『The Last Viking』出演のマッツ・ミケルセンがインタビューで、少年時代のブルース・リーへの憧れなどを語った。
『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)や『ドクター・ストレンジ』(2016年)などで知られるマッツ・ミケルセンが、スペインの映画誌『Fotogramas』のインタビューに応じ、新作『The Last Viking(英題)』について語った。長年タッグを組む監督アナス・トマス・イェンセンとの関係や役作り、さらには少年時代にブルース・リーを真似していたという意外なエピソードまで、幅広い話題に言及している。
マッツ・ミケルセン、アナス・トマス・イェンセンとの長年のコラボ
マッツ・ミケルセンは『The Last Viking(英題)』で、人格障害を抱えながらも貴重な戦利品の隠し場所を知る男マンフレッドを演じている。本作は『メン&チキン』(2015年)や『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(2020年)などを手がけたアナス・トマス・イェンセン監督との6度目のコラボレーションとなる。
ミケルセンは監督について、「アナスが生み出す世界は唯一無二で、彼の映画での僕のビジュアルはいつも一癖ある」と説明する。実際にこれまでの作品でも、『メン&チキン』では口ひげをたくわえ、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』では坊主頭に巨大なひげという姿で登場してきた。
今回の作品では「今回はビートルズ風だよ」と語るように、マンフレッドは自分をジョン・レノンかのように思い込んでいる人物として描かれているようだ。ミケルセンは、この風変わりなキャラクターについて、「本質的には子どもみたいな存在で、純粋で、人を操ったり嘘をついたりできない」と語り、独自の視点を持つ人物を演じることの面白さを明かしている。
「ブルース・リーのつもりだった」少年時代の記憶
インタビューでは、映画のテーマにも通じる「別の誰かになりたい」という感覚についても話題が及んだ。マンフレッドは自分をジョン・レノンのように思い込む人物として描かれているが、ミケルセン自身にも似たような記憶があるという。
俳優は子どもの頃を振り返り、「8歳から10歳の頃、僕はブルース・リーだと思い込んでたよ、弱き者たちのヒーローだって(笑)」と語る。当時の自分については、「労働者階級のガキで、ガリガリで口だけだった」と笑いながら振り返り、“ブルース・リー気取り”で何度もトラブルに巻き込まれたこともあったという。
しかし、その“別の誰かになりたい”という感覚は、俳優という仕事の本質にもつながっているようだ。ミケルセンは現在の職業を「プロの嘘つきになって終着した」と表現し、「毎年ふたつくらい新しい人格を引き受けるんだけど、最高だよ」と語る。
また、スポーツ選手のような能力への憧れには触れつつも、「メッシのようにサッカーをしたり、ウサイン・ボルトのように走れたらとは思うけど、彼らになりたいとは思わない」と説明。その理由については、「別の誰かになることは、もう仕事で十分やれてるからね」と語り、俳優という職業の魅力を語っている。
身体表現の原点はバスター・キートン
『The Last Viking』では、車の事故や殴打シーンなど、身体を使った激しいコメディ表現も多く盛り込まれている。こうしたフィジカルな演技について、ミケルセンは自身の原点として無声映画のスターバスター・キートンの存在を挙げる。
俳優は「子どもの頃からバスター・キートンの大ファンでね」と語り、キートンの演技について、「身体を使った驚くべき技だけじゃなく、見かけ上の無表情さを使って感動的でミステリアスなものを呼び起こすやり方がすごかった」と説明する。
自身も若い頃に体操の訓練を受けていたといい、「あまり怪我をせずに転ぶことを学んだ」と振り返る。その経験もあり、『The Last Viking』のアクションシーンについては「全部自分でこなせたよ」と語る。ただし例外として、「マンフレッドが車から飛び降りるシーン」だけはスタントマンに任せたという。
このシーンでは、マンフレッドが「普通の人みたいに飛ぶんじゃなくて、真っ直ぐ下に落ちる」動きになるため、「リスクが大きすぎてね」と説明。ミケルセンは「スタントマンにとっては大変な仕事だった」と撮影の裏側を明かしている。
また、ミケルセンは国際的なキャリアを築きながらも、デンマーク映画との結びつきを大切にしていることにも触れ、英語での演技については「もう違和感がなくなってきた」と語る一方、ドイツ語での演技には今でも苦労すると明かした。
さらに今年60歳を迎えることについては、「ただの数字だと言えたらいいんだけどね」と語りつつ、「残り時間はどのくらいだろう?」と考える瞬間もあると率直に吐露する。子どもたちや孫の成長を見守る現在の生活に触れながら、俳優として、そしてひとりの人間としての時間の流れについて思いを語った。
