エミリー・ブラントが、スティーヴン・スピルバーグ監督作『ディスクロージャー・デイ』の撮影でAI使用を避けた理由を明かした。
エミリー・ブラントが、スティーヴン・スピルバーグ監督の新作SF映画『ディスクロージャー・デイ』で、AIに頼らず自身の声を使って重要な場面に挑んだことを明かした。米番組「Hot Ones」に出演したブラントは、AIに対して「少し恐怖を感じている」と語り、劇中の非人間的な言語表現を、自らの声と身体的な音で作り上げたという。
AIではなく、自身の声で作り上げた“非人間的な言語”
『ディスクロージャー・デイ』は、カンザスシティのテレビ気象予報士を主人公にしたSF映画で、ブラント演じる人物が天気予報の生放送中に、謎の地球外の力に突然支配されていく姿を描く。問題の場面では、彼女のキャラクターが人間の言葉とは異なる音を発することになるという。
ブラントは番組内で、その場面について「その瞬間に至るまで、彼女が徐々に崩れていく4分間のワンカットなんです」と説明。続けて、「やり方はいくつかありました。AIを使う方法もありましたが、私はAIに少し恐怖を感じていて。自分で本当に奇妙な音を出せるかもしれないと思ったんです」と語った。
その結果、ブラントは音響チームとともに、声を有機的に録音する方法を選択。「スタジオに入って、いろいろな奇妙な音を試してみるのはどうかと提案しました。そして実際にそうしたんです」と振り返り、「クリック音のような音、ハミングのような音、子音の音、奇妙な呼吸音を出しました」と明かした。現場では複数のマイクを配置し、音響デザイナーがそれらの素材をもとに、劇中で使われる独特な音を作り上げたという。
スピルバーグ監督が描く新たなSF作品
『ディスクロージャー・デイ』には、ブラントのほか、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン、コールマン・ドミンゴ、ワイアット・ラッセル、ヘンリー・ロイド=ヒューズらが出演する。物語のログラインでは、「もし私たちが孤独ではないと知ったら、もし誰かがそれを見せ、証明したら、それはあなたを恐れさせるだろうか。この夏、真実は70億人のものとなる。私たちは近づいている……『ディスクロージャー・デイ』へ」と紹介されている。
本作のストーリーは、スピルバーグと脚本家のデヴィッド・コープが共同で構想。コープはこれまで『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』『宇宙戦争』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』でスピルバーグと組んできた人物である。
『ディスクロージャー・デイ』は、スピルバーグにとって監督37作目となる。これまで『未知との遭遇』『E.T.』『マイノリティ・リポート』『A.I.』『レディ・プレイヤー1』など、SFジャンルでも数々の作品を手がけてきた同監督が、新たにどのような“未知との遭遇”を描くのか注目される。
ブラントが語った『ジョーズ』と最も怖かった撮影体験
番組では、ブラントがスピルバーグ監督の1975年作『ジョーズ』を「人生で最も好きな映画」と語る場面もあった。ブラントは「多くの人が子どもの頃に観たと思います。でも大人になって観ると、物語の形がまったく違って見えるんです」とコメント。さらに、「スティーヴンの映画すべてにある美しいテーマがたくさんあります。高い緊張感のあるアクションで、大きなスケールの物語でありながら、そのすべてに人間性という感情的な土台が流れていると思います。だから私にとっては『ジョーズ』です」と語った。
一方で、2018年公開の『メリー・ポピンズ リターンズ』については、これまでで最も怖かった撮影現場だったと明かしている。雲の上からメリー・ポピンズが登場する場面の撮影で、ブラントはワイヤーで高所に吊られたという。「怖かったです。3テイクで耐えられなくなって、もう無理だと思いました」と振り返り、「25フィート、30フィート、40フィート、60フィートと上がっていくんです。私は『無理』と思いました。頼れるのは、ワイヤーが自分を支えてくれていると願うことだけでした」と語った。
『ディスクロージャー・デイ』は6月12日に米劇場公開予定。AIの使用が映像制作の現場で広がるなか、ブラントがあえて身体的な表現を選んだことは、本作の重要な場面に生々しい質感を与える要素となりそうだ。
