スティーヴン・キングが自身の新作公開にあわせ史上最高の映画10本を発表した。
新作映画『The Long Walk(原題)』(ザ・ロング・ウォーク)の公開を目前に控えるなか、スティーヴン・キングが自身の「史上最高の映画10本」を発表した。キングはX(旧Twitter)にこのリストを投稿しており、公開を控える作品の話題性とあわせて注目を集めている。
自身の原作映画はリストから除外
今回の発表に際し、キングはまず自分の小説を原作とする映画をリストから外すことを明言した。除外されたのは1990年の『ミザリー』、1994年の『ショーシャンクの空に』、1986年の『スタンド・バイ・ミー』、1999年の『グリーンマイル』の4作品である。これらはいずれも“最高のキング原作映画”としてたびたび挙げられる名作であり、彼の代表作群と言ってよいだろう。
『ミザリー』と『スタンド・バイ・ミー』はロブ・ライナー監督が手がけ、『ショーシャンクの空に』と『グリーンマイル』はフランク・ダラボン監督が担当している。また『スタンド・バイ・ミー』と『ショーシャンクの空に』は、ともに中編小説集『Different Seasons』に収められた物語を映画化したものである。ホラージャンルに位置づけられるのはこの中では『ミザリー』だけであり、他3作はいずれも人間ドラマとして評価を確立している。
発表された史上最高の映画10本
キングが「順不同」として挙げた史上最高の映画10本は以下の通りである。
1977年の『恐怖の報酬』、1974年の『ゴッドファーザー PART II』、1972年の『ゲッタウェイ』、1993年の『恋はデジャ・ブ』、1943年の『カサブランカ』、1948年の『黄金』、1975年の『ジョーズ』、1973年の『ミーン・ストリート』、1977年の『未知との遭遇』、1944年の『深夜の告白』。
My 10 favorite movies (excluding MISERY, SHAWSHANK, GREEN MILE, STAND BY ME). In no particular order:
SORCERER
GODFATHER 2
THE GETAWAY
GROUNDHOG DAY
CASABLANCA
TREASURE OF THE SIERRA MADRE
JAWS
MEAN STREETS
CLOSE ENCOUNTERS OF THE 3rd KIND
DOUBLE INDEMNITY— Stephen King (@StephenKing) September 8, 2025
このリストには、スティーヴン・スピルバーグの『ジョーズ』と『未知との遭遇』、マイケル・カーティスの『カサブランカ』、フランシス・フォード・コッポラの『ゴッドファーザー PART II』、ビリー・ワイルダーの『深夜の告白』といった、しばしば“史上最高映画”に数えられる定番の名作も含まれている。さらに、ハロルド・ライミスの『恋はデジャ・ブ』も、多くの観客にとって準現代の傑作と見なされてきた作品である。
さらに注目すべきは、10本中6本が1970年代の作品で占められている点である。この時代はキングが20代を過ごしていた時期にあたり、彼の映画体験に大きな影響を与えた“時代的スイートスポット”であったことがうかがえる。
『恐怖の報酬』(1977)
ウィリアム・フリードキンが『エクソシスト』の後に手がけたサスペンス映画で、原題は“Sorcerer”。南米の村で追い詰められた4人の男が、不安定なニトログリセリンを積んだトラックで悪路を走破する任務に挑む姿を描く。豪雨の吊り橋シーンは「どうやって撮影したのか」と語り継がれる名場面である。
1977年に公開されたが、同時期の『スター・ウォーズ』に埋もれて興行的には不振に終わった。その後、4Kレストアで再評価が進み、現在はスリラーの傑作として位置づけられている。
『ゴッドファーザー PART II』(1974)
フランシス・フォード・コッポラが、若きヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)の台頭とマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の権力掌握を並行して描いた“続編にして前日譚”。
本作は第47回アカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞(デ・ニーロ)・脚色賞・美術賞・作曲賞を受賞し、続編として初の作品賞受賞作となった。1993年には米国議会図書館のナショナル・フィルム・レジストリに登録されている。
『ゲッタウェイ』(1972)
キングが挙げたのは1972年のサム・ペキンパー監督版であり、1994年のリメイクではないと見られる。この作品はジム・トンプソンの小説を原作としたクライム・ドラマであり、キングがトンプソンの熱心な愛読者であることを考えると納得できる選択である。
銀行強盗後に追われる元服役囚ドク・マッコイと妻キャロルの逃避行を、スティーブ・マックイーンとアリ・マッグローが演じるクライム・スリラー。脚本はウォルター・ヒル、原作はジム・トンプソンの同名小説(1959年)。テキサス各地で撮影され、米国では1972年12月に公開された。
『恋はデジャ・ブ』(1993)
ハロルド・ライミス監督が手がけたファンタジー・ロマンティックコメディで、主演はビル・マーレイとアンディ・マクダウェル。同じ日を繰り返す時間ループに囚われた気象キャスターが、自己改善と愛を通じて成長していく姿を描く。
興行収入は1億ドルを超え、批評家からも高く評価された。独創的な構成は後の映画や文化にも影響を与え、2006年には米国議会図書館のナショナル・フィルム・レジストリに登録された。
『カサブランカ』(1942)
マイケル・カーティス監督が手がけ、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンを主演に迎えた名作ロマンティック・ドラマ。第二次世界大戦中のカサブランカを舞台に、旧情と正義の狭間で揺れるアメリカ人主人公の苦悩が描かれる。脚本は未発表舞台劇に基づくもの。1942年11月にニューヨークで初公開され、翌1943年1月に全米公開された。
本作は第15回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞を受賞し、後世に渡ってハリウッド黄金期を象徴する作品としてその評価を確立。名セリフや『As Time Goes By』などの音楽も広く知られ、数多くの映画ランキングで上位に位置付けられている 。
『黄金』(1948)
ジョン・ヒューストン監督・脚本、ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト共演。B・トラヴェン原作を基に、メキシコ山中で金を追う男たちが欲に蝕まれていく過程を描く。1948年公開。
第21回アカデミー賞で監督賞・脚色賞(ジョン・ヒューストン)と助演男優賞(ウォルター・ヒューストン)を受賞。
『ジョーズ』(1975)
スティーヴン・スピルバーグ監督によるシャーク・スリラー。ピーター・ベンチリーの同名小説を映画化し、米国では1975年6月20日に公開された。
第48回アカデミー賞で作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、編集賞、録音賞の3部門を受賞し、作品賞にもノミネート。“最初のサマーブロックバスター”の嚆矢とされ、以後の公開戦略に影響を与えた。
『ミーン・ストリート』(1973)
マーティン・スコセッシ監督の初期代表作で、ニューヨークのリトル・イタリーを舞台に若者たちの葛藤と暴力を描いた群像劇。ハーヴェイ・カイテルと若きロバート・デ・ニーロが主演し、後のスコセッシ作品に通じる犯罪と信仰のテーマが明確に表れている。1973年10月にニューヨーク映画祭で上映後、ワーナー・ブラザース配給で全米公開された。
スコセッシの代表作としては『タクシードライバー』や『グッドフェローズ』が挙げられることが多く、本作を最高傑作に数える声は限られているが、当初は限定公開ながら高い評価を受け、批評家のポーリン・ケイルが「スコセッシが自分の声を見つけた」と評するなど、アメリカン・ニューシネマの重要作として位置付けられている。
『未知との遭遇』(1977)
スティーヴン・スピルバーグ監督のSFドラマ。リチャード・ドレイファスがUFOと遭遇した電力技師ロイを演じ、光と五音モチーフによる“交信”で人類と未知の邂逅を描く。
1977年公開。第50回アカデミー賞で撮影賞(ヴィルモス・ジグモンド)と音響効果編集の特別業績賞(フランク・E・ワーナー)を受賞し、監督賞・助演女優賞(メリンダ・ディロン)・作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)などにもノミネートされた。
『深夜の告白』(1944)
ビリー・ワイルダー監督・脚本によるフィルム・ノワールの古典。フレッド・マクマレー演じる保険外交員が、妖艶な主婦(バーバラ・スタンウィック)と共謀して保険金殺人を企てる物語を描く。原作はジェイムズ・M・ケインの小説『Double Indemnity』。
1944年に公開され、第17回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演女優賞など7部門にノミネート。後年アメリカ映画協会の「アメリカ映画100選」に選出され、フィルム・ノワールの決定版として広く評価されている。
