映画『ウィズ』(1978)を紹介&解説。
映画『ウィズ』概要
映画『ウィズ』は、ライマン・フランク・ボームの児童文学『オズの魔法使い』を原案に、1974年にブロードウェイで上演されたミュージカルを映画化したファンタジー・ミュージカル。舞台を現代のニューヨークに置き換え、ハーレムに暮らすドロシーが魔法の国へ迷い込み、仲間たちとともに“ウィズ”を探す旅に出る。監督は『十二人の怒れる男』『ネットワーク』のシドニー・ルメット。主演はダイアナ・ロス、共演にマイケル・ジャクソン、ニプシー・ラッセル、テッド・ロス、リチャード・プライヤー、レナ・ホーンら。
作品情報
日本版タイトル:『ウィズ』
原題:The Wiz
製作年:1978年
本国公開日:1978年10月25日
日本公開日:1979年10月6日
ジャンル:ファンタジー/ミュージカル
製作国:アメリカ
原作:ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』/ミュージカル『ザ・ウィズ』
上映時間:134分
監督:シドニー・ルメット
脚本:ジョエル・シューマカー
製作:ロブ・コーエン
製作総指揮:ケン・ハーパー
撮影:オズワルド・モリス
編集:ディディ・アレン
音楽:チャーリー・スモールズ
音楽監督:クインシー・ジョーンズ
出演:ダイアナ・ロス/マイケル・ジャクソン/ニプシー・ラッセル/テッド・ロス/メイベル・キング/テレサ・メリット/セルマ・カーペンター/レナ・ホーン/リチャード・プライヤー
製作:モータウン・プロダクションズ/ユニバーサル・ピクチャーズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
あらすじ
ニューヨークのハーレムに暮らす24歳のドロシーは、家族と過ごした夜、愛犬トトを追って外へ出たところを突然の嵐に巻き込まれる。気がつくと、彼女は現実のニューヨークを幻想的に変形させたような魔法の国に迷い込んでいた。故郷へ帰る方法を探すドロシーは、北の良い魔女ミス・ワンから“偉大なるウィズ”に会うよう助言される。旅の途中でカカシ、ブリキ男、ライオンと出会った彼女は、それぞれの願いを胸に、エメラルド・シティを目指す。
主な登場人物(キャスト)
ドロシー(ダイアナ・ロス):ハーレムに暮らす24歳の教師。内気で自分の世界から踏み出せずにいたが、魔法の国での旅を通じて、自分の居場所と生きる勇気を見つめ直していく。
カカシ(マイケル・ジャクソン):ドロシーが旅の途中で出会う仲間。知恵を求めてウィズのもとへ向かうが、繊細さと優しさを持ち、ドロシーの旅を支える存在となる。
ブリキ男(ニプシー・ラッセル):心を求めて旅に加わる仲間。金属の体に閉じ込められた存在として描かれ、軽やかなユーモアと温かさで一行に彩りを添える。
ライオン(テッド・ロス):勇気を求める臆病なライオン。威勢のよさとは裏腹に怖がりな一面を抱えながら、ドロシーたちとともにエメラルド・シティを目指す。
エブリーン(メイベル・キング):西の悪い魔女。地下の工場を支配する強大な存在で、ドロシーたちの旅の前に立ちはだかる。
ミス・ワン(セルマ・カーペンター):北の良い魔女。魔法の国に迷い込んだドロシーに、故郷へ帰るための道筋を示す。
グリンダ(レナ・ホーン):南の良い魔女。旅の終盤でドロシーに大切な気づきを与え、自分自身を信じる力を導く存在。
ウィズ/ハーマン・スミス(リチャード・プライヤー):エメラルド・シティに君臨する謎めいた人物。ドロシーたちが願いを叶えるために会いに行く存在だが、その正体には意外な真実が隠されている。
作品の魅力解説
映画『ウィズ』の大きな魅力は、『オズの魔法使い』をニューヨークの都市空間とブラック・カルチャーの文脈で大胆に再構築している点にある。おなじみの冒険物語でありながら、ハーレム、地下鉄、エメラルド・シティなどのビジュアルには70年代後半の都会的な空気が反映され、古典的ファンタジーとは異なる独特のムードを生み出している。
音楽面では、ブロードウェイ・ミュージカルを基にした楽曲に加え、クインシー・ジョーンズが音楽監督として参加している点も重要である。ソウル、R&B、ゴスペルの要素を含んだナンバーが物語を力強く押し進め、ダイアナ・ロスの歌唱、若きマイケル・ジャクソンの身体表現と歌声が作品の個性を際立たせている。
また、本作は公開当時こそ賛否が分かれたが、現在では豪華なキャスト、個性的な美術、音楽映画としての存在感から、70年代ミュージカル映画の異色作として語られることが多い。明るいだけの冒険譚ではなく、自分の居場所を探すドロシーの内面的な旅としても観ることができる点が、本作を今なお印象深い作品にしている。
