ボブ・オデンカークが、『ベター・コール・ソウル』撮影中に起きた心臓発作を振り返った。
『ブレイキング・バッド』の前日譚として知られるドラマ『ベター・コール・ソウル』で主演を務めたボブ・オデンカークが、同作の撮影現場で起きた心臓発作について改めて語った。パンデミック下で最終シーズンを撮影していた最中の出来事であり、本人は病院で目を覚ますまで当時の記憶がないという。
パンデミック下の撮影現場で起きた異変
2度のエミー賞受賞歴を持つ脚本家・俳優のオデンカークは、アクションコメディ『Normal(原題)』の海外公開にあわせて英紙『The Times』の取材に応じ、2021年に起きた健康上の危機を振り返った。
オデンカークによると、当時は感染対策のため撮影現場でも人と人との距離が大きく取られていた。そのため、異変に気づくまでにわずかな遅れが生じたという。「僕が倒れると、レイ(・シーホーン)とパトリック(・ファビアン)がつかまえてくれて、ふたりが大声で助けを呼んだんだけど、スタッフはふたりが笑っていると思ったんだ。だから、みんなの距離がかなり離れていたせいで、対応が遅れたんだよ」と語っている。
「死んだも同然だった」本人に残っていない1週間
オデンカークは、病院で目を覚ました後に周囲から聞いた話として、「僕は死んだも同然だった。顔も灰色になっていたんだ」と当時の状態を表現した。さらに、「やがて現場の医療担当者が来たんだけど、その人は何をすればいいのか分かっていなかった。CPRをやったことがなかったんだ」とも明かしている。
『サタデー・ナイト・ライブ』出身でもあるオデンカークは、この出来事そのものを覚えていない。「人生の映像がすばらしいフィルムみたいに流れたり、誰かが『戻りたい?』と聞いてくれたりするって言う人も多いよね。でも僕には何もなかった。僕が最初に覚えているのは、病院に着いてから1週間後、そこを出るときのことなんだ」と述べた。
心臓発作を経て変わった、世界にいる感覚
2021年7月下旬、オデンカークはニューメキシコ州で行われていた『ベター・コール・ソウル』の撮影中に倒れ、病院へ搬送された。翌日には代理人が「心臓に関連する症状」だったこと、容体は安定していることを発表。後に、閉塞が原因の心臓発作であり、手術ではなく処置によって改善されたことが明らかになった。オデンカークは約1か月後の2021年9月に撮影へ復帰している。
本人は過去にも、2018年に心臓内のプラーク蓄積が見つかっていたことを明かしていた。その際は医師の助言により経過観察を選んでいたが、後にその一部が剥がれたことで発作につながったという。翌朝にはステント留置の処置を受け、その後は食生活を変え、薬も処方されている。
今回の取材でオデンカークは、生還後に感じた率直な喜びも語った。「あの数週間、この世界に自分が存在することを実感できたのは本当に贈り物だった。とても、とても嬉しくて、世界と関わっている感じがしたよ」。命に関わる出来事を経た言葉には、作品の裏側で起きていた現実の重みと、現在を生きることへの静かな実感がにじんでいる。
