランスを代表するクチュリエであり、彼のドレスがオークションに出れば大きな注目を集める。エミリーは、ピエールとの関係をさらに深める機会だと考え、マチュー・カドーに連絡を取る。

マチューはピエールの甥で、ブランドのビジネス面を担う人物である。エミリーはアトリエで相談したいと伝えるが、マチューは多忙を理由にすぐには応じず、その夜のカミーユのギャラリーに顔を出すと伝える。

カミーユのギャラリーで、仕事と恋愛の視線が交差する

夜、エミリーはカミーユのギャラリー・オープニングに向かう。そこにはシルヴィーとリュックも現れ、カミーユと初めて本格的に接点を持つ。ガブリエルも会場におり、エミリーはカミーユ、ガブリエル、サヴォワールの同僚、マチューという複数の関係者に囲まれることになる。

マチューが現れると、彼とエミリーの間には明らかな好意の気配が漂う。カミーユはその空気に気づき、マチューがエミリーを見る目が特別だと指摘する。カミーユは、マチューこそエミリーに合う相手ではないかと考える。

一方、ガブリエルはマチューに対してどこか面白くなさそうな反応を見せる。エミリーとガブリエルは互いに惹かれ合っているが、ガブリエルにはカミーユとの関係があり、エミリーもそれ以上進むべきではないと分かっている。そこへマチューという新たな恋愛候補が現れ、三角関係はさらに複雑になる。

マチューはエミリーを食事に誘い、ピエールのドレス寄付にも前向きな姿勢を見せる

ギャラリーのあと、マチューはエミリーを食事に誘う。ふたりは街を歩きながら、米国の前衛的ファッションデュオ、グレー・スペースの広告を目にする。グレー・スペースは、SNSや大胆な演出を使って話題を集める新世代のブランドであり、エミリーは彼らの注目の集め方にマーケティング的な興味を示す。

エミリーは、アメリカン・フレンズ・オブ・ルーブルのオークションでピエールのドレスを寄付してほしいとマチューに改めて相談する。マチューは、翌日アトリエに来て、出品にふさわしいドレスを見てみるよう提案する。

このやり取りを通じて、エミリーは仕事上の目的を前進させると同時に、マチューとの個人的な距離も縮めていく。ガブリエルへの未練を抱えながらも、マチューとの関係はエミリーにとって“罪悪感を伴わない新しい恋”の可能性として描かれる。

サヴォワールでは、エミリーとマチューの関係が早くも話題になる

翌日、エミリーは職場でマチューについて調べている。彼が過去にどんな女性たちと噂になってきたのかを見ていると、そこへシルヴィーが現れる。シルヴィーは、エミリーとマチューの距離が近づいていることにすぐ気づく。

サヴォワールでは、仕事と私生活が交差することは珍しくないが、ピエール・カドーという重要クライアントに関わる人物との関係は、エミリーの立場を危うくする可能性もある。シルヴィーは、その危うさを見抜いている。

同じころ、アントワーヌからシルヴィーに贈り物が届く。シルヴィーは受け取りを拒むが、リュックが中身を開けてしまい、それがニップルリングであることが分かる。アントワーヌらしい挑発的な贈り物であり、シルヴィーはますます不機嫌になる。恋愛のこじれが、職場の空気にもにじんでいる。

チャリティー・オークションで、エミリーが急きょピエールのドレスを着ることになる

アメリカン・フレンズ・オブ・ルーブルのチャリティー・オークション当日、会場にはピエール、マチュー、シルヴィー、エミリーらが集まる。ピエールのドレスはオークションの目玉のひとつとして扱われる予定だった。

しかし、ドレスを着て登場するはずだったモデルが来られなくなる。そこでマチューは、エミリーにドレスを着てステージに立つよう提案する。エミリーは戸惑いながらも、ピエールのドレスをまとってオークションの場に出る。

ピエールのドレスを着て人々の前に立つことは、エミリーにとって大きな名誉である一方、彼女自身が注目の的になる危うさもはらんでいる。この時点では、会場の空気は華やかで、ピエールもドレスが高値で落札されることを期待している。

グレー・スペースがドレスを3万8000ユーロで落札する

オークションでは、グレー・スペースがピエールのドレスに入札する。ピエールは、前衛的で挑発的な若手デザイナーたちが自分のドレスを狙っていることに驚く。彼らは入札額を上げていき、最終的に3万8000ユーロでドレスを落札する。

落札額だけを見れば、ピエールのドレスは大きな価値を示したことになる。会場にも一時は高揚感が広がる。エミリーも、ピエールのドレスが注目されたことに安堵する。

しかし、グレー・スペースの真の目的は、ドレスを所有することではなかった。彼らはこの場を利用して、自分たちの名前を世間に刻み込むためのパフォーマンスを準備していた。

グレー・スペースがエミリーごとドレスにペンキを浴びせる

落札直後、グレー・スペースのふたりは、ステージ上のエミリーに向けてグレーのペンキを放つ。エミリーが着ていたピエールのドレスは、見る間に汚されてしまう。会場は騒然となり、エミリー自身も激しく動揺する。

彼らにとっては、古典的なラグジュアリーを象徴するピエールのドレスを汚すことが、前衛的なアート・パフォーマンスであり、宣伝行為でもあった。しかしピエールにとって、それは自分の作品とキャリアを侮辱されたような出来事である。

ピエールはその場で深く傷つき、涙を見せる。エミリーは、自分が関わった企画によって、重要クライアントに大きな打撃を与えてしまったことを悟る。

事件は大きく報じられ、ピエールの注目度は皮肉にも急上昇する

翌朝、エミリーは複数の着信やメッセージに気づく。オークションでのペンキ事件は新聞やオンラインメディアで大きく報じられており、ピエール・カドーの名前は一気に拡散されていた。

エミリーは、事件を完全な失敗ではなく、ピエールの認知度を高めた出来事として捉えようとする。グレー・スペースの行動によって、ピエールのフォロワー数や話題性は急増している。SNSの観点から見れば、ブランドは以前よりも注目されている。

しかしシルヴィーは、エミリーの楽観的な見方を簡単には受け入れない。ピエールを失えば、エミリーはサヴォワールだけでなく、シカゴ側の仕事にも居場所を失う可能性があると警告する。エミリーは、またしても危機を成果に変えなければならない状況に追い込まれる。

エミリーはグレー・スペースとのコラボ案で事態を立て直そうとする

エミリーは、グレー・スペースの行為を単なる侮辱で終わらせるのではなく、ピエールにとって新しい展開に変えられないかと考える。彼女はグレー・スペースのもとを訪ね、彼らの意図を確認する。

グレー・スペース側は、ピエールを嫌っているわけではなく、むしろ彼のファンだと話す。彼らにとって、今回のペンキ事件は古いラグジュアリーと新しいストリート感覚をぶつけるパフォーマンスだった。

エミリーはこの発想を受けて、ピエール・カドーとグレー・スペースのコラボレーションを提案しようとする。ピエールのロゴを使ったフーディーなど、ストリートウェアの要素を取り入れれば、ピエールのブランドを若い世代に届けられると考えたのである。

ピエールは深く落ち込み、エミリーの提案を拒絶する

エミリーはピエールのもとを訪ねる。ピエールはベッドに閉じこもり、クレームブリュレを割る音に慰めを見出すような状態で、事件のショックから立ち直れていない。

エミリーは、グレー・スペースとのコラボ案を示し、今回の事件を逆転のチャンスにできると語る。彼女にとっては、話題性を活かしてピエールを現代のストリートカルチャーへ接続する提案である。

しかしピエールは、それを受け入れない。彼は、エミリーが“リングarde”と呼ばれた大衆的な視点を持ち込み、自分のブランドをさらに安っぽくしようとしていると感じる。彼は、自分の時代は終わったのではないかと落ち込み、エミリーを帰らせる。

マチューはエミリーを慰め、ふたりはキスを交わす

ピエールの説得に失敗したエミリーがアトリエを出ると、マチューが彼女を待っている。マチューは、落ち込むエミリーを責めるのではなく、やさしく慰める。

エミリーは、ピエールを傷つけてしまった責任と、仕事を失うかもしれない不安を抱えている。マチューはそんな彼女に寄り添い、ふたりの距離はさらに近づく。

その流れで、マチューはエミリーにキスをする。第9話のラストでは、ピエールの危機が解決しないまま、エミリーとマチューの関係だけが新たな段階へ進む。ガブリエルとの曖昧な関係から距離を置こうとしていたエミリーにとって、マチューは現実的で魅力的な恋愛の選択肢として浮上する。

エピソード10「まさかのキャンセル」

ファッションウィークが迫る中、ピエールは新作を誰にも見せようとしない

最終話となる第10話では、パリ・ファッションウィークが迫っているにもかかわらず、ピエール・カドーが新作コレクションを誰にも見せようとしない。グレー・スペースによるペンキ事件が彼の自信を大きく揺さぶり、ピエールはアトリエに閉じこもっている。

エミリーはミンディーに、ピエールのことが心配だと打ち明ける。ピエールを復活させなければ、サヴォワールでのエミリーの立場も危うい。前話では、エミリーの提案が事態を好転させるどころか、ピエールをさらに追い込んでしまったように見えた。

一方、ミンディーには新しいチャンスが訪れている。彼女が歌ったドラァグクラブから、週2日エムシーとして働かないかと誘われたのである。歌える場所を得られる一方、ナニーの仕事との両立が課題になる。

マチューとエミリーはデートをするが、ピエールの電話で中断される

マチューはエミリーをデートに連れ出す。ふたりはセーヌ川沿いを過ごし、美しい眺めのある場所で親密な時間を共有する。マチューはエミリーに好意を示し、ふたりはキスを交わす。

エミリーにとって、マチューはガブリエルとは異なる意味で魅力的な相手である。彼はピエール・カドーの世界に近く、仕事面でも恋愛面でもエミリーを新しい場所へ連れていく存在に見える。

しかし、その甘い時間は長く続かない。ピエールからマチューに連絡が入り、彼がファッションウィークのショーをキャンセルしたいと言っていることが分かる。マチューは急いで対応しなければならず、エミリーとのデートは仕事の危機によって中断される。

サヴォワールでは、ピエールのショー中止でエミリーの責任が問われる

翌日、サヴォワールではピエール・カドーのショー中止が大問題になる。シルヴィーは当初、エミリーがインフルエンサーを招くなど、ピエールのショーに新鮮な要素を加えようとしていたことを前向きに見ていた。しかし状況は一変する。

アントワーヌがメゾン・ラヴォーとジマー・ホテルの案件でサヴォワールを訪れ、リュックがそのプレゼンを担当するが、周囲の関心はピエールの件に奪われている。ジュリアンが、ピエールのショー中止が業界メディアで話題になっていることを知らせる。

そこへマチューから連絡が入り、ピエールが会場を手放し、ランスルーも失敗したことが分かる。シルヴィーは、グレー・スペース事件後の対応を含め、エミリーがピエールの自信を揺るがせたと判断する。

シルヴィーはエミリーを解雇すると告げる

シルヴィーは、ピエールの件でエミリーに責任があるとして、彼女を解雇すると告げる。エミリーは大きなショックを受ける。パリでの仕事は、彼女がこの街で自分の居場所を見つけるための軸でもあった。

しかし、リュックとジュリアンは、フランスで人を解雇するのはそんなに簡単ではないとエミリーに説明する。彼らは、エミリーに職場へ来続けるよう促す。これまでエミリーをからかったり距離を置いたりしていたふたりだが、この場面では彼女を支える側に回る。

この流れによって、エミリーが完全にサヴォワールから孤立しているわけではないことが分かる。彼女はシルヴィーからは厳しく扱われているが、同僚たちとの間には少しずつ仲間意識が生まれている。

エミリーは、ガブリエルがノルマンディーへ戻ることを知る

帰宅途中、エミリーはアパルトマンの外でカミーユとガブリエルが口論している場面に出くわす。ガブリエルは、パリを離れてノルマンディーへ戻るつもりでいる。そこには、彼が自分で買えるレストランがあるという。

ガブリエルはパリで自分の店を持つ夢を抱いていたが、資金面の問題が大きく、カミーユの家族からの援助を受けることには抵抗があった。彼は恋人の家族に依存する形ではなく、自分の力で店を持てる道を選ぼうとしている。

カミーユにとって、ガブリエルの決断は大きな衝撃である。ふたりの関係は、夢と将来の選択をめぐって明確にすれ違い始める。エミリーはその現場を見て、ガブリエルが本当にパリを去るかもしれないことを知る。

エミリーは解雇状態でも出勤し、メゾン・ラヴォー案件に関わる

翌日、エミリーはサヴォワールへ戻る。シルヴィーは、あなたはもうここで働いていないと冷たく告げるが、リュックが間に入る。リュックは、メゾン・ラヴォーの案件が自分には向いていないと話し、エミリーがそのアカウントを一時的に担当するのがよいと提案する。

シルヴィーは渋々それを認める。正式な解雇手続きが進むまでの間、エミリーはサヴォワールのクライアント業務に関わり続けることになる。

この場面は、エミリーがまだ完全に終わっていないことを示す。彼女はピエールの件で大きな失敗をしたが、サヴォワールには彼女の発想力やSNS感覚を必要とする仕事も残っている。

グレー・スペースが、ピエールの元会場を使ってショーを開くことが分かる

エミリーとピエールのもとに、グレー・スペースのショーへの招待状が届く。しかもグレー・スペースは、ピエールが手放した会場を使ってショーを開催するつもりだった。

これはピエールにとって、さらなる屈辱である。自分のドレスを汚した若手デザイナーたちが、自分のショー会場を奪う形でファッションウィークに乗り込んでくる。ピエールのブランドは、まるで過去のものとして扱われている。

しかし、この招待状が逆転のきっかけになる。ピエールはエミリーに会いたいと言い、エミリーはシルヴィーとともに彼のアトリエへ向かう。

ピエールは、エミリーに着想を得た新作ドレスを見せる

アトリエに到着したエミリーとシルヴィーは、意外にも明るい様子のピエールに迎えられる。彼は落ち込んでいたはずだが、実は新たな方向性を見出していた。

ピエールは、エミリーに着想を得た新作ドレスを見せる。エミリーはそのドレスを美しいと感じるが、シルヴィーの反応は必ずしも肯定的ではない。シルヴィーは、ピエールが長年築いてきたラグジュアリーの美意識から外れているように感じる。

しかしピエールは、今こそ自分を刷新する時だと考えている。グレー・スペースの挑発は彼を傷つけたが、同時に彼の創作意欲を刺激した。彼はファッションウィークでこの新しいコレクションを見せたいと望む。

エミリーは、ピエールのショーを実現するため新しい会場を探す

ピエールは会場を失っているため、ショーを開くには新たな場所が必要になる。エミリーは、自分が会場を探すと申し出る。失敗を取り戻すためにも、彼女はピエールの復活に全力を注ぐ。

エミリーの発想は、従来型のランウェイではない。グレー・スペースが元の会場を使っているなら、その外側で別の形のショーをぶつければよい。ピエールの復活は、単なる予定通りのショーではなく、グレー・スペースへの逆襲でなければならない。

この段階で、エミリーはピエールのために“混乱を演出へ変える”という自分らしい方法を再び使おうとしている。

ミンディーはナニーの仕事を失い、エミリーの部屋へ転がり込む

その夜、エミリーの部屋にミンディーが荷物を抱えてやって来る。彼女は、ドラァグクラブでエムシーとして働くことを選んだ結果、ナニーとして働いていたデュポン家を解雇されてしまった。

ミンディーにとっては大きな生活の変化である。安定した仕事と住む場所を失う一方で、歌うことへの道は開かれ始めている。彼女は過去の挫折から逃げるのではなく、自分のやりたいことに踏み出した。

エミリーはミンディーを受け入れ、ふたりはルームメイトになる。これにより、エミリーとミンディーの友情はさらに強まり、ミンディーもパリで自分自身の人生を選び直していく。

ガブリエルは別れの贈り物として、オムレツのフライパンをエミリーに渡す

ミンディーが訪れたあと、ガブリエルもエミリーの部屋にやって来る。彼は、以前エミリーにオムレツを作ったときに使ったフライパンを別れの贈り物として渡す。

この贈り物は、ふたりの関係を象徴している。ガブリエルは、エミリーがパリで孤独だった時期に、彼女を料理でもてなし、心をほどいた存在だった。フライパンは、その最初の親密な記憶を形にしたものでもある。

ガブリエルは、翌日がレストランでの最後の勤務になると伝え、エミリーを食事に誘う。そして、カミーユとは別れたことも明かす。エミリーは、ガブリエルがカミーユと別れ、さらにパリを去るという事実に大きく揺れる。

ピエールはグレー・スペースの会場前で奇襲ショーを成功させる

翌日、グレー・スペースのショーには多くの観客が集まっている。そこへピエール・カドーが現れる。エミリー、シルヴィー、マチューが見守る中、ピエールはゴミ収集車を使った大胆な演出で会場の外へ乗り込む。

ゴミ収集車からは、鮮やかな色彩のドレスをまとったモデルたちが次々と登場する。衣装には「私はダサい」「ピエールって誰?」といった、グレー・スペースの挑発を逆手に取るようなフレーズがあしらわれている。

ピエールは、自分を“時代遅れ”と見なす視線をそのまま取り込み、堂々とファッションに変えてみせる。会場の注目は一気にグレー・スペースからピエールへ移り、ショーは大成功を収める。

ピエールはファッションウィークの主役として復活する

ピエールの奇襲ショーは、単なるリベンジではなく、彼のブランドの再生として機能する。彼は傷つけられた自尊心を創作へ変え、古いクチュールと現代的な挑発性を結びつけた。

エミリーの役割は大きい。彼女はピエールを一度は危機に追い込んだが、その危機を“物語”に変え、ファッションウィークの話題をさらう舞台へ導いた。シルヴィーも、エミリーの働きを完全には否定できなくなる。

第10話の仕事パートは、エミリーが“失敗しても諦めず、騒動をマーケティングに変える”人物であることを最もはっきり示している。

ガブリエルのレストランで、ピエールの成功を祝うディナーが開かれる

ショーの成功後、エミリーはガブリエルのレストランで祝賀ディナーを開く。そこにはサヴォワールの面々、マチュー、ピエールらが集まる。エミリーがSNSでピエールの来店を知らせたことで、レストランにはさらに人が集まり、特別な夜の空気が生まれる。

マチューは、エミリーにサン・トロペへの週末旅行を提案する。エミリーはそれを受け入れ、ふたりの関係は本格的に進みそうに見える。マチューはエミリーに好意を持ち、仕事上も恋愛上も魅力的な相手である。

一方で、ガブリエルはこの夜を最後にパリを離れる予定である。エミリーはマチューと過ごしながらも、ガブリエルの存在を意識せずにはいられない。

アントワーヌとカトリーヌが現れ、ガブリエルの将来に関心を示す

ディナーの場には、アントワーヌと妻カトリーヌも現れる。カトリーヌはエミリーに、メゾン・ラヴォーの仕事にはエミリーの方が合っているように感じるといった趣旨の言葉をかける。これは、エミリーがアントワーヌのアカウントを担当する流れを後押しするような発言でもある。

アントワーヌは、ガブリエルがなぜパリを離れるのかに関心を持つ。ガブリエルは、自分の店を持つためにノルマンディーへ戻るつもりだと話す。アントワーヌは、カミーユの家族からの資金援助を受けることへのガブリエルの抵抗を理解しているように振る舞う。

この会話が、ラストの大きな展開につながる。アントワーヌは、ガブリエルの料理と可能性を見て、彼に投資することを考え始める。

ガブリエルとの別れが近づき、エミリーは感情を抑えきれなくなる

夜が深まるにつれ、ガブリエルの出発が現実味を帯びてくる。エミリーはマチューとの関係を前に進めようとしているが、ガブリエルへの気持ちは消えていない。

ガブリエルがエミリーに別れを告げる場面では、ふたりの間に強い未練が漂う。マチューもその空気を感じ取っており、場は気まずくなる。エミリーは、ガブリエルが本当に去るなら、このまま何も言わずに終わってよいのかと葛藤する。

ガブリエルはカミーユと別れており、しかもパリを離れる予定である。エミリーにとっては、友人を傷つけずにガブリエルと向き合える“最後の夜”のようにも見えてしまう。

エミリーとガブリエルは一夜を共にする

その夜、エミリーはバルコニーからガブリエルを見かけ、彼を追いかける。ふたりは互いの気持ちを抑えきれず、キスを交わす。そしてガブリエルの部屋へ戻り、一夜を共にする。

これは、シーズン1を通して引き延ばされてきたエミリーとガブリエルの恋愛感情が、ついに明確な形になる瞬間である。ガブリエルはカミーユと別れており、明日にはパリを去るはずだったため、エミリーはこれを一度きりの別れの夜として受け止めようとする。

しかし、カミーユはエミリーの友人であり、ふたりの関係が完全に清算されたわけではない。エミリーはガブリエルと結ばれたあと、カミーユを傷つけたくないため、今後は会わない方がよいと口にする。

シルヴィーはエミリーの解雇を取り消す

翌日、エミリーはサヴォワールでシルヴィーから、解雇手続きを進めないと告げられる。ピエールのショーを成功させたことで、エミリーは職場での立場を取り戻す。

シルヴィーは、エミリーに可能性があることを認める。もちろん、ふたりの関係が一気に親密になるわけではない。しかし、エミリーはサヴォワールにとって不要な存在ではなく、むしろ予想外の成果をもたらす人物として見直される。

仕事面では、エミリーは大きな失敗から逆転し、パリでのキャリアを継続できることになる。シーズン1の職場パートは、彼女が完全には受け入れられないまでも、一定の居場所を獲得した形で締めくくられる。

アントワーヌがガブリエルに投資し、彼はパリに残ることになる

エミリーが帰り道でガブリエルのレストランの前を通ると、そこにはアントワーヌの姿がある。ガブリエルはエミリーに、アントワーヌが自分のレストラン計画に出資することになったと話す。

これにより、ガブリエルはノルマンディーへ戻らず、パリに残ることになる。前夜、エミリーとガブリエルが“一度きりの別れ”として一夜を共にした前提は崩れる。彼はこれからもエミリーの近くにいる。

エミリーはガブリエルが残ることに一瞬喜ぶが、すぐに状況の複雑さを理解する。ガブリエルがパリに残るなら、彼との関係は過去の出来事として処理できない。さらにカミーユとの関係も避けて通れなくなる。

ラストでカミーユから連絡が入り、シーズン2への火種が残る

エミリーのスマートフォンに、カミーユからメッセージが届く。カミーユは、ガブリエルがパリに残ると聞いたことを伝え、エミリーと話したいと言う。

このメッセージによって、エミリーはガブリエルとの一夜を隠したまま、カミーユと向き合わなければならなくなる。第10話は、仕事では成功と復帰を得たエミリーが、恋愛と友情の面ではさらに大きな問題を抱え込む形で終わる。

マチューとのサン・トロペ旅行、ガブリエルのパリ残留、カミーユからの連絡。シーズン1のラストは、エミリーが3つの方向へ引き裂かれるような状態で幕を閉じる。華やかなファッションウィークの勝利の裏で、エミリーの私生活は次シーズンへ向けて最も危うい局面に入っていく。

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