米メディア大手の買収合戦で、パラマウントがワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を1株31ドルで買収する優位な提案を行い、Netflixは入札を断念した。
Netflix、価格競争を回避し撤退
Netflixは当初、WBDのスタジオおよび配信事業の取得を目指し、1株27.75ドルを提示していた。しかし、パラマウントが全事業を対象により高い条件を提示。契約上、対抗提案の機会はあったものの、Netflixは価格面での引き上げを見送り、撤退を決めた。
共同CEOのテッド・サランドスとグレッグ・ピーターズは声明で「提示価格では財務的に魅力的ではない」と説明。社内向けにも、過度な買収に頼らず自社成長を優先する方針が共有された。
エリソン主導で条件引き上げ
一方、パラマウントを率いるデビッド・エリソンは、昨秋からWBDへの買収提案を重ね、最終的に1株31ドルまで条件を引き上げた。規制審査が長期化した場合の補償も提示し、取締役会の支持を取り付けた。
今回の取引が成立すれば、2018年のAT&Tによるタイム・ワーナー買収、2022年のワーナーメディアとディスカバリーの統合に続き、WBD関連資産は再び新たなオーナーのもとに入ることになる。
巨額負債と統合リスク
ただし、課題も多い。統合後の企業は780億ドル超の負債を抱える見通しで、早期のコスト削減が不可欠とされる。信用格付けや投資家の視線も厳しく、配信事業の成長とケーブル事業の縮小を同時に進める難しいかじ取りが求められる。
また、映画スタジオやテレビ部門の重複に伴う人員整理は避けられないとの見方も強い。現場では統合疲れを指摘する声も上がっている。
政治的側面にも注目が集まる。エリソン氏とトランプ前大統領周辺との関係性を懸念するクリエイターもおり、報道・表現の独立性への影響を不安視する声も出ている。
Netflix側には28億ドルの解約金が支払われる見通しで、結果的に大規模買収のリスクを回避したとの受け止めもある。
ハリウッドでは今後、パラマウントとワーナーの統合が実現するかどうかが最大の焦点となる。規制当局の審査には少なくとも1年程度かかるとの見方があり、業界再編の行方が注目される。
