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映画界の異才デヴィッド・リンチ監督が78歳で死去-『ブルーベルベット』『マルホランド・ドライブ』で独自の世界観を確立

デヴィッド・リンチ FILMS/TV SERIES
デヴィッド・リンチ

デヴィッド・リンチ監督が78歳で死去。『ブルーベルベット』『マルホランド・ドライブ』など独自の映像世界で映画史に名を刻んだ巨匠。カルトから世界的評価へと昇華した監督人生とその遺産に迫る。

アメリカ映画界の異才として知られる映画監督デヴィッド・リンチが、1月15日に78歳で死去した。公式Facebookページで家族が発表。エンフィゼマを患っていたことが明らかになっており、長年の喫煙との関連が指摘されている。

シュルレアリスムと不条理が交錯する独自の映像世界

ブルーベルベット』(1986年)や『マルホランド・ドライブ』(2001年)など、一見平穏な日常の裏に潜む闇や謎を描き続けたリンチ監督。2012年に行われた映画専門誌「サイト・アンド・サウンド」の映画評論家900人による投票では、『マルホランド・ドライブ』が28位、『ブルーベルベット』が69位にランクインし、現代映画を代表する作家として高い評価を受けていた。

カルト的地位から世界的巨匠へ昇華した監督人生

1946年1月20日、モンタナ州ミズーラに生まれたリンチ監督は、最初は画家を志していた。しかし、1966年に制作した4分間の短編『Six Men Getting Sick』をきっかけに映画製作へと転向。1977年の長編デビュー作『イレイザーヘッド』は、スタンリー・キューブリック監督が「最も好きな映画のひとつ」と評したカルト的作品となった。

その後、ジョン・ハートとアンソニー・ホプキンスを起用した『エレファント・マン』(1980年)で商業映画界に進出。この作品でアカデミー賞監督賞にノミネートされ、本格的に注目を集めることとなる。

テレビシリーズでも異彩を放った「ツイン・ピークス」

1990年に放送を開始したTVシリーズ「ツイン・ピークス』は、アメリカの地方都市で起きた女子高生殺害事件の謎を追う物語。独特な演出と不気味な雰囲気で視聴者を魅了し、テレビドラマの歴史に大きな影響を与えた作品として評価されている。

遺された作品とメッセージが映すデヴィッド・リンチの世界

最後の長編映画となった『インランド・エンパイア』(2006年)以降は、主に絵画制作や瞑想に時間を費やしていた。2019年にはアカデミー名誉賞を受賞。生涯で4度のアカデミー賞ノミネートを果たしている。

遺族は公式Facebookで「彼がいなくなった今、世界には大きな穴が空いています。しかし、彼が言っていたように”ドーナツの穴ではなく、ドーナツに目を向けよう”。今日は金色の太陽と青い空が広がる美しい日です」とコメントを発表している。

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