映画『チャイルド・ゾンビ』(1980)を紹介&解説。
映画『チャイルド・ゾンビ』概要
映画『チャイルド・ゾンビ』は、マックス・カルマノウィッツ監督が手がけた1980年のアメリカ製ホラー/SF映画。原子力発電所から漏れ出した放射性物質の雲を浴びたスクールバスの子どもたちが異変し、触れた人間を焼き殺す危険な存在となって町を襲っていく。
主演はマーティン・シェイカー、共演にギル・ロジャース、ゲイル・ガーネットら。米国ではWorld Northalが劇場配給し、後年トロマ・エンターテインメントが現存するオリジナルプリントを探し出してデジタル化し、DVDなどで再展開したカルトホラー。
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作品情報
| 日本版タイトル | 『チャイルド・ゾンビ』 |
|---|---|
| 原題 | The Children |
| 製作年 | 1980年 |
| 本国公開日 | 1980年6月13日 |
| 日本公開日 | —(国内DVD発売:2006年8月25日) |
| ジャンル | ホラー/SF |
| 製作国 | アメリカ |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 93分 |
| 監督 | マックス・カルマノウィッツ |
|---|---|
| 脚本 | カールトン・J・オルブライト/エドワード・テリー |
| 製作 | カールトン・J・オルブライト/マックス・カルマノウィッツ |
| 撮影 | バリー・エイブラムス |
| 編集 | ニッキ・ウェスリング |
| 作曲 | ハリー・マンフレディーニ |
| 出演 | マーティン・シェイカー/ギル・ロジャース/ゲイル・ガーネット/トレイシー・グリスウォルド/シャノン・ボリン/ジョイ・グラッカム/クララ・エヴァンス/ジェフサ・エヴァンス/サラ・オルブライト/ナサニエル・オルブライト/ジュリー・キャリア/ジェシー・エイブラムス |
| 製作 | Albright Films |
| 配給 | World Northal(米国劇場)/トロマ・エンターテインメント(米国DVD)/エプコット(日本DVD) |
あらすじ
原子力発電所から漏れ出した放射性物質の雲を浴びたスクールバス。その後、乗っていた子どもたちが姿を消してしまう。町の保安官ビリーたちが捜索を始める中、子どもたちは黒く変色した爪と、人間を一瞬で焼き殺す危険な力を持って家族のもとへ戻ってくる。
主な登場人物(キャスト)
ジョン・フリーモント(マーティン・シェイカー):町に暮らす男性。保安官ビリーとともに行方不明になった子どもたちを追ううち、自分の家族も異変に巻き込まれていく。
ビリー・ハート保安官(ギル・ロジャース):町の保安官。エンジンをかけたまま放置されたスクールバスを発見し、乗っていた子どもたちの捜索を開始する。
キャシー・フリーモント(ゲイル・ガーネット):ジョンの妻。妊娠中で、行方不明になっていた娘ジェニーの帰宅を待っている。
ハリー・ティモンズ(トレイシー・グリスウォルド):ビリーの部下である保安官代理。行方不明になった子どもたちの捜索に加わる。
ジェニー・フリーモント(クララ・エヴァンス):ジョンとキャシーの娘。スクールバスに乗っていた子どものひとりで、放射性物質の影響によって危険な存在へ変貌する。
モリー(シャノン・ボリン):町の食料品店を営む女性。ビリーたちと無線で連絡を取りながら、子どもたちの行方を案じる。
作品の魅力解説・レビュー
「子どもにはひどいことをしない」を踏み越えるB級ホラー
ホラー映画でも、子どもは最後まで守られる存在として扱われることが少なくない。しかし『チャイルド・ゾンビ』は、その暗黙の安全圏をかなり乱暴に壊してくる。
恐ろしい存在になるのはほぼ子どもたち。彼らが大人を殺すだけでなく、大人たちも生き残るためには子どもを攻撃しなければならない。特に厄介なのは、その相手が見知らぬ怪物ではなく、つい先ほどまで帰りを待っていた自分たちの息子や娘であることだ。
演技やドラマにそこまで深い陰影がある作品ではないものの、「自分の子どもでも殺さなければならないのか」という大人側の葛藤は物語の核としてきちんと組み込まれている。
“ゾンビ”というより、放射能で変質した子どもたち
邦題は『チャイルド・ゾンビ』だが、一般的な意味での死者が蘇るゾンビ映画とは少し違う。
子どもたちは原子力発電所から漏れ出した物質の影響を受けて異常化し、黒く変色した爪を持つようになる。そして相手に触れるだけで、その肉体を一瞬にして焼け爛れさせてしまう。
「なぜ子どもだけなのか」「なぜそんな能力が身につくのか」といった設定はかなり大雑把。それでも、普通の姿をした子どもが両腕を広げて近づいてくるだけで、抱きつかれれば死ぬというアイデアには本作ならではの不気味さがある。
チープさの中で目を引く焼死メイク
低予算らしい小規模なロケーション、単調な展開、深みに欠ける演技など、B級映画らしい粗さはかなり目立つ。音楽や物語運びにも、ホラー映画としてありきたりに感じられる部分はある。
一方で、子どもに触れられた人間が一瞬で焼け爛れていく特殊メイクはなかなか強烈。黒焦げになった皮膚を見せる死体表現など、限られた予算の中でもグロテスクな見せ場にはしっかり力が入っている。
子どもだけが怪物になるという一点突破型のアイデアと、倫理的な遠慮なく大人も子どもも犠牲にしていく作風。完成度の高さを味わうというより、1980年代初頭の荒々しい低予算ホラーならではの無茶を楽しむタイプの一本だろう。
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ライター/エディター/映画インスタグラマー。2019年に早稲田大学法学部を卒業。東京都職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)やYouTubeチャンネル「cula 見て聞く映画マガジン(旧:アルテミシネマ)」においても映画や海外ドラマ、音楽といったカルチャーに関する情報レビューを発信している。
