映画『ウィンターストーム 雪山の悪夢』(2016)を紹介&解説。
映画『ウィンターストーム 雪山の悪夢』概要
映画『ウィンターストーム 雪山の悪夢』は、ロブ・コノリー監督が、雪深い土地で孤立した父親とふたりの息子を描くサイコスリラー。離婚と失業によって追い詰められた父エリオットが、久しぶりに息子たちと過ごす中で次第に精神的な均衡を失い、本来子どもたちを守るべき存在が最大の脅威へ変わっていく。主演はジョエル・キナマン、息子役でトム・ホランドとパーシー・ハインズ・ホワイトが共演する。
作品情報
| 日本版タイトル | 『ウィンターストーム 雪山の悪夢』 |
|---|---|
| 原題 | Edge of Winter |
| 製作年 | 2016年 |
| 本国公開日 | 2016年8月19日(カナダ) |
| 日本公開日 | 劇場未公開(DVD発売:2017年1月11日) |
| ジャンル | スリラー/ドラマ |
| 製作国 | カナダ/アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 88分 |
| 監督 | ロブ・コノリー |
|---|---|
| 脚本 | カイル・マン/ロブ・コノリー |
| 製作 | カイル・マン/ジョナサン・ブロンフマン |
| 製作総指揮 | ジェフ・サックマン/マイケル・リズレー/アーロン・バーネット/ロン・モルナー |
| 撮影 | ノーム・リー |
| 編集 | グレッグ・ン |
| 作曲 | ブルック・ブレア/ウィル・ブレア |
| 出演 | ジョエル・キナマン/トム・ホランド/パーシー・ハインズ・ホワイト/ラシェル・ルフェーブル/シャイロー・フェルナンデス/ロッシフ・サザーランドほか |
| 製作 | Independent Edge Films/JoBro Productions & Film Finance/Drive Films/TAJJ Mediaほか |
| 配給 | LevelFILM(カナダ)/Vertical Entertainment(アメリカ)/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(日本・DVD) |
あらすじ
妻と離婚し、仕事も失ったエリオット・ベイカーは、別れた妻カレンと暮らす息子ブラッドリーとケイレブを数日間預かることになる。久しぶりの父子水入らずの時間を取り戻そうとするエリオットは、息子たちにライフルの扱いを教えるため雪深い森へ向かう。
しかし帰宅途中に事故を起こし、一行は人里離れた場所で立ち往生する。避難先となった山小屋で、エリオットは息子たちが母親と新しい生活を始めようとしていることへの焦りを募らせ、次第に精神的な均衡を失っていく。ブラッドリーとケイレブは、自分たちを守るはずの父親こそが最も危険な存在になりつつあることに気づく。
主な登場人物(キャスト)
エリオット・ベイカー(ジョエル・キナマン):離婚と失業を経験し、孤独な生活を送る父親。息子たちとの関係を取り戻そうとするが、彼らを失うことへの恐怖と焦りから徐々に暴走していく。
ブラッドリー・ベイカー(トム・ホランド):エリオットの息子。弟ケイレブとともに父親のもとを訪れるが、次第に異常さを増していくエリオットを警戒するようになる。
ケイレブ・ベイカー(パーシー・ハインズ・ホワイト):ブラッドリーの弟。兄とともに雪山で父親の暴走に巻き込まれる。
カレン(ラシェル・ルフェーブル):エリオットの元妻で、ブラッドリーとケイレブの母親。現在はエリオットとは別の生活を築いている。
作品の魅力解説
雪山遭難よりも「父親が怖い」ことを軸にしたサイコスリラー
『ウィンターストーム 雪山の悪夢』は、吹雪や極寒の自然そのものを最大の敵とする一般的な雪山サバイバル映画とは少し方向性が異なる。
雪山で孤立するという状況は舞台装置であり、本当に危険なのは精神的に追い詰められていく父エリオットだ。子どもを愛しているにもかかわらず、その愛情が執着と支配へ変化していくことで、本来最も安全であるはずの家族関係が恐怖の源になる。
ジョエル・キナマンの不安定な父親像が物語の中心
評価が比較的集まったポイントのひとつが、エリオットを演じるジョエル・キナマンの演技である。
息子たちとの関係を修復したい父親としての弱さと、拒絶されることへの恐怖から攻撃的になっていく危うさを演じ、観客が完全には安心できない人物像を作り上げている。
一方で、エリオットの心理や行動を十分に掘り下げられていないという批評もあり、キャラクター造形そのものについては評価が分かれた。
設定は明快だが、批評評価は低め
Rotten Tomatoesの批評家スコアは52%、Metacriticは50点と、批評家からの評価は芳しいものではない。
少人数の登場人物と雪に閉ざされた山小屋を利用した緊張感、ジョエル・キナマンやトム・ホランドらの演技を評価する声がある一方、物語そのものは既視感が強く、展開が遅い、設定から期待されるほどサスペンスを発展させられていないといった批判も見られた。
そのため完成度の高い雪山スリラーとして積極的に推すより、後にスパイダーマン役で世界的スターとなるトム・ホランドの若手時代や、ジョエル・キナマンによる破綻していく父親像を見る作品として位置付ける方が実態に近い。
