映画『アマデオともうひとつの新世界』(2026)を紹介&解説。
映画『アマデオともうひとつの新世界』概要
映画『アマデオともうひとつの新世界』は、ブレンダ・リジアとエドゥ・フェリストーキが監督・脚本を務め、19世紀の奴隷制下のブラジルを舞台に、歴史を大胆に書き換えた世界を描くアニメーション映画。1830年、アフリカ出身の天才青年アマデオがヨーロッパ人に先駆けて写真機を発明し、その技術を使って奴隷として拘束された人々の解放を目指していく。農園主の娘リンダとの身分を超えた恋愛も織り交ぜながら、科学・芸術・自由への希求を冒険物語として描く。声の出演にセルジオ・メネゼス、ナルナ・コスタ、エジミウソン・フィーリョ、パオラ・オリヴェイラら。第39回東京国際映画祭アニメーション部門上映作品で、同映画祭のエシカル・フィルム賞にもノミネートされている。
作品情報
| 日本版タイトル | 『アマデオともうひとつの新世界』 |
|---|---|
| 原題 | Amadeo e o Hipotético Mundo Novo |
| 英題 | Amadeo and the Hypothetical New World |
| 製作年 | 2026年 |
| 本国公開日 | 2026年9月14日(ブラジリア映画祭上映。一般劇場公開日は未確定) |
| 日本公開日 | 一般劇場公開日未定(2026年10月26日に第39回東京国際映画祭で日本初上映) |
| ジャンル | アニメーション/アドベンチャー/恋愛 |
| 製作国 | ブラジル |
| 原作 | 無 |
| 上映時間 | 105分(東京国際映画祭公表値) |
| 監督・脚本 | ブレンダ・リジア/エドゥ・フェリストーキ |
|---|---|
| 製作 | エドゥ・フェリストーキ/デニース・カステリャーノ/セルジオ・マルティネッリ/エリカ・カルドーゾ/ジゼラ・カルドーゾ |
| 製作総指揮 | エドゥ・フェリストーキ/ヴィクトル・ジアス/ソランジェ・デ・バロス/マドゥ・カヴァルカンテ/ダニエル・ピコロ/デニース・カステリャーノ/ヴィクトリア・マッツィア |
| 撮影 | ガブ・フェリストーキ/ウィル・プラド |
| 編集 | タイス・ザノニ/エドゥ・フェリストーキ |
| 作曲 | ギリェルミ・ピコロ |
| 美術・アニメーション監督 | エヴェルトン・アモリム |
| 声の出演 | セルジオ・メネゼス/ナルナ・コスタ/エジミウソン・フィーリョ/パオラ・オリヴェイラ/アントニオ・ファグンデス/マテウス・ソラーノ/チアゴ・アブラヴァネル/ブレンダ・リジア |
| 製作会社 | フェリストーキ・シネマ/ソル・デ・バロス・フィルムズ/サギ・スタジオほか |
| 配給 | ダウンタウン・フィルメス(ブラジル)/日本配給未定(26年10月時点) |
あらすじ
1830年、奴隷制が社会を支配するブラジル。
アフリカ出身の若き天才アマデオは、ヨーロッパ人に先駆けて写真機を発明する。しかし、黒人が自由を奪われる時代にあって、その才能を発揮することさえ危険と隣り合わせだった。
奴隷にされることを避けるために身分を隠しながら暮らすアマデオは、自らの発明を使い、有力な男爵の農園で囚われている人々の解放に力を貸そうとする。
そんな中、アマデオは農園主の娘リンダと出会う。科学や芸術への情熱を共有するふたりは、次第に互いに惹かれ合っていく。しかし、当時の社会でその恋愛が許されるはずもなかった。
自由を求める人々の闘いと、身分や人種の壁を越えた恋愛。アマデオの発明は、世界の歴史を変えることができるのだろうか。
主な登場人物(キャスト)
アマデオ:アフリカ出身の若き天才発明家。1830年のブラジルで写真機を発明し、その技術を奴隷にされた人々の解放に役立てようとする。リンダとの許されない恋にも心を揺さぶられる。声優の役名対応は未確認。
リンダ(声:ナルナ・コスタ):有力な男爵の娘。科学と芸術を愛する理想主義的な女性。アマデオと知り合い、当時の社会の身分や人種の壁に阻まれながらも、彼と恋に落ちる。
エルピジオ男爵(声:アントニオ・ファグンデス):農園を所有する有力な男爵。奴隷制に支えられた農園経営を行う支配階級の人物で、リンダの父親。
レオカジア(声:パオラ・オリヴェイラ):エルピジオ男爵の妻。夫とともに、奴隷制と搾取によって維持される地方の上流階級を体現する人物。
作品の魅力解説
黒人の天才が写真機を発明した「もうひとつの歴史」
本作の最大の特徴は、19世紀のブラジルでアフリカ出身の青年が写真機を発明したという、史実とは異なる設定にある。
作品は単純に歴史を再現するのではなく、「もしも歴史が違った形で進んでいたら」という仮定から物語を構築している。
科学技術の発展と奴隷制の歴史を結びつけ、発明が支配者の利益ではなく、自由を奪われた人々の解放に使われるという構図を描くことで、技術と社会の関係を問い直している。
写真という表現から問い直す歴史の記録
写真機は本作において、単なる便利な発明品ではない。
写真は誰が、何を、どのような視点で記録するかによって、後世に残される歴史の姿を左右するメディアでもある。
歴史の中で十分に記録されず、語られてこなかった黒人たちの存在や功績を、写真の発明という架空の出来事を通して描き直していく。
発明家を主人公とする冒険物語であると同時に、歴史を記録する権利そのものに目を向けた作品といえる。
重い歴史を冒険と恋愛で描くアニメーション
物語の背景にあるのは、19世紀ブラジルの奴隷制という重い歴史だ。しかし本作は、冒険や恋愛、ユーモアといった要素を組み合わせたアニメーションとして製作されている。
アマデオとリンダの関係には人種や階級による差別が立ちはだかり、その恋愛は社会の仕組みそのものと対立することになる。
こうした物語を通じて、差別や搾取を描くことにとどまらず、人々が自由に生きられる社会への希望を提示しようとしている点が特徴だ。
第39回東京国際映画祭では、人や社会、環境への思いやりを重視するエシカル・フィルム賞にもノミネートされている。
